薬剤師が転職を検討するとき、ほとんどの人が利用するものに転職エージェントがあります。薬剤師専門の転職サイトはいくつも存在し、大手だと薬キャリAGENTやリクナビ薬剤師などが有名です。
こうした大手の転職サイトの一角としてマイナビ薬剤師があります。当然、多くの人がマイナビ薬剤師を利用します。
ただ、転職サイトごとに特徴は大きく異なります。優れた求人募集を発見するためには、それぞれの転職エージェントごとの違いについて理解しなければいけません。そこで、マイナビ薬剤師の評判・口コミや特徴について、レビューを含めて解説していきます。
もくじ
大手薬局・ドラッグストアや総合病院に強いマイナビ薬剤師
薬剤師の転職エージェントの中でも、マイナビ薬剤師の強みとしては何があるのでしょうか。他の転職サイトにない特徴としては、大手企業とのつながりが非常に強いことが挙げられます。
マイナビは薬剤師の転職に限らず、総合転職を含めて非常に多くの求人案件を取り扱っています。また、マイナビの場合は新卒薬剤師に対しても就職活動の支援を積極的に実施しています。こうしたことから、必然的にマイナビ薬剤師は中小企業よりも大企業とのパイプが強くなっているのです。
例えば大手チェーン薬局であれば、以下のような会社と強いつながりがあります。
- 日本調剤
- ウエルシア
- スギ薬局
- マツモトキヨシ
もちろん、こうした大きな薬局に限りません。新卒薬剤師の案件を取り扱っているため、大病院とのつながりも強いです。
例えば、以下は東京にある418床ある急性期病院での求人募集です。
東京都の東部地区にある基幹病院の一つであり、がん医療にも力を入れています。専門薬剤師の資格取得支援の制度もあるため、勉強したい人に最適な求人です。
総合病院を含め、大きな急性期病院への転職を考えているのであればマイナビ薬剤師はおすすめです。
一般企業の求人にも強く、薬剤師以外への転職も可能
また、マイナビ薬剤師の場合は調剤薬局やドラッグストア、病院の求人に限らず、一般企業であっても求人が存在します。
もちろん、薬剤師にとって企業求人が希少であることには変わりがないです。また、調剤薬局やドラッグストアのように簡単に面接を通過できるわけではなく、きちんとした履歴書を仕上げて面接対策を実施する必要があります。
ただ、薬剤師の資格を活かしながら企業求人へ申し込むことが可能になるのです。このときは治験に関わるCRAやCRCに限らず、薬事職や学術・DI、品質管理を含めて職種は幅広いです。例えば、以下は大手の会社から出されたCRAの求人募集です。
上記の求人だと勤務地は東京、大阪、名古屋、福岡などになりますが、こうした中途採用での企業求人でも問題なく申し込めるのがマイナビ薬剤師です。そのため、調剤薬局やドラッグストア、病院以外の求人で働きたい場合であっても優れています。
倉庫の求人や健康食品メーカーなど、一般的な転職サイトではほぼ存在しないような求人の保有数が多いという特徴をもつのがマイナビ薬剤師です。
求人検索が非公開求人ばかりでない転職エージェント
なお実際に転職サイトへ登録すると、あなたの担当となるコンサルタントが付くことになります。その後、この担当者から求人票が送られてきますが、当然ながら担当コンサルタントから送られてくる求人票だけで判断する必要はありません。自ら検索してもいいです。
このとき、マイナビ薬剤師の場合は「公式サイトでの求人検索で出てくる検索結果」が非公開求人(企業名が分からない状態)ではないケースも多いです。以下のように、企業名だけでなく店舗名まで掲載されていることがよくあります。
転職サイトの中でも、非公開求人ではなく企業名がこのように公開されているケースは珍しいです。詳細に求人内容を確認することができるため、自ら求人を見つけたあと、担当のキャリアコンサルタントへ「この求人の詳細を教えてほしい」などのように問い合わせても問題ありません。
事前面談は都市部、面接同行は全員で可能だが連絡が必要
マイナビ薬剤師の強みはそれだけではありません。まず転職サイトを利用するときは、電話やメールだけの対応になることが多いです。一方でマイナビ薬剤師では、登録後に事前面談を実施することができます。電話よりも対面で話す方が伝わりやすいからです。
都市部であれば事前に担当コンサルタントと面談することができ、面接への同行については希望すれば全員に実施してくれます。
ただ、注意点があります。そのため、「どのように事前面談により相談し、質問すればいいのか」を把握しておかないと、うまくマイナビ薬剤師を使いこなすことができません。具体的な注意点としては、以下のようなポイントがあります。
