薬剤師専用の転職サイトを運営している会社は非常に多いです。有名な転職サイトだと、薬キャリAGENTやマイナビ薬剤師などが知られています。そうした転職サイトの一つにファルマスタッフ(株式会社メディカルリソース)があります。

ファルマスタッフでは、正社員やパート・アルバイトの求人はもちろんのこと、派遣薬剤師に強みがあるという珍しい特徴があります。

また大手転職サイトでは珍しく、日本全国どこに薬剤師がいても直接会って面談を行うなど、独自のこだわりがある転職エージェントになります。

今回、こうした特徴のあるファルマスタッフに出向き取材してきました。このときはマーケティング担当の海老名さまと、キャリアコンサルタントとして現場で活躍されている山内さまに話を伺いました。

※インタビュアー(私)は「管理人」と表記します。

面談にこだわり、派遣薬剤師に強みをもつファルマスタッフ

・管理人
それでは始めさせてもらいます。まず、御社のこだわりについてお聞かせいただけますでしょうか?

・海老名さん
弊社のこだわりは「求職者と求人企業(調剤薬局、ドラッグストア、病院など)に必ず足を運び両方と会う」になります。具体的には、転職希望の薬剤師の方と、面接を行う求人企業(薬局、病院など)についても必ず会うようにしています。

こうした面談を実施すれば、電話では分からない経営者の考え方や調剤薬局・ドラッグストア内の人間関係などを把握できるようになります。

薬剤師さんが働くのは、本社ではなく薬局や病院などの現場です。こうした現場がハードワークであったり、人間関係が悪かったりなどの様子は実際に見なければわかりません。そのため、実際に会いに行く作業は必須だと考えています。

・管理人
では、実際に薬局や病院を見た中で判明する事実としては、どのようなことがありますか。

・山内さん
上と下で認識が異なるケースは多いです。例えば、残業時間があります。経営者は「1時間くらい残って仕事をすること」については、残業はほとんどないと考えているケースが多いですが、現場の管理薬剤師さんに聞くと、「うちは残業が1時間もある」と思っていることがあります。

このとき、私たちは実際の現場で働いている人の声を重視するため、薬剤師さんに対して「1時間ほどの残業があるようですが大丈夫ですか」と、正確に伝えることを心がけています。

こうした情報は電話だけで得ることが難しい場合が多いので、紹介先の調剤薬局やドラッグストア、病院などの医療機関に足を運んでヒアリングを必ず行う必要があると考えています。

・管理人
私の知っている大手の薬剤師専用転職サービスを提供している企業さんは、面談をほぼ行っておりませんので、御社のようなサービスはかなり重宝されますね。

御社が保有している求人については、どのような特徴があるのでしょうか。

・海老名さん
ファルマスタッフでは、正社員はもちろんのこと、派遣薬剤師の求人に強いです。各社WEB掲載求人の中では、派遣の掲載求人数は一位(※2016年1月)です。

・管理人
薬剤師が平均でどれだけの会社と面接を行い、どれくらいの期間で転職先を決めるのかを教えてもらってもいいでしょうか。

・海老名さん
平均して、3~5社くらいは面接を行います。実際の転職先が決まるのは、おおよそになりますが1週間から1ヵ月になります。

転職に成功する薬剤師と失敗する薬剤師の違い

・管理人
転職活動をする中で、成功する人と失敗する人の違いは何があるのでしょうか。

・山内さん
自分のやりたいことが明確になっている人は成功しやすいです。つまり、将来像がある人です。例えば、「在宅を行えるようになり、薬を届けるだけでなく医師と同行することで臨床経験を積みたい」などのような意見を言える人です。

・管理人
では、その反対に転職で失敗する人の特徴は何があるでしょうか。

・山内さん
条件だけで転職しようとする人は失敗しやすいです。条件とは、「年収」「家からの距離」「休日の日数」などのことを指します。

例えば、私は栃木県を担当していますが、そこでの平均年収の相場感は正社員の勤務薬剤師で年収550万円です。管理薬剤師だと、そこから50~100万円ほど年収が高くなります。

求人の中には、これよりも多くの年収を提示する薬局や病院が存在していますが、年収が高いのには理由があります。緊急で薬剤師さんを必要としていたり、人間関係が悪く離職率が高かったり、僻地の医療機関だったりなどがあります。

また、実際に入社してみると条件が違っていたということもあります。例えば、A薬局だけの勤務と言われていたのに、B薬局のヘルプにも行くようにいわれるなどがあります。他にも、一年目は条件通りに給料が支払われたものの、二年目からは業績悪化に伴って年収を下げられたなどがあります。

ミスマッチには、「人間関係」「僻地の勤務地」「当初の条件と違う」の3つが主に挙げられます。これを避けるため、条件だけに飛びつくのではなく、職場の中身までしっかりと確認しなければいけません。

・管理人
よく理解できました。次に、これから転職する方へアドバイスをするとなれば、どのようなことがあるでしょうか。

・山内さん
なぜ、転職するのかという目的をもってほしいです。例えば年収アップなら、なぜ年収アップをしたいのかを考えてください。「住宅ローンがあるため、いまより100万円ほど収入を増やしたい」など、理由があるはずです。漠然と「100万円アップ」という考え方ではダメです。明確な理由が必要になります。

