高時給の薬剤師を目指すとき、一般的には派遣薬剤師を目指します。派遣勤務する方法が最も高い時給を得られるからです。パートやアルバイトとして働くよりも、派遣の方が高時給となるのです。

実際に派遣薬剤師として活躍する場合、時給3,000円以上になるのは普通です。少なくても、時給2,600円以上になるのは当然だと考えましょう。大病院で派遣勤務する場合であっても、時給2,800円や時給3,000円などは普通なのです。

ただ、場合によってはそれ以上の求人として時給4,000円や時給5,000円の募集が出されることがあります。

もちろん、そうした高時給の求人は非常に特殊です。普通には出されないため、どのようにして高時給の案件が提示されるのか確認する必要があります。

時給4,000円は年収800万、時給5,000円は年収1,000万

まず、時給に対して年収がどれくらいに相当するのか理解する必要があります。派遣では時給3,000円以上が意外と普通であり、大学病院のような機関であっても時給3,000円で働くことが可能です。

例えば、以下は実際に派遣薬剤師として大学病院への勤務が確定したときに送られたメールになります。

ひとまずは1ヵ月おきの契約であり、その後に更新制となります。産休での薬剤師による代打であるため、契約が1ヵ月で終わることはなく半年以上は勤務することになった求人です。ただ、このように大学病院であっても派遣なら時給3,000円以上が可能なのです。

このとき、時給3,000円だと年収が約600万円になります。

  • 時給3,000円 × 1日8時間 × 月20日 × 12ヵ月 = 576万円

少しでも残業が発生すると、すぐに年収600万円以上になります。派遣で月50万円以上(年収600万円以上)は珍しくありません。そのため病院での派遣だと、何十年も同じ病院で働いている薬剤師よりも圧倒的に高い給料をもらうことになります。

一方で時給4,000円や時給5,000円になると、年収は約800万円や約1,000万円です。

  • 時給4,000円 × 1日8時間 × 月20日 × 12ヵ月 = 768万円
  • 時給5,000円 × 1日8時間 × 月20日 × 12ヵ月 = 960万円

同じく、残業が発生するとすぐに給料が増えるため、上記の金額に収入がプラスされて年収800万円や年収1,000万円となるのです。

高年収の求人は特殊案件になる

薬剤師が転職するとき、年収600万円の実現でさえ難しいです。これが年収800万以上となると、当然ながらほぼ求人が存在しないことを理解できます。

正社員として年収800万以上を目指す場合、エリアマネージャーや経営者などそれなりに高い役職でなければ実現は難しいです。これは派遣でも同様であり、高い時給を目指すのであればそれなりに特殊な調剤薬局やドラッグストアで勤務しなければいけません。

ただ、実際に高時給の求人が少ないながらも出されているのも事実です。どのような薬局になるかというと、以下のような職場から時給4,000円や時給5,000円の派遣求人が出されます。

  • 田舎僻地の薬局
  • 夜間や日曜勤務などで働く薬局
  • 期間限定の求人(契約社員を含む)

こうした求人へ申し込むようにしましょう。

注意点として、派遣求人を確認するときは「提示されている時給のうち、最も低い額に着目する」ことがあげられます。例えば、以下の求人では「時給5,000円も交渉可能」となっています。

ただ、提示されている給料は時給3,000~5,000円となっています。この求人については、時給3,000円が基本であり、それ以上の額になることはほぼありません。そのため、求人票に記載されている数字のうち、最も低い額で時給を調べるようにしましょう。

これを理解したうえで、時給4,000円や時給5,000円を達成できる希少求人について確認していきます。

田舎僻地の薬局で高時給案件が多い

高い時給が提示されるとき、田舎の調剤薬局やドラッグストアで出されることが多くなります。

まず、東京や大阪、名古屋、福岡、横浜を含め都市部でこうした高い給料の派遣求人はほとんど存在しません。それなりに薬剤師が多いため、高時給を提示する意味がないからです。

一方で田舎僻地の薬局であると、それだけ薬剤師の担い手が少なくなります。その結果、多い収入を提示されるようになります。

田舎の薬局では、新卒薬剤師であっても年収600万円以上です。正社員でも時給換算で3,000円以上であるため、経験者薬剤師として派遣勤務するとき、当然ながらそれ以上の時給でなければ話がおかしくなるのです。