・事前面談はマイナビ薬剤師の事務所へ出向く必要がある
このとき面談を受けるためには、こちらからマイナビ薬剤師の事務所へ出向かなければいけません。この点については、大きなデメリットになります。
一方で、転職サイトによってはあなたが住んでいる地域までキャリアコンサルタントが足を運んで面談してくれます。しかしそうしたサービスはなく、あくまでも薬剤師が事務所へ出向かなければいけません。
参考までに、マイナビ薬剤師の事務所は以下の地域にあります。
- 北海道(札幌)、宮城(仙台)
- 関東:東京(新宿)、神奈川(横浜)、埼玉(大宮)、千葉
- 愛知(名古屋)、石川(金沢)
- 大阪、京都、兵庫(神戸)
- 広島、岡山
- 福岡、鹿児島
こうした事務所へ行くことで、担当者と面談することができます。ただ、事前面談はこちらから強く希望しないと実現できません。実際、私は岡山に住んでいるときにマイナビ薬剤師を利用たことがあり、このときは電話とメールだけで話が進んでいきました。
日程調節が面倒だったのかどうかは不明ですが、電話の方が手軽であり、そのような対応になったのです。そのため、自分から「面談を受けたい」と連絡しなければ実現できないと考えましょう。
なお、あなたの住んでいる地域にマイナビの支店がない場合、事前面談は諦めるようにしましょう。あなたの地域まで担当者が足を運んでくれることはないからです。その場合、電話やメールだけのやり取りになります。
・面接同行は全員が可能だが同様に連絡必須
また前述のように、マイナビ薬剤師では事前面談だけでなく、面接同行も実施してくれます。面接同行については、マイナビ薬剤師の支店がどこにあるのかに限らず、全国どこでも求人先の面接場所まで同行してくれます。
ただ、面接同行についても事前に「面接同行してほしい」と依頼しなければ実施してくれません。面接同行は可能であるものの、必ずしもキャリアコンサルタントから積極的に面接同行実施の案内をしてくれるわけではないのです。
面談や面接同行のサービスがあるのはメリットですが、自らこうしたサービスについて質問によって切り出さない限り実施してくれないデメリットがあることは理解しましょう。
なお、面接同行をしてもらうかどうかに関わらず、必ず店舗見学は実施するといいです。特に調剤薬局やドラッグストアの場合、面接を受けるのは本社です。実際に働く店舗で面接するわけではありません。そのため、面接後はこれから勤務する予定の店舗を見学させてもらうのです。
店舗見学を実施すれば、一緒に働く薬剤師の様子や調剤設備を含め、求人票には掲載されていない情報がたくさん見えてくるようになります。
「患者さんの数が非常に多く、薬剤師は忙しそうだった」「実際のところ、残業は毎日1時間くらい発生することを聞けた」など、職場見学を実施するからこそ分かることは多いです。そのため、面接後は必ず店舗見学をしましょう。
マイナビ薬剤師の担当者が面接同行してくれる場合、面接後にその場で申し出れば店舗見学を調整してくれます。一方で面接同行なしの場合、職場見学をセッティングしてもらうように事前に伝えるといいです。
・履歴書や職務経歴書の添削も可能
なお、調剤薬局やドラッグストアでは必要ないですが、病院や一般企業への転職であれば適切な履歴書を作成しなければいけません。
このとき、どのような履歴書や職務経歴書を作ればいいのかマイナビ薬剤師の担当者に相談しても問題ありません。キャリアコンサルタントとして、作るべき履歴書を指導してくれます。あなたから履歴書添削サービスについて問い合わせする必要はありますが、担当者が相談に乗ってくれます。
求人数は普通だが、年収・給料が低めなのはデメリット
なお、マイナビ薬剤師に存在する全体的な求人数はそこまで多いわけではありません。求人の数自体は普通です。これは、マイナビ薬剤師には大手企業からの求人案件が多いからです。
世の中にある会社としては、中小企業がほとんどです。全体の95%以上が中小企業であり、調剤薬局を見ても中小薬局の方が圧倒的に数は多いです。これは病院でも一般企業でも同様であり、規模が大きい会社ほど数は少なくなります。
大手企業の求人数が多いことから、それだけ全体の求人数は少なくなると考えましょう。
また、マイナビ薬剤師では掲載されている企業の年収・給料が低めです。もちろんこれは、大手チェーン薬局や大病院の求人が多いという理由があります。大手からの求人だと、どうしても年収は低くなりがちになります。
そのため、たとえマイナビ薬剤師に掲載されている募集であっても、中小薬局の求人を見つければ高年収を実現できます。例えば、以下は東京の調剤薬局から出された管理薬剤師の中途採用求人です。
