薬剤師は転職の多い職種として知られています。薬剤師免許があれば採用通知をもらいやすいため、調剤薬局やドラッグストア、病院といろんな会社へ転職することができます。一般企業であっても転職できることがあります。

そういう私も薬剤師として、実際に何度か転職したことがあります。このときは転職サイトをいくつも利用し、最適な求人を発見するように努力しました。

ただ、優れた求人を見つけて就職する前は失敗したこともあります。薬剤師にも関わらず、恥ずかしながらクビになったこともあります。

いまでは優れた調剤薬局で勤務していますが、何も考えずに転職すると私と同じように大きな失敗を犯してしまいます。そこで、薬剤師がどのようなやり方で求人を探し転職すればいいのかについて、実体験をもとにポイントを解説していきます。

一般企業から地元の調剤薬局へUターン転職

私はかつて、企業の薬剤師として働いていました。医薬品卸の管理薬剤師で勤務しており、倉庫業務やDI・学術がメインの仕事でした。

医薬品卸は支店に一人は必ず薬剤師を置かなければいけないと法律で定められているため、私のような資格保持者が必須でした。参考までに、私の薬剤師免許の実物が以下になります。

働いて数年が経ち、仕事にも慣れて研修講師や学術資料の作成など、ある程度の業務も任されるようになります。勉強会や出張、薬剤師会の行事がない限り、仕事自体は18:30までには終わって帰ることができる会社でした。

一緒に働く支店の方たちも良い人ばかりであったため、働く環境としては恵まれていた方だったと思います。会社命令によって縁もゆかりもないド田舎に住んでいたのは少し不満でしたが、それ以外は何も不満はありませんでした。

ただ、大きな会社という歯車の中で働くうちに、「全てゼロからビジネスを立ち上げたい」という思いが強くなりました。いわゆる、独立起業です。

「ゼロからのスタート」とはいっても、本当に知識ゼロから勝負するのでは話にならないため、企業の薬剤師として得た知識をビジネスにしようと考えました。それまでに趣味でサイト運営をしていたため、インターネットを使ったビジネス(サイト運営のビジネス)を開始したのです。

もちろん、会社から帰った後の時間外でビジネスを行います。昼はサラリーマンとしてバリバリ働き、帰ったら自分のビジネスを行うという生活をしていました。

部長から呼び出され、本社へ連行

しかし事件は突然起こります。いつも通り会社で仕事をしていたあるとき、広島本社にいる薬事の部長から電話がかかってきました。私のような下っ端に何の用があるのか、そのときは恐る恐る電話に出ました。すると、「急だけど、〇月〇日は予定空いとるか? ちょっと本社へ一緒に来て欲しいんじゃけど」と広島弁で言われました。

私はカレンダーを確認し、予定が空いていることを伝えました。すると、「じゃ、〇時に広島駅で待っとるけん」と言われて切られました。

「えっ!?」と思ったのと同時に、脇に冷たい汗が流れます。広島本社へは入社時の面接でしか行ったことがありません。呼び出された要件も伝えられず、嫌な想像だけが膨らんでいきます。

会社では副業が禁止されています。確かにビジネスの準備をしていたのは間違いないですし、ネットを使っていたので、全世界に向けて情報が発信されている状態です。当時、サイト上に私の名前を特に隠そうとせず実名で公開していたため、頑張って探せば私のサイトはいくらでも見つけ出すことができます。

このときはまだ会社を辞めようとは思っていなかったためピンチです。いくらサイト運営によるネットビジネスで起業したいとはいっても、「準備が整った後に」と思っていました。

・薬事部長に連れて行ってもらう

そして私が本社へ出向く日、予定通り広島駅に薬事の部長が待っていました。

一緒にタクシーに乗り、本社へと向かいます。ビルに到着し、エレベーターが昇っている間、胃がキュッとしまるのを感じました。ストレスによって持病の逆流性食道炎が悪化するのを感じ、「医療機関でタケプロンやパリエットなどのPPIを処方してもらいに行かねば」と変なことを考えていました。

座り心地の良い椅子がたくさん並ぶ会議室に居心地悪く通されました。そしてそこには、最後に会ったのが入社式になるであろう人事部長と総務部長が待ち構えていました。薬事部長を合わせ、3人の部長に包囲される形となります。そこから、尋問が始まりました。