こうした事情があるため、田舎僻地の薬局では時給4,000円以上の案件が非常に多くなります。

ただ、田舎の薬局とはいっても必ずしも北海道の最果てにある調剤薬局で勤務する必要はありません。郊外に立地する薬局であれば、問題なく時給4,000円以上となります。例えば、以下は三重にある調剤薬局から出された派遣求人です。

時給4,000円以上であるため、高時給で勤務できるようになります。田舎に行けば、こうした求人が普通に出されるようになります。

他にも、以下は長野にある薬局の求人です。

大手チェーン薬局の求人であり、土日休みです。勤務時間は普通ですが、田舎にある薬局なのでこのように派遣で時給4,000円となっているのです。

夜間や日曜など、特殊な勤務方法だと高時給になる

また田舎でなかったとしても、特殊な働き方でも問題ない場合は時給が非常に高くなります。働きたいと考える薬剤師が少なくなるからです。

田舎僻地の薬局で時給が高くなるのは、それだけ薬剤師の数が少なくなるからです。これと同じようなことは、夜に働く求人や日曜バイトであっても同様に起こります。そのため、このような特殊な働き方では高い時給が提示されるようになるのです。

こうした案件であれば、都市部であっても時給4,000円以上になることがあります。さすがに東京や大阪などでは難しくなりますが、それ以外の都市なら高時給を実現できるのです。

例えば、以下は名古屋の調剤併設ドラッグストアから出された求人になります。

時給3,800円からのスタートと時給4,000円には少し届きませんが、名古屋という大都市なのにこれだけ高い時給が最初から提示されています。

ただ、「土日や午後勤務が可能な方を歓迎」とある通り、平日の昼間に働ける人はそこまで欲していないことが分かります。土日祝日や夜に勤務できる薬剤師が足りていないので、そうした働き方が可能な薬剤師の募集です。逆に言えば、土日や夜でも勤務可能な人だと都市部でも高時給となります。

・夜間勤務可能だとさらに高時給になる

参考までに、夜に働ける場合は非常に時給交渉しやすくなります。日本の法律では、深夜労働(夜22:00~朝5:00)で働く場合は割増賃金25%が適用されるからです。

先ほどの調剤併設ドラッグストアであれば、9:00~23:00の営業です。そこで、転職サイトを通じて応募するときに「20:00以降の勤務は時給4,500円が可能か?」などのように交渉してもらうのです。22:00以降ではなく、19:00や20:00から時給を上げてもらうように調整してもらうといいです。

期間限定の求人へ申し込む

なお、派遣で働くときは1ヵ月や2ヵ月などの更新制とはいっても、希望すれば半年以上は勤務できるのが基本です。どちらかというと、薬局側は「高時給ではあっても、正社員として次の薬剤師が見つかるまで長く働いてほしい」と考えています。そのため、1年以上の長期派遣で勤務することも可能なのです。

ただ、中には「〇〇年4月までの勤務」「3ヵ月だけの限定派遣」などのように、求人募集の段階で派遣業務が終わる区切りが設けられていることがあります。

こうした求人の場合、時給4,000円以上になるのが基本です。

新たな薬局で勤務するのは、覚え直すことや新規ルールがあり大変です。そのため、短期間でコロコロと職場が変わるのを好む薬剤師はいません。通常と同じ条件にも関わらず、「3ヵ月の期間限定」などの薬局へ応募する人など滅多にいないのです。

そのため、期間限定求人では時給5,000円が提示されることもあります。例えば、以下は長野の薬局で出された3ヵ月の期間限定求人です。

求人票にある通り、時給5,000円です。年収1,000万円で働く人とほぼ同じ時給であり、期間限定であればこうした条件で働けるようになります。

この求人の場合、調剤経験が3年以上ある人に限定されています。ただ、そうした薬剤師であれば問題なく高額求人に申し込めるようになります。

高い時給でも薬局は儲かっている

なお、これだけ多くの時給が提示されると心配になるのは「薬局はそれだけ多くの給料を支払っても問題ないのか? 給料泥棒になっていないか」という懸念です。

ただ、これについてはまったく心配する必要がありません。調剤薬局やドラッグストア側はそれ以上に儲かっているからです。

処方せんの1枚当たりの単価は9,000円以上です(参考:厚生労働省・調剤医療費の動向)。この中には調剤費や薬剤費が含まれているものの、平均してこれくらいの儲けになります。仮に薬剤師が1日30枚の処方せんを調剤する場合、月の売り上げは以下のようになります。