東京や千葉に6店舗ほど展開する中小薬局ですが、このように高年収の案件についても問題なく存在します。ただ、全体的には「求人票へ提示された収入の額が低くなりがち」と考えるようにしましょう。
転職サービスの使い方や特徴、流れ
それでは、実際にマイナビ薬剤師へ登録した後はどのような流れになるのでしょうか。使い方や特徴を事前に理解しておく必要があります。
1. 公式サイトから登録し、ヒアリング後に求人を紹介してもらう
まずは公式サイトから登録するようにしましょう。正社員に限らず、パート・アルバイトで働きたい場合でも登録できます。このときは自動返信メールがあります。
登録後は電話やメールでの連絡があります。前述の通り事前面談は可能ですが、「面談を希望する」ことを伝えなければ、以後は電話対応になります。
こうしたヒアリングの後は実際に求人を紹介してもらいます。担当アドバイザーから求人を提示してもらい、興味のある求人については詳細を教えてもらうといいです。
2. 面接を行い、気に入れば転職を行う
その後、実際に求人先の面接を受けましょう。このとき面接同行を希望するのであれば、担当者に面接同行を依頼するといいです。当然、店舗見学は必須です。
転職するとき一般的には、いくつもの薬局や病院の面接を受けるようにします。内定が出たとしても、断りの電話はマイナビ薬剤師の担当アドバイザーが行うので複数企業の面接を気軽に受けるといです。
ちなみに、マイナビ薬剤師を利用するときは営業時間を特に気にする必要はありません。深夜であっても問題なく対応してくれるため、勤務終了後に担当者に電話するなど積極的に活用するといいです。
マイナビ薬剤師の利用自体は無料です。ただ、実際に転職成功させるとマイナビ薬剤師は薬局や病院側から一人100万円以上の仲介手数料を成功報酬でもらうようになります。そのため遠慮する必要はまったくなく、深夜であっても電話するなど担当者を使い倒して問題ありません。
・利用しないときの退会・解約の手続きは簡単
ただ、マイナビ薬剤師に登録はしたものの利用しないようになることもあります。「他の転職サイトで就職先を決めた」「中途採用での転職自体をやめた」などケースです。こうした場合、登録解除はどうすればいいのでしょうか。
マイナビ薬剤師の退会・解除の方法は非常に簡単です。担当アドバイザーに電話やメールを送り、登録解除してほしいことを伝えるだけで問題ありません。
これだけでその後の電話やメールはなくなります。しつこい案内がずっと続くわけではなく、利用しないときの登録解除は非常に簡単です。
登録後の担当者(キャリアコンサルタント)の評価や満足度は運
なお、実際にマイナビ薬剤師に登録後、どのようなキャリアコンサルタントが付くのかについては完全に運となります。
大手の転職サイトではどこも共通しますが、新人の担当者が付く確率は非常に高いです。薬剤師で転職が活発なのと同じように、キャリアコンサルタントの業界も転職が非常に多いのです。そのため、「管理薬剤師」「一人薬剤師」などの言葉すら知らないコンサルタントが担当になることもあります。
大手だからこそ、敏腕コンサルタントが担当になるのか、それとも新人コンサルタントが付くのか不明であり、在籍コンサルタントの質はバラバラです。転職サイトへの評価や満足度は担当者によって大きく左右されます。同様に、マイナビ薬剤師を利用して実際に優れた転職を実現できるかどうかも、担当者の優劣に依存します。
こうした事情があるのでほとんどの薬剤師が2~3社以上の転職エージェントを利用します。実際にマイナビ薬剤師へ登録後、最適な求人を提案してくれる担当者かどうか様子を見るといいです。
電話やメールはしつこい?マイナビ薬剤師の特徴
なお、人によっては「マイナビ薬剤師に登録後の電話やメールがしつこいのでは」と感じる場合があります。こうした評判・口コミについては実際のところどうなのでしょうか。
事実、マイナビ薬剤師に登録後はしつこい電話がかかってきます。ただ、これはある意味当然です。実際に電話でヒアリングを実施しなければ、どのような求人を望んでいるのか見当がつかないからです。
また、「マイナビ薬剤師で事前面談が可能」とはいっても、基本的には薬剤師が希望したときだけです。特に要望を伝えなければ、最初は電話やメールだけで進んでいきます。
ただ、たとえ「電話が苦手で、メールでのやり取りを希望していた」としても、転職時の要望をメールで長々と伝えるのは不可能です。そのため、最初は必ず電話が必須になります(または、メールで面談の日程を決める)。
