薬剤師として働くときは当然ながら勉強しなければいけません。薬の勉強が嫌いだと薬剤師に向いておらず、薬剤師は常に最新知識を求められるようになります。

このとき、特に調剤未経験やブランクありの状態だと、どのように薬について勉強すればいいのか分かりません。そのため転職後や復帰後、調剤薬局やドラッグストアで患者さんにきちんと服薬指導できるか心配になるのです。

そうしたとき、研修制度をうまく活用しましょう。その会社独自で実施している研修制度があれば、薬剤師会などの団体が主催している勉強会もあります。薬剤師として学ぶことを考えるとき、これらの研修へ参加するのは基本です。

ただ、企業によっては研修制度をうまく活用できないことがあります。そこで、未経験やブランクありの薬剤師が転職・復職するときに、どのような研修制度のある求人を選び、復帰すればいいのかについて確認していきます。

中途採用の募集でも企業が提供する新人研修はあるのか

企業研修で多くの人が着目するものとして、一般的には新人研修があります。新卒の薬剤師に対して行われるものですが、中途採用だと中途半端な時期に入社するのが基本です。このとき「新卒向けの一般的な新人研修」を、中途採用者を対象に実施する調剤薬局やドラッグストアは、ほぼありません。

ただ、こうした新人研修ではなくても、中途採用の薬剤師向けに研修を実施する会社は存在します。例えば、以下は東京にある調剤併設ドラッグストアですが中途採用向けの研修制度が存在します。

こうした店舗へ転職すれば、調剤未経験やブランクありの状態で入社したとしても研修を受けた後に現場へ出ることになります。

ただ中途向けの研修なので、新人研修とは大きく異なることに注意しなければいけません。新卒向けの研修であれば、2週間や1ヵ月などの長い研修期間を設けた後に現場へ出されます。一方でこうした中途向けの研修では、研修があるとはいっても一般的に本社で1~2日ほどの期間になります。

このときは薬局独自のシステムを学ぶなどの研修内容であり、薬の勉強が積極的に行われるわけではありません。

薬の勉強はOJTによる現場が基本

それでは、医薬品の勉強を研修で行わないとなると、どのようにすればいいのでしょうか。これについては、実際に現場へ出た後に指導されながら学ぶのが基本になります。つまり、OJT(現場での直接指導)がメインです。

ちなみに、私が初めて調剤薬局へ転職したときは研修などはなく、現場で業務を体験しながら勉強していきました。以下のような書類を薬局内の見える場所へ置き、いつでも開けるようにしていたのです。

最初は薬のピッキング作業から始まり、一般名と先発医薬品の名前が合うようにしていきます。その後、慣れてきたら患者さんに投薬(服薬指導)をしていくようになったのです。

服薬指導とはいっても、患者さんに処方薬を説明するための紙がどの薬局でも印刷されます。これをもとに説明すればいいため、実際のところ服薬指導で大きく困ることはありません。

また患者さんに質問されて分からなかった場合でも、「正確な答えを返すために調べてもいいでしょうか」と答えればいいだけです。そのため、服薬指導で困ることは実は少ないです。

なお、最初は薬が1~3種類だけ載っている簡単な処方せんから慣れていきます。このようにして、実際に現場で活躍しながら薬剤師業務に慣れていくようにするのが基本です。

ちなみに中途採用向けに1~2日ほど(長くても1週間)の研修を実施しているのは、大手チェーン薬局に多いです。ただ、そうした研修を実施していない中小薬局へ未経験やブランクありの状態で転職したとしても、実際のところOJTが一番のメインになると考えましょう。

研修内容は「転職後の外部研修の充実度合い」で判断するべき

なお、実際に私が薬剤師として転職し、いろんな調剤薬局やドラッグストアを見た経験からいうと、転職後の外部研修がどれだけ優れているかの方が圧倒的に重要だといえます。

新人研修とはいっても、先に述べた通り実際には現場に出た後に学ぶことの方が圧倒的に多いです。現場を知らずに勉強しても頭に入りませんが、実際に薬に触れながら生の実例を見て薬を理解していった方が頭に入りやすいです。

