正社員として転職するとき、一般的には週5日で働くようになることがほとんどです。調剤薬局の多くは土曜日を含めた週6日ほど開局していますが、そのうち5日を働くのです。これは病院も同様であり、病院は365日開いていますがそのうち週5日の勤務をするのです。
ただ、このとき週休3日で働くことを考える薬剤師もいます。実際、世の中には一度に長時間勤務をすることによって、週4日だけ働いている職業の人は多いです。そうした人と同じように、週4日勤務をして週休3日にすることはできるのでしょうか。
これについては、薬剤師であっても問題なく週4日の正社員勤務を実現することができます。それでは、どのような求人であれば週4日勤務の薬剤師として働くことができるのでしょうか。ここでは、週休3日の職場で働くための方法について解説していきます。
もくじ
調剤薬局、ドラッグストアの薬剤師で週4日勤務は可能
労働に関する法律では、一般社員の週の労働時間は40時間までとなっています。例えば1日8時間労働であると、「1日8時間 × 5日 = 40時間」となります。そのため、一般的な会社では1日8時間労働を週5日するのが普通です。
ただ、このときどのような働き方を選択するのかは自由です。週40時間の中であれば、勤務時間形態がどうなっていても問題ないのです。例えば、「1日10時間 × 4日 = 週40時間」としても大丈夫です。
1日10時間を4日であれば、法定労働時間を守っていることになります。そのため、たとえ1日の労働時間が長かったとしても、その分だけ労働日数を短くすることで問題なく働けるようになります。1日の勤務時間はどうしても長くなってしまうものの、その分だけ休日は多くなります。
例えば、以下は東京の調剤薬局から出された週休3日制の求人募集になります。
正社員での中途採用ですが、このように問題なく求人が出されていることが分かります。
この薬局の場合、勤務時間は10:00~21:00や10:00~20:00のようになっています。1日9~10時間での労働となります。また、この調剤薬局では土曜日や日曜日も開局しているため、土日のどちらか一方で勤務することを条件にしています。また、年収500万円からであり、条件は悪くありません。
週休3日を提示する薬局が親切な理由
調剤薬局やドラッグストアで正社員勤務をするとはいっても、多くは残業が発生するようになります。中には、正社員として残業を含めて1日9~10時間以上も働いているにも関わらず、サービス残業になってしまっている薬剤師も多いです。
そうした職場で働くよりは、「労働時間は長くなる」ことを最初から伝えており、さらには週休3日勤務を明示してくれている職場の方が圧倒的に親切だといえます。
もちろん、開局時間の長い薬局の全体数は少ないです。ただ、店舗の前にあるクリニックの診察時間が長かったり、あらゆる処方せんを受け付ける面対応薬局だったりする場合、このように開局時間が長くなることがあるのです。
例えば、以下は東京にあるクリニックです。
このクリニックでは9:00~21:00まで開いているわけですが、こうした医療機関の隣にある薬局ではどうしても勤務時間が長くなってしまうのです。
年収・給料が下がらないのは魅力
なお、週休3日とはいっても特に年収が下がることはありません。週5日勤務している他の薬剤師と同等の給料を受け取ることができます。理由は単純であり、週40時間をきちんと働いているからです。
また、1日の勤務時間が長かったとしても、患者さんが多い場合には残業が発生します。そうした残業代まで含めると、当然ながら収入は多くなるのです。
さらにいえば、調剤薬局やドラッグストアによっては週4日勤務をする方が高い年収を実現できることもあります。薬局経営者にとってみれば、シフトを組んで「夜間だけ働いてくれる薬剤師を工面する」ことを考えるよりも、週休3日でもいいので1日に長時間働いてくれる薬剤師の方が使い勝手がいいです。
多くの薬剤師は長時間労働を避けようとしますが、そうした中で1日ずっと薬局の面倒を見てくれる人は重宝されるのです。特に夜の時間に働いてくれる薬剤師は少なくなりますが、そうした時間でも問題なく勤務してくれる場合、かなりありがたい存在となります。
経営者にとってみれば、「夜の時間だけ派遣薬剤師を雇う」などのことをしなくてもよくなるため、その分だけ経費コストを削減できます。そうなると、当然ながらその分だけ高年収を要求しても問題なくなるのです。
東京や大阪、名古屋、福岡、横浜などの都市部であっても、週休3日を実現しながら年収450万円以上になるのは当然ですし、年収500万円以上からスタートすることもよくあります。そのため、年収が下がる不安を抱える必要はありません。
・元々が週4日だけ開局している場合もある
