薬剤師が転職を決意するときは、同時に今いる会社から退職することを決めることにもなります。その後、新しい職場で働き始めることになります。

このとき、薬剤師はどのような手順で転職を完了させればいいのでしょうか。特に初めての転職であれば、実際の流れや必要書類を含めて分からないことが多いです。

また、いまの職場を退職して転職するときはいつから準備を行えばいいのでしょうか。在職中に活動するのが基本になるのでしょうか。

転職は何度も行うものではないため、初めての転職に限らず、2回目や3回目の転職であっても手順があやふやな薬剤師が多いです。そこで、薬剤師がいつからどのようにして転職の準備を開始すればいいのかについて、必要書類や流れを含めた確認事項を解説していきます。

転職先を決めるタイミングを理解する

薬剤師が転職活動を行うとき、最初に「どのタイミングで転職活動を開始するのか」を明確にしなければいけません。つまり、いつから中途採用の求人を探して応募するのかを決めるのです。

このとき、人によって行動パターンが大きく二つに分かれます。主に次のようなパターンがあります。

  1. 退職を完了させた後、転職先を決める
  2. いまの職場に在籍中のときから転職活動する

当然ながら正解はありませんが、どちらもメリットとデメリットがあります。

ただ、これらのうち「2. いまの職場に在籍中のときから転職活動する」を選ぶ人が多いです。当然理由はありますが、それぞれの転職活動の利点を理解したうえで、どちらの方法が適切なのかを選ぶようにしましょう。

先に退職した後、転職先を決めるときの問題点

まず、先に退職を完了させた後に転職先を決める場合、どのようになるのでしょうか。このやり方であれば、自分のペースで転職活動を進めることができます。

在職中に求人を探す場合、仕事終わりや休日に活動しなければいけません。一方、既に辞めた後であれば時間が余るため、余裕をもって活動できるようになります。

特に「長期の海外旅行を楽しみたい」「いまのうちに遊んでおきたい」などと考える人であれば、まずは退職するのが適切です。半年ほどの休憩・休養期間を設けた後に薬剤師としてのキャリアを再開させたいと考える人はいます。

ただ、もちろん利点だけではありません。デメリットもあるので、そうしたことを考慮しながら天秤にかけるといいです。

・空白期間を生じる

一番のデメリットは薬剤師として空白期間を生じることです。退職して求人を探し、転職完了するまでは薬剤師として働いていないことになります。この間は当然ながら給料は入ってきませんし、薬剤師のキャリアが空くことになります。

お金に困っている人の場合、働き始めるまでの時期が遅く空白期間を生じてしまうと生活が非常に苦しくなります。

・居候先の確保が必要

正社員の薬剤師として働いていた人が転職する場合、居候先を確保する必要があります。薬剤師であれば調剤薬局、病院、ドラッグストア、企業と多くの会社が住宅手当を出してくれます。いわゆる借り上げ社宅の福利厚生があるのです。大病院であれば、敷地の隣に社宅を用意してあることがあります。

住宅手当は非常にありがたい存在ですが、いまの会社を辞めるときはその場所を出ていかなければいけません(または、住宅手当なしの状態で住み続ける)。そのため、再び就職して働き始めるまでは実家に帰ったり、友人宅にお世話になったりする必要があるのです。

もちろん、既に実家暮らしであったり結婚して家を建てていたりする人などであれば関係ありません。また、パート・アルバイト、派遣として働く人であれば、そもそも住宅手当をもらっていないケースがほとんどです。

ただ、正社員として転職する場合、住宅補助を受けている正社員の人がいまの会社を辞めるときは、実家や友達など住む場所を確保する必要が発生します。

働きながら転職先を決め、退職する方法について

しかし、実際のところ在職中に転職先を決定させ、その後に正式に退職する人がほとんどです。薬剤師としてのキャリアに空白期間を設けることなく、適切なタイミングで転職できるからです。

もちろん「精神病を回復させたい」「育児に専念したい」など、何らかの理由があって休息期間を設けたい人の場合、先に退職してしまいます。ただ、そうではなく薬剤師として継続して活躍することを考えている場合、ほとんどの人が在職中に転職活動をすることになります。

