薬剤師として働くのであれば、誰もが高収入を目指します。「あなたが生み出す価値=収入」であるため、専門性を高めたり患者さんのために努力したりすることで収益を増やすことは重要です。
薬剤師として高収入を得るには、「組織の中で出世する方法」と「独立開業して、薬局などを個人経営する方法」の2つがあります。後者の場合、新たな会社を作ることになります。自分で新たな可能性に挑戦したいと考えている人の場合、起業家を目指すのです。
私自身、28歳のときには薬剤師免許をもちつつも自分の会社を興して起業しています。おろらく、薬剤師の中でも圧倒的に早い年齢での独立なのではと思います。
ここでは、実際に私が起業家として活動している事実を踏まえ、独立のメリットや年収、やり方など薬剤師が独立開業する上でのポイントについて、いくつか紹介します。
もくじ
調剤薬局やドラッグストアで起業するときの条件・考え方
実際に会社を立ち上げて、あなたが社長として薬局経営を行うようになるためには、どのような行動を取ればよいのでしょうか。
薬局を新たに立ち上げるとき、まずは「薬局経営を行うにふさわしい案件がどこにあるのか」を理解しなければいけません。このとき、調剤薬局やドラッグストアでの開業だと一般的に次の方法があります。
- 知り合いの医師が病院・クリニックを立ち上げる段階で独立開業する
- 独立支援制度(開業支援)のある薬局のフランチャイズに入る
- 後継者を探している薬局へ転職し、事業継承・買取する
以下では、それぞれについて確認していきます。
知り合いの医師が病院・クリニックを立ち上げる段階で独立開業する
最も一般的な起業方法としては、「知り合いの医師が新たに病院やクリニック(診療所)を開業するとき、その隣に薬局の店舗を建てる」ことがあげられます。
病院・クリニックにとって、その隣にある薬局は仕事を行う上で非常に重要な存在です。医者にとってみれば、隣の薬局があまり良い仕事をしない場合、結果として患者さんが逃げてしまいます。その結果、自分の病院・クリニックの売上に影響するようになります。
そのため、「まったく知らない人や大手チェーン薬局が調剤薬局を営むのではなく、知り合いの信頼できる薬剤師にぜひとも薬局経営してもらいたい」と考える医師は多いです。そのため、人脈を広げることで開業したい医師と知り合いになると、薬局経営できるチャンスが広がります。
特にMR薬剤師だと、仲良くなった医師が病院やクリニックを立ち上げるとき、一緒に起業して薬局経営するのは珍しくありません。
一方で一般の薬剤師の場合、これから開業する勤務医と知り合いになるには非常に難しいです。運よく、以前からの知り合いに独立を目指す医師がいればいいですが、実際のところあなたに薬局経営の実績はないため、勤務医と知り合う機会はほとんどありません。そのため、実際のところ難しいのが現状です。
もちろん、大きな病院が移転する段階で早めに土地に目星をつけておき、そのときを狙って開業するという方法もあります。ただ、大病院の移転は何度もあるわけではないですし、何年も前から土地の交渉をする必要があるなど現実的ではないという問題点があります。
独立支援制度(開業支援)のある薬局のフランチャイズに入る
そこで、多くの人は別の方法を探ります。その一つとして、大手チェーン薬局が実施している独立支援制度があげられます。経営者として薬局経営を視野に入れるとき、薬局チェーンのフランチャイズに入るという方法があるのです。
フランチャイズであれば薬局経営のノウハウだけでなく、「どのようにして立地の良い場所を契約して薬局を開設するのか」の手法まで含めて、指導してくれます。
転職サイトの求人でも、フランチャイズによる独立支援に力を入れている大手チェーン薬局は存在します。例えば、以下は大阪の調剤薬局から出された求人募集です。
こうした店舗へ転職することで、大手チェーン薬局がどのように薬局経営しているのか学ぶことができます。また、単に調剤薬局を経営するのではなく、調剤併設ドラッグストアを考えている場合はより仕組みが高度になるので、フランチャイズでなければ独立は難しくなります。
なぜ、フランチャイズ制度(FC制度)を活用するのかというと、最も難しい「開業したい勤務医を探し、営業する」という部分を省くことができるからです。例えば、以下は名古屋に本社がある調剤チェーンのフランチャイズシステムです。
このように、「営業した先を紹介する」との記載があります。また、薬局開設後は医師と良好な仲を築かなければいけませんが、これについても定期訪問などのメンテナンスを実施してくれます。。