参考までに、薬剤師の方で多い転職理由としては「年収アップ」と「職場環境の問題」があります。なお、職場環境では、さらに「人間関係の悪化」と人が足りなかったり夜遅くまで働いたりという「悪い労働環境」の2つに分かれます。

人間関係については、「管理薬剤師と合わない」などが多いです。つまり、タテとヨコでは、「タテの人間関係」が転職理由になりやすいです。薬局ではなく病院であれば、薬剤部長や看護師との関係が悪いなどが転職理由として多いです。

・管理人
明確な転職理由をもつことは重要ですね。転職理由があれば、次の職場ではそれを避ければいいわけですので。

・海老名さん
他にアドバイスをするとなると、「希望条件の中で優先順位をつける」ことがあげられます。年収や勤務時間、勤務地など、どこで妥協するのかを自分で考えるのです。

すべての条件を満たした求人は存在しないことが多いです。こちらを理解したうえで、何が譲れないのかを考えてください。

キャリアコンサルタントとして働くときに考えていること

・管理人
ありがとうございました。それでは、実際にキャリアコンサルタントとして働く中で、常に考えていることや最も印象に残ったエピソードがあれば教えてください。

・山内さん
私であれば、求職者に対して常に「満足を提供したい」と考えています。そのため、仮に100件の求人情報を確認すべき状況であれば、すべて確認するようにします。

実際の事例として、「女性特有の通院が必要であるため、就業時間がランダムになってしまう」という方を担当したことがあります。

病院への通院が突然入るため、ある週は午前中だけしか働けなかったり、ある週は一日だけしか勤務できなかったりするような特殊な事情のある方でした。

そこで、そのような条件でも問題ない薬局を探すために、80件くらいの薬局をピックアップして、すべてに対して電話をかけてヒアリングを行いました。

また、通院している病院が自宅から一時間ほどの場所であったため、このときは「自宅の近く」「病院の近く」「自宅と病院の間」という条件で絞った上でのアプローチを行いました。

なかなか希望条件に合う求人を見つけることが難しかったのですが、最終的には2社の面接を受けていただき、人が良さそうだった薬局へ就職が決まり、とても満足してもらいました。結局、そのときは就職先が見つかるまで2ヵ月もかかってしまいました。

・管理人
それはすごい執念ですね! それでは、反対に失敗談はあるでしょうか。

・山内さん
失敗談としては、早期退職をする方を出してしまったときがあります。つまり、ミスマッチをしてしまったのです。理由は、人間関係の問題による早期退職でした。

具体的には「エリアマネージャーとやり方が合わない」というのが理由でした。数十店舗を運営しているチェーン店であり、そのエリアマネージャーとの仕事に対する考えの相違が入社後に分かってきました。

エリアマネージャーは「患者さんへ薬を出すスピードを早くしたい」と考えていました。一方、その薬剤師さんは「薬を出すときの正確性や患者さんとのコミュニケーションを重視したい」と考えていました。こうした方向性がマッチしていなかったのです。

弊社では薬局と必ず面談を行うため、管理薬剤師を含めて実際に働く人の様子を知ることができます。ただ、エリアマネージャーとは面接時に接する機会がなかったため、私の誤算でした。そこで、次回からはそこまで含めてチェックするようにしています。

・管理人
必ず面談を行っても、人間関係や考え方の違いでミスマッチが起こるのは意外でした。そこまで注意して転職活動をしなければいけないのですね。

それでは、今回のインタビューは以上になります。長時間、ありがとうございました。

・海老名さん
弊社では「求職者と求人企業(病院、薬局等)に必ず足を運び両方と会う」「派遣薬剤師の求人に強い」という特徴があります。そのため、私たちが必ず力になります。

日本全国に支店があるのはメリット

大手の転職サイトになると、薬剤師との面談は簡素になります。例えば、薬キャリAGENTであると電話やメールだけで完結します。マイナビ薬剤師だと、面接同行は実施してくれますが事前の面談はありません。

一方でファルマスタッフの場合、全国各地に支店があります。そのため、近くにある支店や営業所からあなたの住んでいる場所まで出向いてくれます。具体的には、以下の支店があります。

  • 北海道・東北:札幌、仙台
  • 関東:東京(新宿、町田、北千住、立川)、横浜、大宮、船橋
  • 中部:名古屋
  • 関西:大阪、京都、神戸
  • 中国:広島
  • 九州:福岡

こうした場所にいる全国のコンサルタントが出向いて面談してくれます。たとえ離島に住んでいたとしても関係なく来てくれるメリットがあるため、できるだけあなた独自の要望を伝えるようにしましょう。

もちろん、面談は仕事終わりの深夜であっても問題ありません。営業時間に関係なく、どの時間であっても相談できます。

日本調剤に限らず、全薬局や病院、ドラッグストア、企業を紹介可能

なお、ファルマスタッフの運営会社であるメディカルリソースは日本調剤のグループ会社になります。そのためファルマスタッフを利用するに当たって、日本調剤の求人を勧められるのではないかと考えてしまいがちです。