ただ、薬剤師として勉強するべきは「未経験やブランクありの人が学ぶべき必要最低限のことではなく、ある程度の知識を付けた後にプラスで見つけるべき知識」だといえます。これにより、ようやく他の薬剤師よりも多くの知識を付けられるようになり、患者さんへ貢献できるようになります。このような知識を獲得するために有効なのが、「転職後の外部研修」なのです。

これについては、大手チェーン薬局や中小薬局を含め独自の取り組みをしている調剤薬局・ドラッグストアがあります。例えば、以下のような薬局です。

  • 外部講師を招いての研修を実施している
  • 漢方薬や在宅の勉強会を開催
  • 本店での集合研修を2ヵ月に1回は開催

薬局によって研修内容は異なりますが、実際に働き始めた後にどのような研修があるのかを確認しましょう。例えば、以下は名古屋(愛知)にある調剤薬局ですが、外部講師を招いての勉強会を実施しています。

ただ、場合によっては研修の内容が非常につまらないものばかりなケースがあります。例えば、「本店での集合研修あり」となっていたとしても、各店舗が現状を伝えるだけの報告会に過ぎないことはよくあります。

研修とはいっても、求人票に書かれてある内容だけで判断してはいけません。具体的にどのような研修になるのか確認するようにしましょう。転職時は面接後に職場見学を実施できるため、このときに現場の薬剤師へ「どのような研修があるのか」を聞くと効果的です。

薬剤師会の勉強や地域支援に積極的な職場を確認すべき

また、薬剤師として勉強を重ねていくという意味では、薬剤師会の活動へどれだけ積極的に参加できるかは重要です。実際のところ薬局側が主催する勉強会には限度があります。ただ薬剤師会などの団体であれば、これらの勉強会が定期的に開催されています。

薬局であれば、必ず以下のような勉強会の案内が来ます。これらには自由に参加できるため、こうした薬剤師会の研修会へ参加することで新たな知識を得ることができ、スキルアップを図れます。

しかし、薬局によっては薬剤師会の会費を負担してくれないことがあります。また、無駄に残業が多くこうした勉強会へ実質的に参加できない薬局もたくさん存在します。こうした調剤薬局やドラッグストアだと研修に参加できないため、転職時は避けなければいけません。

また、薬剤師会だけでなく地域住民に対して積極的に貢献する調剤薬局の求人であれば、他の薬剤師では体験できないことをさせてもらえます。例えば、学校薬剤師として関わるなどです。また、地域の公民館での講演を経験できることもあります。

実際、私も薬局薬剤師として以下のように地域住民を相手に公民館でセミナー講師を体験したことがあります。

この場合は研修を受ける側ではなく、研修をする側になります。ただ、教えることが最大の勉強になるため、結果として多くの知識を得られるようになります。

こうした薬局は東京や大阪などの都市部に限らず、地方の薬局を含めていろんな地域に存在します。例えば、以下は地域密着型の調剤薬局であり、学校薬剤師にも関わることができます。

薬剤師会や地域医療に関われる薬局であれば、いろんな外部研修を利用することができます。その分だけ刺激があり、薬剤師として勉強できるようになります。

研修センターの認定資格で給料を上げる

なお、同じように勉強するのであれば、研修センターでの認定資格の取得を含め、薬剤師が勉強することを積極的に支援してくれる職場が最適です。

薬局によっては、資格取得にあまり積極的でない会社があります。先に述べた、「薬剤師会の会費を負担してくれない薬局」がこの代表です。ここまで分かりやすくなくても、資格取得の支援に積極的であり、勉強できる環境を整えてくれる薬局の求人募集が最適です。

例えば、薬剤師であれば以下のような認定資格を得る機会が多くなります。

外部研修を受けることでこうした認定薬剤師資格の取得を推奨してくれるのは、勉強できる薬局として基本です。

ただ、中にはより優れた条件を提示してくれる調剤薬局やドラッグストアもあります。こうした認定薬剤師の資格をもつことによって、資格手当として給料に反映されることがあるのです。例えば、以下の薬局がこれに該当します。