これには、当然ながら理由があります。

・最適な求人をつかめるチャンスが多くなる

「退職を決めた後のタイミングで求人を探せばいい」と思っていると、良い求人を見つけられない可能性があります。求人はみずものであり、求人を出す会社(薬局、病院など)は「すぐにでも薬剤師に働いてほしい」と考えているからです。

また、「退職後にすぐ働きたい」と考えている人であれば、退職した後の短い期間の中で転職活動をしなければいけません。この短い転職期間中に最適な求人を見つけられるかどうかは運次第です。

一方で先に転職サイトなどに登録しておくと、最適な求人が出た段階ですぐに紹介してもらえるようになります。基本的に退職までには1~3ヵ月(または、それ以上)の期間を設ける人がほとんどなので、長い目で見ながら最適な求人を発掘できるようになるのです。そのため、多くのチャンスを掴む可能性が高くなります。

いつになっても、「高年収」「土日休み」を含め優れた内容の薬剤師求人は人気が高いです。条件の良い案件はすぐに埋まってしまうのです。例えば、以下はパートではなく正社員であるにも関わらず、育児中の急な看護休暇を認めている調剤薬局から出された求人です。

本当の意味で育児に対して理解のある職場だと、時短勤務の延長や看護休暇(子供の急な発熱などの理由でも休ませてくれる制度)を整えています。ただ、薬局であってもこうした職場は稀なのでママ薬剤師がすぐに申し込み、すぐに求人がいっぱいになります。

これら良い求人をあなた自身が引き寄せるには、それなりの努力も必要になります。そのためには、在職中から転職サイトに登録して準備しておくなど、早めの行動が必要になるのです。

「退職を完了させた後に転職をする」という方法でも問題ないですが、働きながら転職活動する方が良い求人に出会える確率は高くなります。

初めて転職するときの流れや手順、確認事項

それでは、実際に職場を退職して求人を探し、転職完了するまでの流れや手順としてはどのようになるのでしょうか。また、どのような必要書類が必要になるのでしょうか。

いつから転職活動を進めるのかについて、転職時のタイミングを理解した後は実際のやり方を理解する必要があります。

このときの手順について、多くの薬剤師が選択する「いまの職場に在籍しながら、転職活動を進める」という方法で解説していきます。在職中の薬剤師が転職活動を進めるとき、以下の流れに沿って進めていきます。

  1. 転職サイトに登録し、電話・メールで求人先を紹介してもらう
  2. 日程を調節し、面接を行う
  3. いまの職場に退職の意思を伝える
  4. 転職までに必要書類を整え、正式に転職する

それぞれの手順について、確認事項をより詳しく確認していきます。

転職サイトに登録し、電話・メールで求人先を紹介してもらう

初めて転職する人に限らず、すべての薬剤師で必要になるのが「転職エージェントに登録する」という過程です。転職サイトを活用することで、求人を紹介してもらうのです。

自ら優れた求人を探すのは現実的でないですし、転職エージェントを通した方が年収や勤務条件を含めて良い条件で就職できます。転職サイト側が求人先の調剤薬局やドラッグストア、病院、企業と交渉してくれるからです。

このとき、多くの場合は最初に電話がかかってきます。また転職サイトによっては、メールにて面談の設定をすることもあります。いずれにしても、最初はどのような転職を実現したいのか電話か対面(面談)にて担当者と話す必要があります。

その後、メールなどで求人票がピックアップされて送られてきます。例えば、以下のような感じになります。

ただ担当するコンサルタントによって質が異なり、ピッタリの求人でもないにも関わらず推し進めることがあります。こうした事態を避けるため、3社以上の転職サイトに登録して最適な求人を紹介してくれる転職サイトの担当者だけを残すなど、工夫しなければいけません。

当然、あなたにとって合わないと思った求人については、必ず断るようにしましょう。すぐに転職先を決めてしまい、失敗してしまうのは大きな問題です。少しでも違和感があれば、紹介してもらった求人を断る勇気も必要です。