しかし、実際にはそのようなことはありません。ウエルシアやスギ薬局など他の大手チェーン薬局や中小薬局、ドラッグストア、病院、一般企業を含めてあなたに合った求人を紹介してくれます。

相談から履歴書・キャリアシートなどの登録後の流れ

なお、実際にファルマスタッフに登録した後の流れとしては、そこまで難しくありません。担当となるキャリアコンサルタントから電話またはメールで面談の予約連絡が来ます。そこで、どの日程で面談が可能になるのか知らせるようにしましょう。

転職サイトによって最初のアプローチ方法は異なります。電話だけで完結する転職サイトがあれば、面談にこだわる転職エージェントもあります。このときファルマスタッフは面談が基本となるため、最初に面談日や時間を知らせる必要があります。

なお、相談日時を決定するのと同時にメールで履歴書やキャリアシートが送られてきます。これに記載したうえで返信し、面談を受けるようにしましょう。面談では転職内容について相談し、質問しながらも「どのような求人を探しているのか」をできるだけ詳細に伝えるといいです。

面談が終わった後は求人を提示してくれるようになります。これらの求人の中で気になるものがあれば応募しましょう。

実際に面接するときについては、担当してくれているコンサルタントが同行してくれます。それまでやり取りをしていた担当者が来てくれるため安心ですし、その後の職場見学についてもスムーズに案内してくれます。

その後、気に入った求人が見つかれば無事に採用となり、転職完了します。これが、ファルマスタッフを利用して中途採用での転職をする一般的な流れです。

派遣では、高額派遣から紹介予定派遣まで幅広い

なお、派遣薬剤師に強みをもつ転職サイトであるため、正社員やパート・アルバイトではなく派遣での採用を考えている人も多いです。これについては、非常に幅広い派遣求人が存在します。

例えば、ファルマスタッフであれば高額派遣が存在します。例えば、以下はファルマスタッフに掲示されていた「名古屋の調剤薬局から出された派遣」の求人です。

このように、都市部であるにも関わらず時給4,000円ほど可能になっています。派遣に強みをもつからこそ、こうした高額派遣求人が存在します。

また、派遣会社として有給休暇を取得することはもちろんできますし、産休・育休についても問題なく取れます。有給休暇や産休・育休は法律で認められているため、派遣でもこうした福利厚生を使うことができるのです。

当然、派遣薬剤師として勤務する場合は社会保険にも加入できます。年収130万円以上だと社会保険に入ることができるのは派遣でも同じなのです。

・紹介予定派遣も可能

派遣会社であるため、ファルマスタッフでは紹介予定派遣も可能になっています。紹介予定派遣とは、「正社員やパートになることを前提として派遣勤務する」ことです。

実際に正社員・パートになるかどうかについては、派遣契約が切れるときに決めることができます。お試し勤務できるため、就職に失敗することがほぼありません。ファルマスタッフを利用すれば、紹介予定派遣としてお試し入社まで実現できます。

例えば、以下はファルマスタッフに掲載されていた「東京の調剤薬局から出された紹介予定派遣」の求人です。

正社員でもパート・アルバイトでも問題ない紹介予定派遣であり、最初は1~2ヵ月などのお試し勤務し、その後に正式採用となります。ファルマスタッフであれば、あらゆる勤務方法が可能になるのです。

メディカルリソースは転職まで時間がかかるのはデメリット

ファルマスタッフ(メディカルリソース)は大手の転職サイトなのに事前面談や面接同行を含めて実施してくれるのは非常に評価が高く、こうした特徴が評判や口コミで優れている理由の一つになっています。

ただ、電話やメールだけで終わるわけではないので、電話だけで完結する他の転職エージェントよりも時間がかかってしまいます。すぐに転職活動を開始したい薬剤師にとってみると、求人紹介のタイミングが遅くなってしまうのはデメリットです。

しかし、事前面談にこだわるスタイルがファルマスタッフの特徴です。こうした方法を採用している以上、むしろ「最適な求人を選び出すために時間をかけてくれている」と考えるようにしましょう。

転職エージェントの特徴を理解し、比較したうえで登録する

ここでは、実際のインタビューを含めてファルマスタッフの特徴やサービス内容について詳細に記しました。

コールセンターなど電話だけの対応で終わるのではなく、面接同行まで含めてキャリアコンサルタントと二人三脚で転職先を決めたい方にとって、ファルマスタッフはおすすめです。

人によって転職での要望は異なります。「新卒なので、研修のある調剤併設ドラッグストアがいい」「高時給の派遣で勤務したい」「産休・育休の充実したパートで働きたい」など求めるものは違うのです。

そうしたことを実現するために転職しますが、ファルマスタッフでは他の転職サイトと比較して面談にこだわり、派遣に強みがあるという特徴があります。メリットやデメリットまでを理解したうえでファルマスタッフに登録しましょう。