求人票の詳細にも、月1万円の資格手当が付くので年収12万円アップすると記載があります。

単に研修センターでの認定薬剤師資格の取得を支援してくれるだけでなく、このように収入にまで反映される薬局だと完璧です。

海外研修で旅行しながら現地視察する

また、こうした研修は日本国内で行われる一般的な勉強会に限りません。薬局によっては海外研修を導入している職場が存在します。

会社では福利厚生の一環として、社員旅行を設けている会社は多いです。私のいた調剤薬局でも、店舗単位で社員旅行がありました。パート・アルバイトを含めて8人くらいが在籍する調剤薬局だったのですが、そうした人たちと一緒に社員旅行があったわけです。

ただ、社員旅行を海外で実施する会社もあります。こうした海外研修を導入している調剤薬局やドラッグストアであれば、薬剤師として働いた後は会社のお金で海外で勉強できます。

例えば、以下は横浜(神奈川)にある調剤薬局の求人募集です。

このように、数は多くないものの海外研修を実施している薬局も中には存在します。こうした薬局の求人に申し込むことにより、日本以外の国の医療制度を勉強できるようになります。

なお、海外研修の行き先としては欧米の大学やアジアの病院など年によって変わります。当然、余った時間は観光しても問題ありません。

学会(学術大会)への参加

また、研修という意味では学会(学術大会)への参加をどれだけ認めてくれるのかは非常に重要です。学会ではいろんな人が発表しており、その中から自分にとって興味のある内容を聞くことができます。いってしまえば、いろんな外部講師が発表している場が学会だといえます。

下手な研修に参加するよりも、こうした学術大会に一回でもいいので参加したほうが得られるものは多いです。私も学生時代に限らず、薬剤師として働きながらも学会へ何度も参加したことがあります。

このとき、研修制度を整えている薬局であれば薬剤師会の活動に限らず、こうした学会への参加についても積極的に支援してくれます。学会への参加費用の負担を含め、薬剤師に勉強できる機会を与えてくれるのです。

例えば、以下の大阪にある調剤薬局では学会発表の機会もあり、薬剤師として勉強できる環境が整っていることが分かります。

もちろん、この求人票からは学会費用を負担してくれるのかどうかまでは不明です。また、社内にどれだけ学会を含めた外部研修を活用している薬剤師がいるのか分からないため、これらを確認する必要があります。

ただ、そうしたことを確認したうえで転職すれば、薬剤師として研修によって勉強できる場が学会にまで広がります。

薬剤師向けのeラーニングは意味ない

実際にセミナー形式や体験型の研修を受けることで知識の拡充を図ることは薬剤師にとって非常に大きな意味があります。ただ、中には「あまり意味がないのでは?」と思ってしまう研修内容もあります。この代表的なものがeラーニングです。

ネット上で動画講義を受け、自ら学ぶのがeラーニングです。私もこれまで、いくつかのeラーニングを受けたことがあります。ただ、あまり意味がないのではと感じました。

何か資格取得のために必死で勉強するeラーニングなら優れているかもしれません。ただ、スキルアップや知識の習得を目的にしたeラーニングの場合、実際のところ動画を流し見してしまいますし、そもそも見ようと思いません。

実際、私はかつて国内最大の医薬品卸グループで管理薬剤師をしていたことがあり、その会社では薬剤師向けにeラーニング講座を発信していました。ただ、興味のある内容はなくまったく見ませんでした。

これは、薬局薬剤師として現場に出た後も同様です。一応、会社は福利厚生のためにeラーニング講座を受講できるようにしていましたが、店舗の薬剤師でこれらeラーニングを利用していた人は私を含めてゼロです。

もちろん、私が所属していた薬局のeラーニングの内容がたまたまダメだっただけかもしれません。ただ、基本的にどこも似たり寄ったりだと思うのでeラーニングは期待しないようにしましょう。例えば、以下の神奈川にある調剤薬局では「eラーニング制度完備」とあります。