私が管理していたWebサイトがモニターに映し出され、「へぇ~、こんなことをしているんだね」と言われ、「はぁ、そうなんですよ」という曖昧な返答を繰り返します。

ただ良かったのは、アマゾンや楽天のような物販や、調剤薬局などリアル店舗でのアルバイトを行っていなかったことです。

当時、私がしていたサイト運営のビジネスは「単に有益な情報の発信をしていただけ」であり、そこに広告を貼り付けていただけでした。そのため、その場では広告を外すことを要求されただけで、後は何もお咎めがありませんでした。こうして、一応は元の平穏な日々を取り戻しました。

退職を申し出て、円満退社までの経緯

ただ、起業準備をするにしても一般企業の薬剤師なので、どうしても現場の薬剤師のように豊富な経験からもたらされる知識はありません。そのため、より優れたWebサイトを作るには現場経験が必要なのではと考えるようになりました。

実際に私が作成していたWebサイトは以下になります。このサイトをさらに充実させようと考えたのです。

そのため、本社連行の日から数ヵ月後、地元の調剤薬局(または調剤併設ドラッグストア)へ就職しようと考えました。ただ、辞めるためにはその意向を会社に伝える必要があります。

これが、なんとも気まずい……。

しかし、そうは言っていられません。社内の電話では周りに同僚がいるため、支店の別室から、遠く離れた本社にいる薬事部長へ自前の携帯から電話することにしました。携帯を握り締め、にらめっこすること約1時間、決心して通話ボタンを押すまでかなりの時間を要しました。

私がWebサイト運営をしていたことを薬事部長は既に知っていたため、実際に電話した後はスムーズに話が進み、特に引き止められることもありませんでした。

ただ、薬剤師の人数は足りていなかったため、いつごろであれば問題なく辞められるか相談しました。その結果、会社の都合も考慮し、「新入社員が入社して、私からの引き継ぎが終わった後」に退社することになりました。

この間にはわりと長い期間があったため、かなり余裕を持って退社することになりました。所属している会社に迷惑をかけることがなかったため、円満退社ができたのではと思っています。

地元に帰った後、ブラック薬局でクビになる

なお、Webサイト運営とはいっても成果が出るまで時間がかかります。そのため、退職して地元岡山に帰った後は収入を確保するのと、現場を経験するために働く薬局を探さなければいけません。

ただ、会社でまだ働いていたときにたまたま知り合いの薬剤師から「いま辞める予定の薬局があるけど、ここで働いてみる?」と言われました。特に深く考えず、そのときは承諾しました。当時は「特に転職活動をせず、地元に帰った後の就職先も決まってラッキーだ」くらいにしか思っていませんでした。

しかし、実家に帰って実際にその調剤薬局で働いてみると、いまから考えれば非常に劣悪な環境でした。一店舗だけを運営する個人薬局だったのですが、以下のような調剤薬局でした。

  • 処方せん枚数が午前中だけで100枚以上
  • それにも関わらず、薬剤師は私を入れて3人
  • 資格のない社長や事務が調剤をしている
  • ミスがあると裏に連れて行かれ、社長に罵倒される

知っている通り、薬剤師は1日にさばける処方せん枚数の上限は一人40枚までです。これを大幅に超えた量の処方せんを取り扱っていました。事務さんの隣は処方せんで常にあふれかえっており、薬局内は常に患者さんでいっぱいです。

当然、薬剤師3人では足りないので無資格の社長や事務も調剤を必死で行います。こうした違法行為が普通に行われている薬局でした。さらに、忙しいのにミスがあればなぜか裏に連れて行かれて社長から罵倒され、無駄な時間を過ごすことも頻繁にあります。

管理薬剤師やもう一人の薬剤師は人間的に何も問題ありませんでしたが、社長の性格が終わっていました。そうして3週間ほど経過したとき、試用期間中だったのですが「君はダメだから明日から来なくてもいい」といわれ、問答無用でクビになりました。

前の医薬品卸ではそれなりに会社に評価されていたわけですが、薬剤師なのにクビにされてショックは大きかったです。

参考までに、私がクビになった半年後にその個人薬局は大手チェーン薬局に買収されました。在籍していた薬剤師が全員辞め、本格的に薬局運営ができなくなったと聞きました。そのため、むしろ当時クビになってよかったと後から思いました。

副業可能であり、起業準備に優れた薬局を転職サイト経由で探す

こうした反省を活かし、「適切なやり方によって就職先を決めなければいけない」ことを学びました。友人からの紹介を含め、適当に転職する求人先を決めてはいけないのです。

しかし、実家の近くに存在する薬局でどこに優れた職場があるのか不明です。そこで、今度は転職エージェントを利用することにしました。また、ブラック薬局に勤めてしまった失敗談から、本気で優れた薬局を探すために5つの転職サイトに登録することにしました。