  • 1日30枚 × 9,000円 × 月20日 = 540万円

このように、月540万円もの売上があります。

一方で派遣会社の仲介料(マージン)は30%ほどのため、時給5,000円だと薬局側は時給7,100円ほどを支払わなければいけません。「7,100円 × 30% = 約2,100円」が派遣会社(転職サイト)のマージンとなるのです。

つまり、時給5,000円だと薬局は派遣会社に以下のお金を月に支払うことになります(派遣会社はこのお金の中から、派遣薬剤師の報酬を支払います)。

  • 時給7,100円 × 1日8時間 × 月20日 = 約114万円

ただ、既に示した通り薬局の売り上げは1日処方せん30枚でも月540万円です。それ以上に薬局は大きく稼いでいるため、これだけの高時給を提示しても問題ないのです。

住居費用や移動費の支給は普通なので出稼ぎもあり

なお、こうした高時給の案件に応募するとき「自分は田舎に住んでいるわけではなく、高額案件が周囲に存在しない」という薬剤師の方が多いです。ただ問題なく、こうした求人では出稼ぎの人を対象にしていることが多いです。

多くの場合、田舎から出される高額の派遣求人では「住宅付き」「交通費も支給」とされています。これは、出稼ぎの派遣薬剤師を対象にしているからです。当然、田舎に住んでいる薬剤師は少ないので東京や大阪を含め都市部に住んでいる人の出稼ぎを期待しているのです。

例えば、以下は愛知の調剤薬局から出された時給4,000円の派遣求人ですが、住居や転居費用の負担をしてくれます。

こうした派遣求人は一般的であり、高額時給へ転職するときに住む場所について心配する必要はありません。最低限の荷物だけ持っていき、その土地で住みながら勤務するのが一般的です。

実際のところ時給4,000円や時給5,000円になると、出稼ぎでなければ勤務できない求人が非常に多くなります。時給3,000円くらいなら日本全国どこの薬局や病院でも存在しますが、時給4,000円以上になると限られた場所にある薬局でしか提示されないのです。

そのため、出稼ぎまで検討できる人は年収800万以上(時給4,000円以上)の高い収入を得られるようになります。

フルタイムでなくても問題ない

なお、当然ながら派遣として働くようになるため、フルタイムで勤務する必要はありません。パートやアルバイトで働くときと同じように、週3日ほどの勤務でも問題ないのです。

時給4,000円以上を提示してくれる調剤薬局やドラッグストアについても、派遣であると週2~3日ほどの勤務から相談してくれる薬局はたくさん存在します。

例えば、以下は宮城の薬局から出された派遣求人ですが、平日週3日からの勤務可能な求人となっています。

土日祝日が休みであるものの、時給4,000円以上となっています。派遣であれば、パートと同じように働きながら高時給を実現することが可能なのです。

時給6,000円や時給7,000円は存在しない

なお、基本的に薬剤師が高時給を目指すとき時給5,000円(年収1,000万円)が限界だと考えるようにしましょう。それ以上の求人は存在しません。タイミングによっては出されるかもしれませんが、時給6,000円や時給7,000円などの求人は存在しないのです。

転職サイトの求人を見ると、「時給6,000円も検討可能」となっていることがあります。例えば、以下のような求人です。

求人の見出しには大きく「時給6,000円可」とあります。ただ、「給与・手当」には時給3,500~6,000円と記載があり、つまりは時給3,500円の派遣求人だと分かります。

現実的に薬剤師が時給6,000円や時給7,000円を達成するのは現実的ではありません。奇跡的に時給6,000円以上の求人が出されることはあっても、基本的には存在しないと考えましょう。