また、薬局開業のときにフランチャイズに入ると以下のようなメリットもあります。
・人員の斡旋
実際に薬局開設をした後に難しいのが人の問題です。調剤事務担当であれば問題なく人を探すことができます。また、未経験の調剤事務であってもあなたが指導してあげれば問題ありません。
一方で薬剤師についてはかなり頭を悩ませるようになります。どこも人手が足りていないため、募集を出しても簡単に集まることはありません。そうしたとき、FC制度に加入していれば即戦力の薬剤師を派遣してくれます。フランチャイズであれば、人の問題を解決できるわけです。
・いつでもFCから脱退可能
フランチャイズではロイヤリティーの支払いが発生します。このときは粗利の5%など薬局によって支払額は異なりますが、いずれにしてもロイヤリティーが必要になります。
このとき、フランチャイズのロイヤリティーが嫌になった場合はいつでも脱退できます。FC制度によって支援してもらったとしても、いつでも独り身になれるというメリットがあります。
・仕入れや不良在庫の調節
薬局経営をするときに必ず問題になるのが仕入れです。調剤薬局や調剤併設ドラッグストアでは非常に多くの薬が存在するため、仕入れをするときに医薬品卸から安い値段で薬を購入できれば、それだけ利益額が大きくなります。
そうしたとき、グループとして薬を購入するというスケールメリットを活かせば、当然ながらその分だけ安く薬を仕入れることができます。
また、稀に出る薬だと不良在庫になりやすいです。調剤薬局を運営していると、もうすぐ期限切れの薬が眠ることになるのは普通なのです。ただ、あなたの薬局では不良在庫でも、別の薬局では頻繁に出る薬というケースは普通なので、そうした不良在庫を調節してもらいやすくなります。
・開業資金の支援
一般的に薬局開設では1,500~2,000万円の費用がかかるといわれています。このときの開業資金を支援してもらうことができます。
ただ、開業資金については注意が必要です。お金は銀行から借りればいいですし、銀行融資を受けたとしても金利は1~2%ほどです。参考までに、私は銀行から1.5%くらいの金利で借入しています。2,000万円を借りたとしても、年間30万円の支払いで問題ありません。
一方で開業支援となると、会社の株式を保有されることになります。要は、経営に口出しされるようになりますし、FCから抜けるときに大変です。そのため、個人的には開業資金の支援を当てにしたフランチャイズ加盟はお勧めしません。
後継者を探す薬局へ転職し、事業継承・買取する
また、薬局開設を考える薬剤師が目指す方法として、調剤薬局の後継者になるという選択もあります。首都圏であっても地方であっても、後継者がいなくて困っている薬局は存在します。
特に地方では薬剤師不足が深刻化しているため、そうした後継者がいない薬局へ転職して事業継承すると、新規開業に比べて負担が軽くなります。要は、「将来は経営者になることを前提として、薬局を受け継ぐことを見据えての転職を行い、世代交代の段階で薬局の買取(買収)をする」ことになります。
転職サイトなどを利用すれば、これら「薬局を将来買取する」ことを見据えた求人を見つけることができます。そのため、この方法を選ぶ場合は必ずいくつもの転職サイトに登録して、事業継承の案件が存在するかどうかを長い目で見ながら確認するようにしましょう。
例えば、以下の薬局は神奈川で9店舗を運営している薬局ですが、後継者不在による募集となっています。
東京や大阪などの都市部に限らず、前述の通り地方でも後継者不在の薬局は多いため、いくつもの転職サイトへ登録したうえで合致した薬局を探すといいです。このとき良さそうな求人が見つかったら、後継者になることを見据えながら正社員として転職することになります。
実際の経営者になるまでには数年の時間はかかりますが、開業資金や人、システムの問題をすべて解決でき、リスクなく開業できる方法になります。
・不採算薬局の買収はおすすめしない
なお、中には不採算の薬局が世の中に売りに出されていることがあります。しかし、こうした薬局の買取はおすすめしません。
漢方薬局など、自ら集客して処方せんに依存しないのであれば問題ありません。ただ、医師の処方せんに依存する薬局だと、どう頑張っても売上を伸ばすのは無理です。そのため、儲かっていない薬局の買取はやめましょう。
開設の流れや届出、費用、銀行融資などの準備を理解する
