薬剤師が転職するとき、働き方としては「正社員」「パート・アルバイト」「派遣」の主に3つがあります。この中からどのような働き方を実現したいのかを選び、転職します。

ただ、それぞれの働き方でどのような違いがあるのか詳細に理解している人は少ないです。特に薬剤師という専門職であると、一般企業で勤める人とは様子がまったく違ってきます。例えば、正社員よりもパート薬剤師の方が時給換算では優れているのが普通です。

薬剤師だからこそ、普通では起こらない特殊な状況が発生します。そこで、どのようにして求人を選べばいいのか理解しなければいけません。

ここでは、正社員やパート・アルバイト、派遣の中でどのような働き方を実現すればいいのかについて、それぞれを比較しながら解説していきます。

時給換算だと正社員の年収・給料はそこまで良くない

まず、働くときに気になるものとしては収入があります。生きていくためには、当然ながら給料がどれくらいになるのか気にしなければいけません。

世間一般的には、正社員として働くことで高い年収を実現することができます。パート・アルバイトの方が圧倒的に時給は少ないのが基本です。

しかし、薬剤師の場合は必ずしも正社員の方が時給換算で優れているとはいえません。むしろ、パート・アルバイトで働くよりも時給換算では劣ることが、頻繁に頻繁に起こります。これは、薬剤師のパート勤務の時給が高いことに原因があります。

大手の調剤薬局チェーンや病院薬剤師の薬剤師だと、低い時給換算額になることが知られています。このときは年収400万円未満が普通です。例えば、以下は東京で出された大手チェーン薬局の中途採用であり、年収370万円の求人です。

サービス残業が毎日30分だけ発生すると仮定すると、この求人では休憩60分を入れて1日9時間労働になります。この場合、時給換算すると時給は約1,700円です。パート・アルバイトでは未経験でも時給2,000円以上が基本なので、ここからも正社員の方が給料は低いことが分かります。

参考までに、同じ勤務条件で年収500万円の場合、時給は約2,300円です。パート・アルバイトで時給2,300円以上の人はいくらでもいるため、たとえ年収500万円ほどであっても実はそこまで内容が優れているわけではないことが理解できます。

もちろん、正社員として頑張ってキャリアを重ねて出世し、非常に高い年収を実現する人もいます。ただ、そこまで昇進しないと時給換算としてはパート・アルバイトよりも低い時給で勤務することになると考えましょう。

効率よく稼ぐなら派遣社員が最適

なお、薬剤師として活躍するときに最も効率よく稼げるのが派遣です。給料のことだけを考えるのであれば、正社員よりも派遣社員を選択する方が最適なのです。派遣であれば、東京や大阪、名古屋、福岡、横浜などの大都市部であっても時給3,000円以上になるのが普通です。

例えば、以下は名古屋(愛知)にある調剤併設ドラッグストアから出された求人募集です。

時給4,000円と高めですが、都市部であってもこのように優れた収入を実現することができます。参考までに、この求人で1日8時間のフルタイム勤務をすると月の収入は以下のようになります。

  • 時給4,000円 × 1日8時間 × 月20日 = 月64万円(年収だと768万円)

管理薬剤師やエリアマネージャーではなく、一般薬剤師として働いてこれだけの給料を実現できるのが派遣です。パート・アルバイトでさえ正社員より高い時給になるのは珍しくありませが、派遣になるとさらに高い年収となるのです。

当然、これは病院などの派遣を選択するときも同様です。例えば、以下は私が東京の大学病院で派遣勤務をしたとき、転職サイト(派遣会社)から送られてきた実際のメールです。

産休代替での派遣だったのですが、大学病院にも関わらず時給3,000円です。そのため、何十年も働いている常勤薬剤師よりも高い給料で働くことになりました。

・退職金を無視しても派遣の方が優れている

なお、派遣だと正社員のように退職金は出されませんが、退職金を考慮しても派遣の方が圧倒的に稼げます。

例えば同じ薬局で30年ほど働いて定年を迎え、1,200万円の退職金が出ると仮定します。退職金の額としては妥当ですが、月換算すると約3.3万円になります。1,200万円というと大きな金額のように思えてしまいますが、月3.3万円ほどの違いです。年間では40万円の差になります。