ただ薬局によっては、もともと週4日だけ開局しているケースもあります。この場合、シフトなどを特に考えなくても週休3日となります。
例えば、以下は神奈川県横浜市にある、週4日だけ開局している薬局から出された求人募集です。
ここにある通り、「月、木、金、土曜」だけ開いていることがわかります。こうした調剤薬局であれば、確実に週4日勤務を実現できるようになります。
この場合は1日の労働時間が長くなく普通であるものの、週休3日となります。単純に労働時間が少ないため、年収400~450万円ほどになるのは覚悟しなければいけません。ただ、頑張って働いて高い収入を得ることを考えていない人の場合、給料は下がってもいいのでこうした求人を狙っても問題ないです。
新卒や未経験でも問題なく応募できる
ただ、中途採用に限らず新卒入社で週休3日を考えている薬剤師もいます。また、調剤未経験の状態から週4日勤務の正社員が可能なのか検討している人も多いです。これについては、問題ないのでしょうか。
どの薬局も薬剤師不足に悩んでいますが、これは週休3日制を採用している薬局も同様です。むしろ、週休3日の薬局では1日の労働時間が長かったり、土曜日の出勤が必要だったり、不規則な働き方をすることになるのでより薬剤師を集めるのが難しくなる傾向にあります。
そのため、当然ながら経験者に限らず新卒や未経験の薬剤師も広く受け入れています。例えば、以下は大阪にある調剤薬局での募集です。
週3日勤務でも問題ない薬局の正社員求人ですが、ここには「未経験可」と記載があります。そのため、新卒や未経験の薬剤師であっても問題なく週休3日を実現できることが分かります。
3日連続で休みになるわけではない
なお、このとき注意すべきことがあります。それは、「必ずしも休みが3日連続になるわけではない」ことです。
一般的に週休3日と聞くと、3日連続で休みを取れるようになることを想像します。ただ、そのようになることの方が少なく、週のうち飛び飛びで休みになることの方が多いのです。例えば、「火曜日、水曜日、日曜日が休みになる」などのようになるのが一般的であり、連続での休みになることを想像してはいけません。
もちろん、求人によっては3日連続で休みを取れるケースがあります。また、週4日勤務の正社員で転職するときに「日曜から火曜までを休みにして、3日連続の休暇としたい」などのように交渉するのは問題ありません。
ただ、必ずしも連続した休みになるとは限らないことを理解しましょう。
病院で週休3日を実現することも可能
一般的には、週4日の正社員勤務を考えるときは調剤薬局やドラッグストアで働くことになります。ただ、薬剤師が働くことになる場所としては、他にも病院が広く知られています。こうした病院の週休3日の求人はないのでしょうか。
薬局であったとしても、週休3日の求人は稀です。そのため、病院になるとさらにその数は少なくなりますが、たとえ病院薬剤師であったとしても週4日勤務の求人を発見することは可能です。
例えば、以下は神奈川県の病院から出されている求人募集です。
ここにある通り、週4日での勤務になります。また、病院薬剤師の場合は薬局のように1日の勤務時間が長くなるわけではなく、普通の労働時間となります。急性期病院で週4日勤務の求人が出ることはありませんが、慢性期病院や専門病院、クリニックなどであればこうした求人が出されるようになるのです。
ただ、病院薬剤師は元々の給料が低いことに加えて、こうした週休3日であると勤務時間が非常に短くなるため、さらに年収は低くなるようになります。実際、先ほどの病院求人では年収270万円からのスタートになります。
薬剤師という専門職ではありますが、月の収入はかなり低くなります。週40時間を働く週4日勤務の薬局薬剤師に比べると、年収は圧倒的に少なくなることは理解しなければいけません。ただ、病院薬剤師なのでクリーンベンチを利用した調剤を含め、一般的な病院薬剤師のスキルを学ぶことができます。
派遣薬剤師として週4日勤務で高年収を実現する
また、場合によっては正社員という働き方にこだわらず、派遣薬剤師として活躍することで週休3日を実現するという方法もあります。
派遣薬剤師の場合、高い時給を実現することができます。一般的に派遣薬剤師の時給は3,000円からであり、正社員として働くよりも高い収入を得られることで有名です。そのため、正社員ではなくわざわざ派遣として働くことを選択する人もいるほどです。
派遣であると、1日だけの求人もあるほどであり、その働き方はさまざまです。そして当然ながら、派遣薬剤師で週4日勤務の案件も存在します。例えば、以下は神奈川県横浜市にある薬局から出された派遣求人です。