それでは、実際に薬局を開設するとなると流れはどのようになるのでしょうか。このときは必要な届出や開設の条件を含め、流れを理解しなければいけません。また、開設費用を理解したうえで銀行融資をしてもらう必要があります。
このときの大まかな流れは以下のようになります。
- 一緒に起業(開業)する医師を見つけ、土地の選定などを行う
- すべての話がまとまって開設準備が進みだしたら、顧問税理士や司法書士を探す
- 書類の届出や開設許可など、必要な手続きを進める
- 同時に銀行に出向き、融資の話をつけておく
- 必要な機器を揃え、医薬品卸から薬を仕入れ、すべての準備を整えて開業する
薬局を買取して事業継承する場合、これらの手続きや準備をすべて省けるようになります。ただ、その他の独立開業ではこうした流れになります。
このとき土地(薬局を運営する場所)と一緒に、組んでビジネスを行う医師さえ見つけることができれば、届出や薬局開設の許可について心配する必要はありません。これらは専門家がすべて行ってくれるからです。
起業するときは全員、顧問税理士を雇い、会社設立を司法書士に依頼します。特に、こうした届出や開設許可については、すべて司法書士などの専門家が代行してくれます。あなたが行うことはほとんどありません。
例えば、以下は私が実際に会社設立するときに司法書士から記載を依頼された書類になります。
独立のとき、司法書士から「法人登記に必要な個人情報を教えてほしい」「薬局開設許可のために建物の図面を送ってほしい」などいろいろ要求されますが、言われる通りに対応していれば問題ありません。
また、起業家として薬局経営するときに重要なのは、「あなたが開業したい地域で優秀な薬剤師とできるだけ知り合いになる」ことです。
薬剤師会では、薬局経営者として活躍している薬剤師が必ず何人も在籍しています。そういう人と仲良くなり、「どういう調剤システムを利用しているのか教えてほしい」「人材採用のコツを知り合い」など、先輩経営者に運営の秘訣を聞くのです。
参考までに、私の場合は優秀な顧問税理士や司法書士を知り合いの薬局経営者から紹介してもらいました。
・銀行融資は驚くほど簡単
ちなみに、銀行融資を受ける方法は非常に簡単です。あなたが普段から使っている、銀行に出向いて「これから薬局を開業するので融資してほしい。ついでに法人用の銀行通帳も作りたい。法人担当はどこか?」と聞くだけです。
銀行融資が難しいのは、何も信用のない状態で独立しようとしている人に対してです。既に開業のための手順を踏んでおり、ある程度必要な手続きを完了しているのであれば、銀行は喜んでお金を貸してくれます。クリニックや薬局の開業であれば、銀行がお金を貸さないことはあり得ないのです。
このときは法人印や登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を用意するだけで大丈夫です。
一つの銀行だけでは難しくても、いくつもの銀行に掛け合えば問題なく大きな額を借入でき、開設費用をまかなえるようになります。
・必要費用を計算し、銀行融資を行う
前述の通り、開業に必要な資金は一般的に1,500~2,000万円です。まず、分包機やレセコン、その他の備品を揃えるだけでも500万円以上になります。ここにテナント料の支払いが加わり、前家賃などを含めると100~200万円は消えます。内装代(リフォーム代)などは300~400万円です。
※自分で土地や建物を購入する場合、さらに費用は高額になります。
また、医薬品卸から仕入れるために200万円ほど必要です。そして、調剤報酬が国から支払われるのは後になるため、200~300万円の運転資金が必要です。そのため、これだけの費用になります。
事前にいくらの費用が必要になるのかを計算したうえで銀行に掛け合うと、さらに資金調達がスムーズになります。また、個人でもある程度のお金を出せるように準備しておくようにしましょう。
助成金などの個人薬局への支援制度まで理解し、利益計算するべき
なお、実際に起業家として経営者になるのであれば、それまで薬剤師として活躍していたときとは大きく異なる目線で仕事を進めなければいけません。単に患者さんに寄り添うだけでなく、どれだけ処方せんを獲得できるのかを含めて利益を計算する必要があるのです。
処方せんの一枚当たりの単価は9,000円以上です(2017年度 厚生労働省・調剤医療費の動向より)。そのため、例えば一日に30枚の処方せんをさばき、月20日働く場合は以下のような売上になります。
- 1枚9,000円 × 1日30枚 × 月20日 = 月540万円