中途採用の求人を提示するとはいっても、「年収アップを考えている薬剤師」と「時短勤務を考えている人」では求める内容が大きく異なります。「薬剤師が転職によって実現したい条件を詳細に知る」ことで、ようやく最適な求人を提示できるため、最初はしつこい電話やメールが必要になるのです。これについては、事前に理解しましょう。
なお要望を伝えれば夜遅い時間でも対応してくれるため、あなたが対応可能な時間帯を事前に伝えておくと、以後のやり取りはスムーズに進んでいきます。
パート・アルバイトの中途採用でも可能
なお、マイナビ薬剤師では正社員に限らずパート・アルバイトの求人も広く存在します。そのため正社員を考えている人に限らず、パート薬剤師として活躍したいケースでも問題なくマイナビ薬剤師を利用できます。
当然、パート・アルバイトでも大手企業の求人が多くなっています。中小薬局でもパート募集をしていますが、大手の会社で勤務しても問題ありません。
なお、一般的に大手チェーン薬局で正社員として勤務をする場合は異常なほど収入が低くなります。無駄に残業も多く、全国転勤もあるのであまり働くメリットはありません。ただ、パート・アルバイトであれば勤務地は固定されますし、大手チェーン薬局であっても時給2,000円以上です。そのため、中小に限らず大手チェーン薬局を含めて好きな場所で働くといいです。
例えば、以下は全国展開している大手チェーン薬局の中途採用求人であり、埼玉の店舗から出されたパート求人です。
このように時給2,600円以上であり、大手にも関わらずパート・アルバイトとして働くときの時給は高いです。
正社員とは異なり、パート・アルバイトであれば大手の調剤薬局やドラッグストア、病院を含めていろんな求人から勤務場所を探すといいです。
派遣のない人材紹介会社がマイナビ薬剤師
なお、薬剤師の人材紹介会社の中には派遣薬剤師の取り扱いがある転職サイトと、そうでない転職エージェントがあります。
マイナビ薬剤師については、派遣の取り扱いがほぼありません。そのため、派遣薬剤師として活躍することを考えている場合、他の人事紹介会社を利用するのが適切です。
薬剤師の派遣に優れた転職サイトとしては、薬キャリAGENTとお仕事ラボの2つが知られています。正社員やパート・アルバイトならマイナビ薬剤師でも問題なく対応できますが、派遣になると他の転職エージェントを利用するようにしましょう。
マイナビ薬剤師とリクナビ薬剤師の違いは何か
なお、転職サイトの中でも見分けがつきにくいものとして、マイナビ薬剤師の場合はリクナビ薬剤師との違いがあげられます。
- 事前面談が可能
- 大手の企業求人に強い
- 派遣の取り扱いはない
このように、マイナビ薬剤師とリクナビ薬剤師はサービス内容が非常に似ています。ただ、リクナビ薬剤師は事前面談が東京のみなのに対して、マイナビ薬剤師では全国各地にある支店で可能です。要望を伝えれば、基本的には誰でも面談してくれます。
リクナビ薬剤師はよほどのことがない限りは電話対応になるため、全国各地で面談可能なマイナビ薬剤師とはこの点で違いがあります。
また、マイナビ薬剤師では面接同行してくれますが、リクナビ薬剤師だと面接同行はありません。リクナビ薬剤師では一人だけで面接に出向き、その後の職場見学も実施する必要があります。この点についても、マイナビ薬剤師とリクナビ薬剤師の違いになります。
マイナビ薬剤師と比較して、スピード重視になるのがリクナビ薬剤師です。どちらが優れていておすすめというものはないですが、こうした違いを理解したうえで利用するといいです。
マイナビ薬剤師で薬剤師転職を実現する
マイナビは大手の総合転職サイトで知られていますが、この薬剤師部門がマイナビ薬剤師です。大手が運営し、薬学生の就職活動も支援していることから、転職エージェントの中でも大手企業とのパイプが強いという特徴があります。
また知名度が高く、信頼性という意味では評価できます。事前の面談や面接同行してくれる点も優れています。ただ、面談や面接同行は希望しないと実施してくれないため、これについては「面接同行を希望します」などのような依頼によって確認するといいです。
転職サイトには、大手の転職エージェントとして「薬キャリAGENT」「リクナビ薬剤師」などがあります。これら大手の転職サイトの一つとして、他にもマイナビ薬剤師があります。転職エージェントごとに特徴が大きく異なるため、事前にサービス内容を把握したうえで登録するようにしましょう。
評判・口コミに限らずマイナビ薬剤師の具体的な使い方やレビュー、評価できるポイントを含め、注意点を記しました。特に大手薬局や総合病院、一般企業への転職を考えている場合は登録必須の転職エージェントであるため、マイナビ薬剤師を利用して優れた中途採用の求人募集を見つけるといいです。