実際に活用した転職エージェントは以下の通りです。

  • 薬キャリ
  • マイナビ薬剤師
  • お仕事ラボ
  • ファーマキャリア
  • ファーネットキャリア(ユニヴ)

大手の転職サイトであっても、担当者の質はバラバラです。優れたキャリアコンサルタントが付いてくれればいいですが、そうでない場合に備えて多くの転職エージェントを利用したのです。担当者がダメな場合、連絡を絶てばいいだけなのでそこまで手間ではありません。

そうして実際に電話やメールでやり取りをしていきますが、このとき私が伝えた要望としては、以下のようなポイントがあります。

  • 起業準備に支障が出ないよう、必ず定時退社の勤務
  • 幅広い症状の患者さんが来る内科の門前が良い
  • そのため、皮膚科や眼科の門前は不可
  • 職場との距離は、家から近ければ近いほど良い
  • 薬局薬剤師での経験が欲しいため、給料はそこまで気にしない
  • 副業しても文句を言わない薬局

このとき、やはり担当者によって求人の提案内容はバラバラでした。普通の求人を紹介してくるコンサルタントがいれば、私の要望をさらにくみ取った提案をしてくれる担当者もいました。

例えば、ファーネットキャリアという転職サイトでは、上記の内容に加えて「週4日勤務の正社員の求人」「薬剤師会で活躍している薬剤師が多く在籍している調剤薬局」「在宅、漢方まで経験できる募集」など、いろんな角度から求人を紹介してくれました。

私がいろんな知識を得られる薬局を提案しつつも、起業準備の時間を確保できる求人を積極的に探してくれたのです。

薬局で面接を行い、職場見学も実施する

そうして、いろんな転職エージェントを活用しながらメインで利用する転職サイトを最終的に2つに絞ることにしました。このとき、最終的に残ったのはマイナビ薬剤師とファーネットキャリ(ユニヴ)です。それぞれの転職サイト経由で薬局の面接を取り付けて出向くことにしました。

実際の面接では、以下のように転職エージェント側が日程を取り付けてくれます。

ちなみに、調剤薬局での面接自体はどこも「なぜ薬局で働こうと思ったのか」など、簡単な質問をいくつか受けただけでした。あとは働く時間や曜日などの調整を行い、社長の世間話を聞いて面接が終わりました。

また薬局で面接を受けた後は、すべてで職場見学を実施しました。前の薬局ではブラックな職場だったため、そうした職場は絶対に避けたかったからです。求人票だけでは薬局の中身は分かりません。必ず現場を確認する必要があります。

なお、マイナビ薬剤師もファーネットキャリアも面接同行してくれる転職サイトです。そのため、いずれの場合も担当コンサルの主導のもとで店舗見学を実施しました。

このとき、結果として4店舗の薬局を見ることになりました。先にマイナビ薬剤師から紹介された2店舗の面接を受け、その2日後にファーネットキャリア(ユニヴ)から提示された求人の面接を受けたのです。

このとき最終的には、ファーネットキャリア経由で以下のような条件の調剤薬局で働くことになりました。

  • 週4日勤務でも問題ない薬局
  • 定時退社で残業なし(18:00に退社)
  • 薬剤師会で活躍している人が多数
  • 地域住民向けのセミナーも積極的
  • 学校薬剤師も経験できる

こうした条件にも関わらず年収430万円ほどであり、企業薬剤師のときに比べて収入が下がるどころか上がってしまいました。普通の正社員ではなく、私が望んでいる以上の条件の薬局で勤務することができたのです。

ちなみに、転職サイトから送られた入社案内メールは以下になります。

今回はファーネットキャリア(ユニヴ)が提示してくれた求人の内容が良く、店舗見学しても雰囲気の良さそうな薬局だったので、面接の翌日に転職先を正式に決めることにしたのです。ちなみにマイナビ薬剤師には、メールで断りの連絡をしました。

・転職サイトでは入社後のフォローもある

こうして、薬局薬剤師として現場を経験することになった私ですが、働き始めて2週間後くらいに転職サイトのコンサルタントから再び電話がかかりました。「何だろう?」と思って出てみると、働き始めた薬局でトラブルなどの問題は起こっていないかという確認でした。