年間にすれば6,480万円です。悪くない数字です。もちろん仕入れなどもあるので一概にはいえませんが、こうした売上や利益の計算ができないと経営者としてビジネスを動かせないため、事前にシミュレーションを行うようにしましょう。
また、補助金や助成金など国の制度があるので税理士と相談し、紹介してもらうといいです。人を雇うときに助成金が出されますが、薬局経営だと事務員を含めほぼ確実に人を雇うことになります。そこで助成金を含めた国の制度を利用することにより、ビジネスが円滑になります。
薬局経営で独立に成功したときの年収・収入
親が社長で将来会社を引き継ぐことが確定している人は例外として、一般的には自ら起業して一店舗の運営から始めるのが基本です。このとき、どれくらいの収入になるのが一般的なのでしょうか。
薬局経営については、個人店舗の薬局経営が軌道に乗れば平均年収は1,000万円以上です。経営がよりうまく軌道に乗れば店を増やしていくことになりますが、いくつかの店を経営し始めると年収1,500万円を超えるようになります。
管理薬剤師として雇われの状態であったとしても、例えば田舎僻地の薬局であれば年収800万円以上になるケースが普通に存在します。ある程度、繁盛している薬局だと個人店舗であっても社員にこれだけの年収を提示しても経営が成り立つのです。
経営者であると、役員報酬という形で好きなようにあなたの年収を調節できます。自由に収入を決定し、役員報酬という名前の給料をあなた自身に支給するようにしましょう。
・社長は経費を活用できる
サラリーマンのように給料をもらっている薬剤師であると、どうしても年収に目が行きがちです。しかし、会社経営においては経費を活用できることを理解しなければいけません。例えば接待で飲み会を開催したときなどは、自分の会社のお金で飲み食いすることができます。
実際に経営者にならなければ理解は難しいですが、経費は非常に良いツールです。社長になって多くの人が感動するのは、「経費を好きなように活用できるようになる」ことです。
例えば、私の場合は以下のものについて個人のお金ではなく、会社のお金から出しています。
- 日々の飲み会代
- 国内での旅行代(お土産代も含む)
- 海外へ行くときの飛行機代やホテル代
- セミナーや講演への参加費用
- ドラッグストアでの購入費用
書ききれないほどありますが、要はあらゆる生活費を経費化できます。個人のポケットマネーからお金を出さなくても、自分の会社からお金を出してもらえば、個人の財布が痛むことはありません。経費を活用でき、個人の支出を減らすことができるので実質的な年収はかなり高くなります。
経営の難しさを知り、失敗リスクを下げる
薬局経営をすることでうまく軌道に乗れば、サラリーマン薬剤師と比べて収入は多くなります。また、それまでとは違った視点で世間を見渡すことができるようになります。
ただ、実際に起業・独立している人なら分かりますが、経営のかじ取りは難しいです。私も起業家の一人ですが、正直なところ「社長になれば、経費を自由に使えるようになり、年収も増えてすべてがうまく回るようになる」ことはありません。失敗するリスクも存在するのです。
業種業態によって悩みは違いますが、薬局運営では以下のようなリスクがあります。
・院内処方への切り替えやクリニックの廃業などで稼げなくなる
どれだけうまくいっている薬局であっても、急に稼げなくなって潰れることがあります。特に隣の病院やクリニックの処方せんに依存している薬局であるほどリスクが高いです。
ほとんどの調剤薬局は自ら集客する必要がなく、隣の病院やクリニックに在籍する医師が人気であれば、勝手に患者さんもやってきます。ただ逆にいえば、隣で働く医師が何かのトラブルに見舞われて廃業してしまえば、その隣にある薬局へ処方せんをもっていく患者さんはほぼいなくなります。
調剤薬局の売上は多くの場合、隣の病院・クリニックに依存するため、隣の医療機関に異常があればその影響を大きく受けるのです。そのため、急激に収益性が悪くなることによって潰れる薬局は意外と多いです。
・競合が薬局を建てるリスク
患者さんにとって、処方せんはどの薬局にもっていっても問題ありません。そのため、必ずしもあなたの薬局に処方せんを持ち込まなくてもいいのです。
特に儲かっている調剤薬局であるほど、近くに大手チェーン薬局や調剤併設ドラッグストアなど、他の薬局がいくつも建つことがあります。競合の店舗が近くに建つことによって、あなたの薬局の収益性が悪化することはよくあります。