例えば、薬局によっては以下のような異常に古い分包機をいまでも使っていることがあります。

こうした職場の場合、社長が設備投資を惜しみケチである可能性が非常に高いです。そうした職場だと優れた医療を提供できないため、どれだけ求人票の条件が優れていたとしても転職するべきではありません。職場見学などを実施すれば、こうしたことを含めて見えてきます。

一生の働き先を決めるために転職するため、就職先の妥協をしてはいけません。また、人生を決めるため、いくつもの転職エージェントへ登録してそれぞれを比較するのは当然の作業だといえます。

日程を調節し、面接を行う

そうして気になる求人があれば、面接日を設定してもらい、実際に求人先へ出向いて面接を受けます。働きながらの転職であれば、面接を行う日の調節が少し大変です。面接は平日に行うのが基本だからです(場合によっては土曜日)。

ただ調剤薬局やドラッグストア、病院で働いている人であれば、平日休みの日があると思います。面接先が近ければ半休を取れば問題ないですし、県外にある求人案件であれば1日休みのタイミングで面接に行きましょう。

企業の薬剤師であれば、どこかの段階で有給休暇を活用して休みを取るようにしてください。転職はあなたの人生を左右するため、休みを取らないのはダメです。

半日や1日の休みを取って面接を受けるとき、一気に2~3社を回って面接することは普通なので、どこかのタイミングで平日に面接の時間を確保するようにしましょう。自分の人生を決めるにも関わらず、半休や1日の休みすら取れないのはあり得ないと考えた方がいいです。

なお、私も薬剤師として何度か転職サイトを利用して転職活動を体験しましたが、このときは転職エージェントから面接先の連絡を事前にもらいます。以下のメールについては、翌日に調剤薬局の面接を受ける予定だったため、それに関するリマインドのメールになります。

私は岡山県の出身であり、勤めていた企業を辞めて地元に帰るために調剤薬局へ転職したのですが、このときにやり取りしたメールになります。当日は10:45に薬局の本社へ出向き、面接となりました。

なお、面接の段階で必要なものとしては履歴書がありました。そのため履歴書だけ用意して、面接に出向くことにしたのです。

いまの職場に退職の意思を伝える

ピッタリだと思う求人に巡り合って内定をもらった後、転職サイトの担当者経由で連絡がきます。私の場合も同様に、以下のようにメールがきました。

その後の手順としては、いま働いている職場に退職の意思を伝えるようにしましょう。無事、やめることができれば転職完了です。

しかし退職するとき、いまの職場から引き止められることがあります。ただ、引き止めに応じてはいけません。退職の引き止めに応じると微妙な雰囲気の中で働く必要があるため、結局のところ数日後には「やはり転職したい」と思うようになります。

また、引き止めに応じると転職活動をして内定を出してもらった求人先にも多大なる迷惑をかけてしまいます。全員が損をするため、あまり良いことにはなりません。

・転職するとき、入社を待ってくれる期間

働きながら求人先との面接を終えて受け入れが決まれば、転職先はある程度まで待ってくれます。転職先の都合にもよりますが、正社員やパート・アルバイト、派遣では転職完了まで2~3ヵ月は待ってくれることが多いです。

しかし職場によって事情は異なるため、転職先が決定した後はどれくらいの期間を待ってくれるのか確認するようにしましょう。

退職するにしても、引継ぎ期間が非常に短く急な転職になるのは避けるのが基本です。一般的には、1ヵ月以上の猶予期間を設けて退職します。そのため1ヵ月ほどなら確実に入社を待ってくれますが、退職までそれ以上の時間がかかる場合、その事実を伝えて退職まで待ってもらうように調節してもらうといいです。

転職までに必要書類を整え、準備して正式に転職する

ここまでを実施した後、転職で必要な書類を集めるようにしましょう。まず、必須となるものに薬剤師国家資格(薬剤師免許証)があります。多くの人が忘れがちな書類ですが、転職をするときは原本またはコピーを必ず提示しなければいけません。