一方で派遣をすれば、正社員よりもはるかに高い年収を実現できます。そのため、退職金は誤差範囲と考えて問題ありません。

福利厚生は正社員が優れている

ただ、福利厚生については正社員として働く方が圧倒的に優れています。パート・アルバイトだと、正社員のようにすべての福利厚生を使えるわけではありません。また、派遣社員だと福利厚生がほぼなくなります。

正社員にとって最も考慮するべき福利厚生が住宅手当です。家賃補助がいくらなのかによって手取り額が大きく違ってくるからです。例えば毎月5万円の家賃補助がある場合、それだけで出取り額が年間60万円ほど変わってきます。

他にも通勤手当を含めた福利厚生は正社員であるほど充実しやすいです。そのため、年収を考えるときは福利厚生まで確認するといいです。

ただ、パート・アルバイトや派遣で福利厚生がゼロかというと、必ずしもそういうわけではありません。福利厚生は会社によってまったく異なり、判断は薬局・病院ごとになります。そのため、パート・アルバイトや派遣であっても福利厚生が用意されていることがあります。

例えば、以下はパート・アルバイトの求人ですが月3万円の住宅手当が出されます。

派遣社員であっても、住宅付きの案件はいくつも存在します。正社員であれば確実に福利厚生があるものの、パートや派遣だと会社ごとに判断が大きく分かれるため、これについては転職時に確認するといいです。

キャリアアップを含め、役割の大きな仕事は正社員

一方で大きなキャリアアップが可能なのは、当然ながら正社員になります。薬局によってはパート・アルバイトでも管理薬剤師を任せてもらえることはありますが、基本的には正社員が重要なポストを担うようになります。

パート・アルバイトの薬剤師が昇進することは一般的にないですし、派遣だと100%の確率でキャリアを積むことができません。患者さんに対してより優れた医療を提供し、会社の中心を担うようになるのは正社員だと考えましょう。

例えば在宅専門の調剤薬局へ転職するにしても、パート・アルバイトであれば「調剤だけ(作り込みだけ)に専念する」などが業務として可能です。患者さんの家に出向き、服薬指導を担当しなくても問題ないのです。これは、重要で責任ある仕事を正社員が担うからです。

例としては、千葉の薬局から出された以下のような求人がこのケースに該当します。

求人票の詳細でも、調剤だけでも問題ないと記されています。在宅訪問するパート勤務を選ぶことはできますが、調剤だけでも問題ないのです。

また、これが派遣になるとより簡単な仕事だけを担当することになります。パート・アルバイトや派遣で責任ある仕事を担うことはほぼないと考えましょう。

店舗管理など、責任ある仕事をしたくない人にとってはメリットが大きいです。ただ、薬剤師として将来はエリアマネージャーや経営幹部を目指したいと考えている人にとっては正社員としてキャリアを積むほうが優れているといえます。

定時退社や勤務地限定など、柔軟な働き方は正社員よりパート求人

ただ、女性薬剤師を中心として「昇進することで重要なポストを任される」ことに興味のない人もいます。そうした場合、正社員ではなくパート勤務を考えた方が適切です。

  • 午前だけの勤務など、働く時間を限定させたい
  • 定時退社を基本にしたい
  • 転勤なしの勤務地限定がいい
  • 土日休みにしたい
  • 週3日だけ勤務したい

正社員であれば、こうした働き方を実現するのは非常に難しいです。一方でパート・アルバイトなら、あらゆる勤務方法を実現することができます。

パート薬剤師であれば土日休みは当然ですし、週1回だけ働く方法も可能です。希望すれば、その分だけ勤務方法を見つけ出すことができます。

正社員の場合、どうしても残業を含めて拘束時間が長くなってしまいます。そのため、例えば子供のいるママ薬剤師だと「土曜日に発表会があるので休みが欲しい」「保育園の送り迎えのため、18:00には帰りたい」などの要望を叶えるため、パート勤務がメインになってしまうのです。