医療機関の近くに大手チェーン薬局が進出することにより、何店舗もの調剤薬局が乱立するようになることは普通です。こうしたことによって店舗の売上が減ることは多いです。
・薬剤師が急に辞めるリスク
また、薬局運営がうまくいくようになるほど薬剤師を雇わなければいけません。このとき、これまでは勤務薬剤師として「年収を上げてほしい」「休みを取りたい」と文句をいっていた立場から、文句をいわれる逆の立場に変わります。
薬剤師は転職が比較的盛んであり、急に薬剤師が辞めることはよく起こります。薬剤師が急に辞めることによって、薬局がうまく回らずに倒産するケースも存在します。
調剤薬局や調剤併設ドラッグストアなどでは、薬剤師の雇用が最も難しいといわれています。薬剤師が働きやすい環境を整備することを含めて、独立・開業する場合はあなたの手腕が試されます。
独立して店舗をもち、成功するのに年齢は関係ない
起業するというのは、自分が大きなリスクを背負うことでもあります。ただ、私が実際に独立して思うこととしては、「会社経営を行ってよかった」ということです。
年収というよりも、普通では出会えない人と話ができたり、他の社長たちと対等に話せたりするなど、経営者になれば見える世界が違ってきます。決裁権はすべて自分にあるため、経営方針は自らの意思で決定できます。
苦労も多く失敗もありますが、成功すればその分だけやりがいも大きいです。
特に起業というのは、年齢に関係なくいつでも行えます。「自分はまだ若いから」「経験が少ないから」などと思ってはいけません。どの年齢であっても、問題なく独立できます。私のように20代で起業する人もいますし、定年後に会社経営を始める薬剤師もいるほどです。
また私が会社経営をして思うのは、「もっと早く起業すればよかった」ことです。年齢にとらわれず、素早く決断して、あなたの目指す方向を見定めながら前に進んでいくのが適切です。
・ネット販売や漢方薬、健康食品を含めて売上を伸ばすべき
なお、多くの薬局では処方せんに売上を依存しています。ただ、この状況は非常にリスクが大きいです。隣の病院やクリニックがすべての売上を握っているからです。
そこで、漢方薬や健康食品・サプリメントの販売を含めて検討できる人が真の経営者になります。経営者はリスク分散を考慮するのが基本であり、処方せんという一つの売上に依存している時点で綱渡りの経営をしているといえます。
このときはOTC薬やサプリメントのネット販売なども取り入れるのが基本であり、収益の柱を作っていかなければいけません。そうして他事業を展開していくことが本当の意味でのビジネスです。
転職サイトを利用し、開業準備に備えて転職する
ただ、独立開業を目指すとはいっても現状のまま薬剤師を続けている限り、経営者になれることはほとんどありません。なんとなく「将来は起業できたらいい」と考えたまま、時だけが過ぎていき年齢を無駄に重ねていくことになります。
なぜ、私が20代とかなり若いときから会社を立ち上げてそれなりに成功したのかを考えたとき、早めに準備をしていたからという事実が理由としてあげられます。
いまの職場で勤務し、2~3年以内にほぼ確実に独立できる算段があるのならいいです。ただ、そうでない場合はフランチャイズによって積極的に独立支援してくれる薬局で働いたり、事業継承として買取することを承諾してくれる薬局へ転職したりすることを、今から考えなければいけません。
経営者である以上、決断が必要になります。このとき、起業準備のために適切な薬局へ転職するのは、非常に簡単な決断の一つです。2~3社以上の転職エージェントを利用しながら、将来の開業を成功させることができる求人へ応募し、起業に向けた準備を今から開始しなければいけません。
なお、MR薬剤師ですら開業のために転職します。MR薬剤師が仲良くなった医師と一緒に独立する手はずを整えていたとしても、実際に開業するまでMRを続けていることはまずありません。調剤薬局や調剤併設ドラッグストアへ転職し、薬剤師としての経験を積んだ後に開業することになります。
こうしたことを考えたとき、将来の独立を見据えた転職では以下のような店舗の求人が適切です。
・新規オープンの店舗へ転職する
薬剤師が独立開業するにあたって、経験しておくと良いことがあります。その一つが、新規オープンの店舗に転職することです。
薬局開設の届出や許可などの手続きは経験できないものの、実際に店舗をスタートさせる段階について、さまざま体験することができます。何もないところから店舗を立ち上げる経験を一度でもいいので体験すれば、将来起業するときに大きなプラスになります。