私の場合は、全く問題なく薬局で働くことができ、現場での薬剤師経験を積むこともできると判断したので「トラブルは起こっておらず、順調に働いている」ということを伝えました。

このとき、もし問題が起こった時は遠慮なく申し出て欲しいことをコンサルタントから伝えられました。確かに、人によっては入社後に条件が違ったり、人間関係が思っていたほど良くなかったりすることもあります。そのため、このようなアフターフォローも重要であると感じました。

その後は派遣やバイト勤務で自由に働く

なお、その後も私は何度か転職を経験しています。先ほどの薬局に3年ほど正社員としてお世話になったのですが、結婚によって東京に住むことになりました。岡山から東京へ移り住むため、当然ながら退職して新たな薬局を探さなければいけません。

このときは既にWebサイト運営のビジネスが軌道に乗っていたため、ある程度の収入もあって正社員をする必要はありません。そのため、薬剤師としての知識をさび付かせないように派遣薬剤師をしたり、パート・アルバイトで勤務したりしました。

例えば派遣薬剤師の場合、薬キャリやお仕事ラボなどの転職サイトを活用して派遣先を探しましたが、大学病院の薬剤師を経験するなど貴重な体験ができました。大学病院の案件は薬キャリが保有していたのですが、実際のメールが以下になります。

いくつもの転職サイトへそのつど登録し、求人を比較検討しながら優れた募集を探していくというやり方によって、同様に優れた求人へ応募することができたのです。

ポイントを押さえて求人募集を探すべき

私の場合、このように薬剤師として転職をしてきました。あるときは正社員で働き、またあるときはパート・アルバイトや派遣としても勤務したわけです。経験した職場としては、派遣まで含めると調剤薬局やドラッグストア、病院、一般企業と多岐にわたります。

ただ、その中では過去にブラック薬局に努めてクビになったこともあり、就職先に失敗したこともあります。こうした失敗談もあり、現在ではどのようなやり方を選択すれば転職で成功できるか分かるようになりました。

重要なポイントとしては以下のようなものがあります。

  • 3社以上の転職サイトは必ず利用する(可能なら5つに登録)
  • そのうち、優れた提案をしてくる担当者だけ付き合う(2~3つの転職サイトに絞る)
  • 同時並行で薬局・病院の面接を複数受ける
  • 求人票だけで判断せず、職場見学を必ず実施する

転職サイトへ登録した後に付く担当者の質はバラバラです。優れた担当者ならいいですが、そうでないケースもあります。そのため、3社以上の転職エージェントを利用するのが失敗しないコツになります。

またどれだけ求人票の内容が優れていたとしても、実際に職場を見学してみないと現状は分かりません。場合によっては、「違法行為が日常的に行われているブラック薬局だから高い年収」のケースもあります。

こうしたポイントを理解しながら優れた中途採用の求人募集を見つけるようにしましょう。私の転職体験談が少しでも役に立てばと思います。


薬剤師転職で失敗しないために必要な理想の求人・転職先の探し方とは!

薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

オススメの転職サイトと特徴の違い

注目の人気記事

・私が経験した転職サイト体験談

実際に私は転職サイトを活用して調剤薬局へ就職したことがあります。私が行った転職体験の様子や注意点なども含め、ありのままに公開したいと思います。

管理人による転職体験記

・転職サイトを活用し、転職での失敗を防ぐ

転職を成功させるためには、転職サイト(紹介会社)をフル活用しなければいけません。そこで、具体的にどのように利用すればいいのかを解説します。

転職サイトを有効活用するには

・派遣登録し、高時給で働く

派遣薬剤師は給料が正社員よりも高く、時給3,000円以上も普通です。さらには3ヵ月や半年だけでなく、1日などスポット派遣も可能です。「自由に働きたい」「多くの職場を経験したい」「今月、もう少し稼ぎたい」などのときにお勧めです。

派遣薬剤師の転職サイトランキング

インタビュー記事:薬剤師の転職サイト

・ファーマキャリア

薬剤師求人の中でも、「どこにも載っていない難しい案件」を探すことに特化した、オーダーメイド求人の発掘を行っているファーマキャリアさまへ取材しました。

ファーマキャリアのインタビュー記事

・ファーネットキャリア

「全国どこでも面談を行う」「事前に企業へも訪問して様子を確認する」「転職後のフォローまで行う」など、アナログな部分にこだわり続け、ミスマッチ(転職での失敗)を極限まで低くしているファーネットキャリアさまへ取材しました。

ファーネットキャリアのインタビュー記事