また、正社員だと確実に転勤があります。同じ薬局内だけで働く人はほとんどおらず、異動によって異なる店舗で働くようになるのは普通なのです。中小薬局であっても、店舗異動によって通勤時間が2時間以上かかるようになるのは珍しくありません。

しかしパート・アルバイトであれば、ずっと同じ店舗で働くことになります。転勤がないのは非常に魅力的です。

・派遣はいろんな店舗を巡ることになる

ちなみに派遣の場合は、契約ごとに働く調剤薬局やドラッグストア、病院が違ってきます。そのため、パート・アルバイトのように一つの店舗ではなく、いろんな店を経験することになります。

派遣であれば数ヵ月おきに勤務地が変わるのが普通です。ただ、どのような派遣求人を選ぶのかは自由に決めることができるため、時給を考慮しながらあなたの家の近くにある求人募集を選べば問題ありません。

薬剤師では正社員からフルタイムパートへの転職も多い

定時退社が可能で勤務地限定であることから、正社員からフルタイムパートへ転職する薬剤師は意外と多いです。

フルタイムパートの場合、正社員と同様にフルタイム(週5日)で働くようになります。ただ、正社員とは違って残業なしの定時退社を希望することができますし、特定の店舗で転勤なしになるのが基本です。そのため、正社員勤務の継続が難しいと感じているママ薬剤師は、敢えてフルタイムパートを選択するのです。

また、調剤経験のあるフルタイムパートであれば時給2,500円以上が基本です。この場合、1日8時間勤務なら月収・年収は以下のようになります。

  • 時給2,500円 × 1日8時間 × 月20日 = 月40万円(年収だと480万円)

調剤薬局で正社員として年収450万円で働いている場合、フルタイムパートを選択したほうが高い給料で働けるようになります。しかも正社員だとサービス残業が存在するため、時間給で考えるとパート・アルバイトの方がさらに優れやすいのです。

このため、実は薬剤師でフルタイムパートを選択するのは女性薬剤師を中心にしてメリットが大きいといえます。

派遣薬剤師での働き方ならパートよりも自由に勤務可能

なお高時給を実現しつつも、パート・アルバイトで働く薬剤師よりも自由な勤務方法を実現できるのが派遣薬剤師になります。

派遣社員の場合、短期契約があれば長期契約もあります。短期では1日の単発スポットがありますし、反対に半年や1年間の長期契約も存在するのです。このうち、どのような派遣求人に申し込んでも問題ありません。

また派遣契約が切れた後、次の求人へ申し込むまでに半年などの空き時間を作ることもできます。つまり、「薬剤師としての契約が切れた後に半年ほど海外へ行って豪遊し、再び日本に帰ってきて派遣薬剤師をする」なども可能なのです。

しかも、派遣は日本全国どこでも求人案件が出されているため、「短期間だけリゾート地で働きたい」「住宅付きの求人で高額派遣をしたい」なども選択可能です。例えば、以下は京都の調剤薬局から出された派遣求人であり、住宅付きの高額求人です。

時給4,500円であり、この求人で休憩入れて1日9時間勤務をすると月の収入は以下のようになります。

  • 時給4,500円 × 1日9時間 × 月20日(週5日勤務) = 81万円(年収972万円)

当然、フルタイムではなくパート・アルバイトと同じように「週2日だけ働きたい」「16:00には退社したい」という要望も叶えることができます。効率的に稼ぎながらも、自分の好きな場所で好きな時間だけ働ける最も自由度の高い勤務方法が派遣になります。

人間関係のトラブル回避は派遣求人が優れる

また、人間関係でのトラブルを避けることを考える場合、正社員やパートとして転職するよりも、派遣勤務する方が失敗を回避できます。派遣の場合、契約期間が決まっています。このとき、長期派遣であっても「1ヵ月おきに契約更新する」などの形態が一般的です。

その場合、もし勤務先の薬局や病院の環境が劣悪だったとき、契約をこちらから更新しなければいいです。そうして、別の派遣先へ赴けば問題ありません。

正社員やパート・アルバイトであると、勤務先の店舗へ一度でも就職してしまえば、転勤を命じられるまではずっと同じ店で働き続けなければいけません。一方で派遣の場合、自由に店舗を変えることができるので人間関係のトラブルがあったとしても気軽に働き先を変更できるというメリットがあります。