ここにある通り、派遣として時給3,000円で働き、週休3日を問題なく実現できることが分かります。この薬局では9:00~19:00なので、休憩1時間だとすると1日9時間労働になります。これで週4日勤務(月16日勤務)だと以下のような収入になります。
- 時給3,000円 × 1日9時間 × 月16日勤務 = 月43万2,000円
年収であると、518万4,000円となります。このように、週休3日であるにも関わらず年収500万円以上になります。派遣薬剤師であると、高い収入を得ながら好きなように働くことができるのです。
週休2.5日ならいくらでも求人がある
なお、調剤薬局やドラッグストア、病院を含めて完全なる週休3日ではなく、週休2.5日であればいくらでも求人を見つけられるようになります。
週休2.5日とは、「週休2日 + 半日勤務」という求人になります。週に2日の休みが存在するのに加えて、もう一日の勤務は半日だけ働くようにするのです。結局のところ週5日働くことにはなるのですが、週5日勤務のうち1日は半日だけしか働かないため、週4.5日勤務(週休2.5日)となるのです。
週休3日の求人は薬局であっても非常に少なく稀な案件になります。週4日勤務を目指す場合、そうした条件の薬局があなたの家の近くにないことも多く、その場合は週4日勤務の正社員(または派遣)が可能な遠くの職場まで通わなければいけません。
一方で週休2.5日であれば非常に多くの求人が存在するため、年収や家からの近さ、薬局の忙しさなどを含めてトータルで検討することができます。例えば、以下は東京の薬局から出された求人募集になります。
この求人では木曜日と日曜日が休みであり、土曜日が午前勤務となっています。そのため、週休2.5日です。ただ、東京での求人で年収500万円以上と条件は優れています。
東京や大阪に限らず、地方都市でもこうした求人は非常に多いです。完全なる週休3日にこだわらない場合、こうした選択肢もあります。
転職サイトを利用しないと週4日勤務は無理
なお、実際に週4日の正社員や派遣として働くことを考えるとき、非常に求人数が少ないので自分一人だけの力でこれらの求人を発見するのは不可能に近いです。新卒薬剤師であったとしても週休3日を実現するときはほぼ全員が転職エージェントを頼りますが、これらは一般的な求人ではないからです。
ただ、求人の数が少ないとはいっても具体的にどれくらいの求人数になるのでしょうか。これについては、大手の転職サイトで調べてみると、以下のような結果になっています。
このように、日本全国で72件しか求人が存在しません。この中には調剤薬局やドラッグストア、病院などがあり、さらには勤務形態や休日を取れる曜日、あなたの住んでいる家からの近さなど条件がバラバラです。そのため、非常に少ない選択肢の中から選ばなければいけなくなります。
前述の通り、週休2.5日でも問題ないのであればより選択肢は広がります。ただ、正社員や派遣として完全なる週4日勤務(週休3日)を実現することを考える場合、こうした求人数であることは理解しましょう。
そのため、週休3日を考えるときに転職サイトを一社だけ利用する人はいません。求人数が少ないため、必ず2~3社以上の転職エージェントを利用します。そうしなければ求人数が圧倒的に少なく、自分の望む中途採用(または新卒就職)の求人を探すことができないからです。
たとえ新人薬剤師であっても、週4日勤務を希望するときに複数の転職エージェントを活用するのは、こうした理由があるからなのです。そのため、週休3日を実現することを考える場合は必ず2~3社以上の転職サイトを活用するようにしましょう。
正社員や派遣で週休3日を実現する
薬剤師として勤務する場合、正社員だと一般的には週5日勤務です。つまり、週休2日となるのです。ただ、求人によっては1日の労働時間が長くなることを条件にして、年収を下げずに週4日だけ働き、週休3日を実現できるようになります。
薬局によってはサービス残業が常態化しており、1日の勤務時間が非常に長いにも関わらず週5日も働いている薬剤師はたくさんいます。そうした人の場合、むしろ週休3日の薬局で勤務するようにした方がいいのではと思います。
全体の求人数は少ないものの、正社員として問題なく週休3日を実現することは可能です。派遣であっても可能であり、時給3,000円以上だとかなりの高年収となります。
こうしたことを理解し、どのような条件の求人が適切なのか考えたうえで中途採用に応募するようにしましょう。3日間のうち、どう休みを取るのかまで含めて事前に確認し、複数の転職サイトを活用することで薬剤師の転職で成功できるようになります。
薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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