実際、時給5,000円でさえほぼありません。例えば、以下は求人数5万件以上を誇る転職サイトで「時給5000円」と検索したときの結果です。

このように、日本全国で1件しか存在しません。先ほど、「長野の薬局から出された、3ヵ月限定の時給5,000円求人」を記しましたが、時給5,000円を達成できる募集は私が調べた時点でこの求人1つだけだったのです。

ここから、時給6,000円や時給7,000円の求人がほぼ実在しないことを理解できるのではと思います。

時給4,000円なら田舎の薬局に行けばそれなりに存在します。時給5,000円についても、非常にまれですが実際に出されることがあります。ただ、年収1,000万円を軽く超える時給6,000円や時給7,000円は期待しないようにしましょう。

派遣会社(転職サイト)で求人を紹介してもらう

なお、派遣薬剤師として働くときは必ず転職サイトに登録する必要があります。転職エージェントがすべての派遣求人を取り扱っているためです。そのため、派遣として高時給を目指す場合は必ず転職サイトを活用しましょう。

ただ注意点として、すべての転職サイトが派遣を取り扱っているわけではありません。派遣であっても問題ない転職エージェントへ登録することで、ようやく派遣の求人募集を紹介してもらえるようになります。

こうした転職サイトとしては、薬キャリAGENTとお仕事ラボが有名です。そのため、この2つに同時登録することで派遣の案件を紹介してもらうようにしましょう。

時給4,000円や時給5,000円となると、先に述べた通り非常に求人数が少ないです。年収800万円や年収1,000万円の求人と換算ベースで同じであるため、それだけの高額求人を提示してくれる薬局はどうしても少なくなるのです。

もちろん、このときはあなたが希望する地域の求人に申し込まなければいけません。そのため、先に示した2つの派遣会社に登録することで、できるだけ多くの高時給案件から選ぶようにするのが基本です。

例えば、以下は転職サイトで知られる薬キャリAGENTに存在していた、東京(渋谷)での時給4,000円の派遣求人です。

このように、東京や大阪であっても稀に高額求人が出されることがあります。そのため2つの転職サイトを活用して選べる求人数を増やし、最適な提案をしてくれる転職サイトから「勤務する調剤薬局やドラッグストアを決定する」ようにしましょう。

時給4,000円や時給5,000円で活躍する

時給3,000円であっても年収600万円ほどとなります。これが時給4,000円なら年収で約800万円、時給5,000円だと年収で約1,000万円です。これだけの高額の収入になるため、実際のところ派遣薬剤師であっても時給4,000円以上で働くのは難しいです。

ただ、調剤薬局やドラッグストアによっては問題なくこれだけの高時給が出されることがあります。

田舎の薬局や土日・夜間勤務、期間限定での勤務などでは時給4,000円以上になることがあります。時給2,000円で働くパート薬剤師に比べて、それだけで倍以上の給料になります。そのため、こうした条件で働くことに納得できる場合、時給4,000円や時給5,000円の求人に申し込むといいです。

このとき登録するべき転職サイトは薬キャリAGENTとお仕事ラボの2つです。それぞれ、以下のようになります。

・薬キャリAGENT

あらゆる転職エージェントの中でもトップクラスの求人数を誇る転職サイトが薬キャリAGENTです。エムスリーキャリア株式会社が運営する薬剤師専門の転職サイトになります。

正社員やパートに限らず、薬キャリAGENTには派遣求人もたくさん存在します。また、高額求人が多いことでも知られています。そのため、派遣で高時給を目指すときは必ず登録するようにしましょう。

・お仕事ラボ

転職サイトの中でも、派遣に強みをもつ転職エージェントがお仕事ラボです。派遣に強いことから、パートよりも時給の高い派遣薬剤師を勧められることが多いという、非常に珍しい転職サイトになります。

派遣に強みがあるため、当然ながら高時給の案件もたくさん保有することになります。時給4,000円や時給5,000円の求人へ転職するとき、お仕事ラボも同時に活用しましょう。


薬剤師転職で失敗しないために必要な理想の求人・転職先の探し方とは!

薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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派遣薬剤師は給料が正社員よりも高く、時給3,000円以上も普通です。さらには3ヵ月や半年だけでなく、1日などスポット派遣も可能です。「自由に働きたい」「多くの職場を経験したい」「今月、もう少し稼ぎたい」などのときにお勧めです。

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