しかし、あらゆる研修制度の中でもeラーニングについて期待してはいけません。たとえ求人票にあったとしても無視するのが適切です。

パート・アルバイトも研修制度はあるのか

なお、薬剤師として中途採用で転職するのは正社員に限りません。パート・アルバイトとして転職する人も非常に多いです。特にブランクありのママ薬剤師であれば、正社員ではなくパート勤務を希望することが多いです。

こうしたとき、正社員では研修制度があっても「パート・アルバイトで同じように研修を受けられるのか」を気にする人は多いです。

パート・アルバイトの扱いは企業ごとに大きく異なりますが、正社員と同じように研修を実施してくれる会社はそれなりにあります。例えば、以下は横浜(神奈川)にある調剤薬局ですが、パート・アルバイト向けに研修制度を設けています。

もちろん、ここにある内容からは「どのような研修があって、勉強できる内容がどうなっているのか」は不明です。そのため確認する必要はありますが、パート・アルバイトでも問題なく研修に参加できるケースは多いです。

研修制度というのは、薬局側が用意している福利厚生の一つです。どれだけ福利厚生が充実しているのかが重要であり、福利厚生の内容は当然ながら会社ごとに大きく異なります。例えば、以下の薬局ではパート薬剤師であっても海外研修に参加できるようになっています。

どのような研修に参加でき、勉強できるのかは調剤薬局・ドラッグストアごとに大きく異なります。これについては、実際に転職サイトへ登録した後に担当者経由で問い合わせをしてもらい、どのような勉強が可能なのか詳細を聞くようにするといいです。

派遣薬剤師だと研修がほぼなくなる

なお、基本的にこうした研修制度の恩恵を受けられるのは正社員やパート・アルバイトだけと考えるようにしましょう。派遣薬剤師の場合、残念ながら研修を含めた福利厚生を期待することはできません。薬剤師会の費用負担や学会参加を含めて自分のお金で何とかしなければいけないのです。

これは、派遣社員だと会社(薬局や病院など)ではなく派遣会社(転職サイト)に雇用されるからです。薬局側が直接雇用しているわけではないため、当然ながら他の正社員やパートと同じような福利厚生を受けることはできません。

派遣では最低限の福利厚生になるため、研修についても期待できるものはないと考えましょう。

派遣として働く場合、正社員よりも優れた時給で勤務することになります。福利厚生などがない代わりにヘルプ要因として高い給料が提示されているため、研修を受けるにしてもそうした収入の中から自分のお金で都合しなければいけません。

実際、派遣で研修のある薬局を検索すると「eラーニングを含めた大したことのない研修」しかヒットしませんでした。例えば、以下の東京にある薬局の派遣求人です。

なお、基本的には研修を期待できませんが、薬剤師会の費用を負担してくれるかどうかについては転職サイトの担当者の交渉具合によって変わってきます。

また長期派遣の場合、正社員と同じように研修を受けられることもあるため、これについても転職エージェントの担当者に掛け合うようにしましょう。

研修ありの薬局で勉強し、薬剤師として学んでいく

薬剤師は常に勉強が必要な職業の一つです。同じ薬局内だけに留まってもいいですが、残念ながらこれでは勉強することができません。もちろん、製薬会社MRが新薬の説明会を開催してくれることはありますし、現場で学べることもあります。ただ、それ以上の知識のアップデートはありません。

そのため、調剤未経験やブランクありの薬剤師が転職することを考えるとき、新人研修のような類のものではなく、実際に中途で採用された後にどのような継続的な研修があるのかを確認したほうがいいです。

当然、社内研修に限らず薬剤師会や認定薬剤師、海外研修、学会参加などまで含めた外部の研修機会にも着目しましょう。こうした場所へ積極的に参加できたり、費用負担をしてくれたりする薬局であるほど勉強できる機会が多くなります。

こうした研修の機会を利用すれば、薬剤師として多くのことを学べるようになります。これらを実現できる薬局求人を転職サイトで探し、スキルアップを図れる環境に身を置くといいです。


薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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