薬剤師免許証については再発行できますが、再発行されて手元に届くまで1~2ヵ月ほどの期間がかかります。そのため薬剤師免許証がどこにあるのか事前に調べておき、必要書類として早めに手元に置いておきましょう。

その後、転職するにあたって細かい書類・物品を整理していきます。このとき、いま在職中の会社へ返却しなければいけないものと、もらうべきものが存在します。確認事項としては、以下の通りです。

【会社に返却するもの】

  • 社員証、名札、名刺
  • 健康保険証
  • 白衣や制服(貸与品)
  • 定期券
  • 社内資料、データ、社内情報・顧客情報が関わるもの

まず、会社からもらっているものがたくさんあるはずです。社員証や名札などを含めた私物以外のものについて、書類や物品を含めてすべて返却しましょう。

他にも、例えば以下のように健康保険証(社会保険証)には会社の名前が記載されています。

そのため、健康保険証についても返却しなければいけません。

扶養内のパート・アルバイトのため国民健康保険であるなら関係ありません。ただ、正社員や年収130万円以上のパート薬剤師については、これら健康保険証を返す必要があるのです。

【会社から受け取らなければいけないもの】

その反対に、転職に当たって会社から返してもらわなければいけない必要書類があります。これについては、以下の通りです。

  • 薬剤師免許証(預けている場合)
  • 年金手帳
  • 源泉徴収票
  • 雇用保険被保険者証
  • 離職票(転職先が決まっている場合は不要)

薬剤師免許証や年金手帳については、会社に預けている場合は返してもらう必要があります。また、源泉徴収票や雇用保険被保険者証は次の転職先の会社へ提出しなければいけません。例えば、以下は私が最初の会社を辞めて転職したとき、送ってもらった源泉徴収票になります。

こうした書類を郵送またはメールで送ってもらうようにするといいです。源泉徴収票などはあまり聞きなれませんが、必要書類になるので必ず集めるようにしましょう。

なお、具体的にどのような書類を集めればいいのかについては、転職エージェントの担当者に聞くといいです。必要書類を聞いておき、どのタイミングで書類を集めるのか手順を聞いておけばスムーズです。

転職時の流れ・手順を把握する

初めての転職を含め、どのような流れによって新たな職場で働くようにすればいいのかについて、その手順を解説してきました。

まずは、いつから転職活動を開始するのか決めましょう。ただ、特別な理由がない限りは在職中から転職活動を進めることになります。育児など理由があって薬剤師の仕事を休む人以外は、ほぼ全員が在職中に新たな転職先を見つけた状態で退職するのです。

そうして実際にいくつかの転職サイトへ登録し、担当者とやり取りをしながら求人を紹介してもらい、最適な案件を紹介してもらうようにしましょう。

転職時は源泉徴収票を含め、普段はあまり聞きなれない必要書類がいろいろ発生するようになります。どのような手順を踏めばいいのかについては、転職エージェントの担当者がすべて教えてくれるため、それに沿って転職活動を進めていくといいです。


薬剤師転職で失敗しないために必要な理想の求人・転職先の探し方とは!

薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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・派遣登録し、高時給で働く

派遣薬剤師は給料が正社員よりも高く、時給3,000円以上も普通です。さらには3ヵ月や半年だけでなく、1日などスポット派遣も可能です。「自由に働きたい」「多くの職場を経験したい」「今月、もう少し稼ぎたい」などのときにお勧めです。

派遣薬剤師の転職サイトランキング

インタビュー記事:薬剤師の転職サイト

・ファーマキャリア

薬剤師求人の中でも、「どこにも載っていない難しい案件」を探すことに特化した、オーダーメイド求人の発掘を行っているファーマキャリアさまへ取材しました。

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・ファーネットキャリア

「全国どこでも面談を行う」「事前に企業へも訪問して様子を確認する」「転職後のフォローまで行う」など、アナログな部分にこだわり続け、ミスマッチ(転職での失敗)を極限まで低くしているファーネットキャリアさまへ取材しました。

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