でき上がったルールがなくゼロの状態からスタートするため、「人間関係の構築」「患者さんへの対応」「業務を行うためのルール作り」を含めて仕事の量は多く大変です。ただ、その分だけ独立開業するときに備えて、有利に働きます。
転職サイトに登録すれば、新規オープンの求人を確認することができます。例えば、以下は東京の調剤薬局から出された新規オープンの求人募集です。
管理薬剤師なのでMR薬剤師では無理ですが、調剤経験者であればこうした薬局へ転職することで経験を積めます。ちなみにMRの場合、一般薬剤師として経験を積んだ後に社長となり、いきなり管理薬剤師&経営者として開業することが多いです。
なお、新規オープンの薬局へ転職するとき、同時に開業支援の制度を整えている薬局へ勤務しても問題ありません。そうすれば、より独立開業を実現しやすくなります。
・後継者を望む薬局へ転職する
そして前述の通り、薬局の買取を見据えて転職するのも有効です。転職エージェントに掛け合ってもらい、将来の経営者として個人または小規模の薬局へ転職するのは普通に行われています。
個人ですべてを交渉するのはほぼ無理ですが、転職サイトであれば薬局の事業継承まで含めて転職支援しているため、2~3社以上の転職エージェントと相談してみるといいです。
開業セミナーやコンサルタントの支援を考えると失敗する
なお、当然ながら成功を目指すために起業するわけであり、失敗してはいけません。このとき、初めての開業で多くの薬剤師が失敗するものとして開業セミナーに出席したり、専門の開業コンサルタントを頼ったりすることがあげられます。
薬剤師は勉強好きなので、開業の際に本を読んだりセミナーに出たくなったりする気持ちは分かります。コンサルタントに依頼することで不安を解消したい気持ちも理解できます。
ただ、絶対にやめましょう。セミナーに参加してもいいですが、一般的なことは教えてもらえても「どのようにして開業したい医師を見つければいいのか」「薬剤師の採用はどうすればいいのか」という最も重要な部分を教えてくれません。どちらかというと、セミナー講師は薬局経営者ではなく、そうしたことを実践したことがないので教えられないのが現実なのです。
また、コンサルタントを通すと無駄にコンサル費用が高くなり、土地代やリフォーム代を含めて仲介料が上乗せされます。開業資金を抑えなければいけないのに、初期費用が高くなって失敗するリスクが圧倒的に高くなります。
経営者はできるだけリスクを抑えることを考えなければいけません。そうしたとき、開業セミナーに出席して無駄な時間を過ごしたり、コンサルタントに依頼して無意味に初期投資の額を肥大化させたりしている時点で経営者失格です。
開設許可の手続きは司法書士が代行してくれますし、開業前の準備やリフォーム業者の選定などは薬剤師会にいる先輩経営者に相談すれば無料で教えてくれます。そうした利害関係のない人から真の情報を聞き出すことが経営で失敗しないコツです。
本やセミナーでは学べないことでも、信頼できる人から聞けば本物の情報を知ることができます。正しいところから情報を得ることにより、ようやく成功できるようになります。
薬剤師として開業するための準備を行う
薬局開設のとき、特に薬剤師免許は必要ありません。実際、資格をもたない元MRや登録販売者、さらには医療を知らない素人であっても薬局の社長になることがあります。
ただ、薬剤師資格を保有している人だと非常に有利です。最初はあなた自身が社長&管理薬剤師として勤務することで、他の薬剤師を雇わなかったとしても店舗運営を行えるからです。経営のリスクをできるだけ減らすことができるため、薬剤師免許があるだけで大きなアドバンテージとなるのです。
しかし、いくら資格があっても一緒にビジネスを担う医師がいなければ意味がありません。そのために開業する勤務医を見つけたり、他の薬局の事業継承・買取を検討したりする必要があります。
ただ、普通に薬剤師を続けていても起業できない状況の人が大多数です。
数年以内に開業できる状態ならいいですが、そうでない場合は独立支援制度のある薬局へ転職したり、後継者を探している調剤薬局を見つけたりするのが適切です。転職サイトを利用し、早めにこうした決断を行える人ほど起業家として成功できます。
条件の良い薬局を見つけ、素早く独立・起業できるように手はずを整えるといいです。
薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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