・紹介予定派遣という方法もある

さらにいうと、たとえ正社員やパート・アルバイトを目指すことを考えている人であっても、最初は派遣として就職したほうが適切な場合は多いです。派遣社員には、「紹介予定派遣」という勤務方法があるからです。

紹介予定派遣とは、「正社員やパート勤務として入社することを前提に派遣勤務すること」を指します。要は、お試し勤務できるのが紹介予定派遣だと考えましょう。例えば、以下は東京の調剤薬局から出されたお試し勤務可能な求人募集です。

紹介予定派遣の求人として出されていますが、こうした中途採用の募集に応募したとしても、「派遣契約が切れた後に必ずその職場で働かなければいけない」わけではありません。双方の合意があったときに正式入社となるため、断ることも可能です。そのため、転職でのミスマッチがありません。

注意点として、派遣では年収が高いので紹介予定派遣の期間が終わって正式に就職した後、正社員でもパート・アルバイトでも、お試し勤務中(派遣での勤務中)に比べて給料が落ちるのは了承する必要があります。

正社員、パート・アルバイト、派遣の違いを理解して転職する

薬剤師にはいくつもの働き方が存在します。その中でも、勤務形態として主に以下の3つが存在します。

  • 正社員
  • パート・アルバイト
  • 派遣

それぞれについてメリット・デメリットがあり、働き方は大きく異なります。そのため、どのような違いがあるのかを理解したうえで勤務形態を検討しましょう。

一つの会社に所属し、キャリアアップを含めて薬剤師としてのスキルを磨きたい場合は正社員が適切です。必ずしも時給換算では優れているわけではないものの、最も一般的な勤務方法がフルタイムの正社員だといえます。

ただ、正社員では勤務時間や休む日の優遇が利きにくいです。そうしたとき、パート・アルバイトが優れています。勤務時間など勤務方法については、自由に設定することができます。

また、さらに自由度の高い働き方が派遣社員です。働く場所はリゾート地を含め日本全国どこでも可能ですし、住宅付きの求人もあります。勤務時間は自由に設定でき、長期休暇も問題なく取得できます。しかも、最も高時給を実現しやすいです。スキルアップはできませんが、自由度の面では優れています。

こうした違いがあることを理解したうえで、薬剤師としてどのような働き方を実現したいのか考えるようにしましょう。その後、複数の転職サイトを利用するなどして中途採用の求人を紹介してもらい、調剤薬局やドラッグストア、病院に採用(内定)をもらって働くだけになります。


薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

注目の人気記事

・私が経験した転職サイト体験談

実際に私は転職サイトを活用して調剤薬局へ就職したことがあります。私が行った転職体験の様子や注意点なども含め、ありのままに公開したいと思います。

管理人による転職体験記

・転職サイトを活用し、転職での失敗を防ぐ

転職を成功させるためには、転職サイト(紹介会社)をフル活用しなければいけません。そこで、具体的にどのように利用すればいいのかを解説します。

転職サイトを有効活用するには

・派遣登録し、高時給で働く

派遣薬剤師は給料が正社員よりも高く、時給3,000円以上も普通です。さらには3ヵ月や半年だけでなく、1日などスポット派遣も可能です。「自由に働きたい」「多くの職場を経験したい」「今月、もう少し稼ぎたい」などのときにお勧めです。

派遣薬剤師の転職サイトランキング

インタビュー記事:薬剤師の転職サイト

・ファーマキャリア

薬剤師求人の中でも、「どこにも載っていない難しい案件」を探すことに特化した、オーダーメイド求人の発掘を行っているファーマキャリアさまへ取材しました。

ファーマキャリアのインタビュー記事

・ファーネットキャリア

「全国どこでも面談を行う」「事前に企業へも訪問して様子を確認する」「転職後のフォローまで行う」など、アナログな部分にこだわり続け、ミスマッチ(転職での失敗)を極限まで低くしているファーネットキャリアさまへ取材しました。

ファーネットキャリアのインタビュー記事