結婚している薬剤師はたくさんいますが、この中には旦那の転勤によっていまの職場を退職し、新たな職場を探さなければいけなくなる女性薬剤師も多いです。どれだけいまの職場を気に入っていたとしても、転勤によって辞めなければいけなくなることは多いです。

悲しい現実にはなりますが、生活を支えるために新たな場所で薬剤師として心機一転頑張らなければいけません。このとき、どのように考えて転職活動を進めればいいのでしょうか。

旦那が転勤族である場合、妻である薬剤師が実践すべき最適な転職方法があります。具体的には、派遣薬剤師として活躍することが最も適切であり、下手に正社員やパートとして働くよりも優れるようになります。

そこで、どのように考えて派遣薬剤師をすればいいのかについて解説していきます。正社員やパートにこだわらず、派遣まで視野に入れると旦那の転勤が気にならなくなります。

夫の転勤で退職を余儀なくされる女性薬剤師は多い

薬剤師は資格さえあれば、どこでも働くことができるという大きなメリットがあります。病院や企業だと無理ですが、調剤薬局やドラッグストアの場合は調剤未経験からブランクありを含め、多くの薬剤師を求めています。

そのため、夫が転勤を命じられていまの職場を退職したとしても、すぐに新たな職場を見つけることが可能です。

ただ、旦那の転勤という仕方のない理由だったとしても、正社員やパートを辞める作業は大変です。多くの場合、公務員や企業を含めて辞令が転勤時期の直前に出されます。転勤の2週間前になって急に辞令が発表され、急いで引越しをすることもあるほどです。

そうなると、すぐにいまの会社に辞めることを伝えて準備しなければいけません。しかも、このときの手続きは意外と面倒です。例えば、転職前後の健康保険が協会けんぽで同じだったとしても、健康保険証には事業所名が記載されているため、これを返納して新たな健康保険証を受け取らなければいけません。

また、年末には前の会社から源泉徴収票をもらう必要があります。これをもらわないと、無駄に多く払った税金が返ってきません。

例えば、以下は私が以前に退職した会社からもらった源泉徴収票です。

引越しの手続きだけでも面倒なのに、こうした会社関係の書類のやり取りが必要になります。そのため、今回の退職による手続きは仕方ないにしても、今後は「同じような夫の転勤による面倒な転職手続き」をできるだけ避けるように留意するといいです。

将来、再び転勤が確実にある場合は派遣薬剤師がおすすめ

そこで、「夫が転勤族なので、転勤を繰り返す」「旦那が出向して他の会社へ転勤になったので、2年後には出向明けのため再び転勤がある」などの事情がある場合、新たな土地で正社員やパートを選択するのは避けるのが無難です。

数年後に再び夫に転勤があると分かっている状態であるなら、同じように転勤辞令が出たときに、妻側も保険証の返納を含め再び面倒な転職作業が発生するようになります。

そこで、正社員やパート・アルバイトではなく派遣薬剤師を選択するようにしましょう。派遣の場合、薬剤師の雇用先は派遣会社(転職サイト)になります。派遣で薬剤師をする場合、1ヵ月や3ヵ月など短期で働くことがあれば、半年や1年などの長期で派遣契約を結んで調剤薬局やドラッグストア、病院で働くこともあります。

基本的にはいろんな職場を経験することになりますが、雇用先は派遣会社で統一されています。そのため、たとえ急な転勤が決まったとしても派遣の契約先を変更するだけであり、社会保険の手続きや源泉徴収票の取り寄せ作業を含め、面倒な手続きをすべて省けるようになります。

しかも、正社員やパート・アルバイトで雇われる場合、薬局やドラッグストアなどの会社は長期で勤務してくれることを前提としています。2年後などに急な転勤でいなくなる薬剤師を好む経営者はいません。

そのため、数年後に夫が再び転勤になることが分かっている場合、派遣として活躍するのが最も効果的になるのです。

時給が非常に高く、正社員よりも年収・給料は良い

さらに言うと、派遣とはいっても世間一般的な派遣社員とはまったく異なります。薬剤師の場合は派遣であっても求人が多く、地方の田舎であっても問題なく求人案件が存在します。東京や大阪、名古屋、福岡、横浜などの都市部である必要はまったくありません。

そのため、転勤先の土地で求人を探せば比較的すぐに派遣薬剤師として勤務できるようになります。

しかも、世間一般的な派遣社員とは異なり、薬剤師の派遣では収入が非常に高いです。正社員として薬剤師で働くよりも高い年収を実現することができます。

派遣で働く場合、時給3,000円以上が一般的です。パート・アルバイトだと時給2,000円からが普通ですが、その1.5倍もの時給が最初から提示されるのです。例えば、以下は大阪にある調剤薬局から出された求人募集になります。

このように、時給3,200円からとなっています。この薬局では9:00~20:00までの勤務であり、休憩1時間だとすると1日10時間勤務になります。

もし、この薬局で週4日(月16日)働く場合、月の収入は以下のようになります。

  • 時給3,200円 × 1日10時間 × 月16日勤務 = 51万2,000円

このように、週4日の勤務だけで月51万2,000円になります。東京や大阪などの都市部であっても、派遣薬剤師なら年収600万円以上を実現するのは難しくありません。

また、求人によっては時給4,000円や時給5,000円のケースもあります。しかも、地方の僻地ではなく都市部でもこうした求人が出されます。例えば、以下は東京の調剤薬局から出された時給4,800円の求人です。

東京(渋谷)の薬局ですが、このように時給は高いです。参考までに、この薬局で週5日働く場合の月収は86万4,000円です。年収換算では、年収1,000万円を超えるようになるのです。

正社員よりも給料が優れており、将来に転勤があっても派遣だとすぐに対応が可能です。転勤族の夫をもつ妻であれば、女性薬剤師として勤務するときは派遣が非常に優れています。

・病院の派遣でも高時給を望める

派遣については、薬局に限らず病院で勤務する場合でも問題ありません。例えば、以下は大学病院から出された千葉での派遣求人です。

ここにある通り、大学病院にも関わらず時給2,800円と高額です。大学病院の薬剤師であると、月収21~24万円ほどと待遇は非常に悪いです。しかも、どれだけ勤務年数が長くても給料はほとんど増えません。

一方で派遣であると、同じ病院で10年以上も勤務している人の年収を簡単に超えてしまいます。派遣ではいろんな求人募集が存在し、どれであっても高い収入を得られるようになるのです。

・キャリアアップはできないが大きな問題にはならない

もちろんメリットばかりではありません。派遣薬剤師の場合、薬局の管理薬剤師を担当するわけではありませんし、職場が契約のたびに変更になるため、同じ会社で務めることによるキャリアップは望めません。

また、基本的な仕事内容は監査・服薬指導(投薬)になります。薬局内の棚にどのような薬が置いてあるのか理解していることはないため、ピッキングなどの調剤ではなく服薬指導がメインになるのです。

ただ、そもそも将来に夫が転勤を繰り返すことがほぼ確実なのであれば、同じ薬局で正社員やパート・アルバイトとして働き、キャリアアップを目指す意味はありません。転勤族の旦那の妻として薬剤師をする場合、キャリアアップできないことについてはまったく問題にならないのです。

それよりも、転職サイトに属していればどこでも勤務できるというメリットや高い時給を活かし、派遣薬剤師として活躍する方が適しています。

調剤未経験でも派遣は可能だが、転職サイトの求人は限られる

なお、実際に求人を紹介してもらう場合は全員が転職エージェントに登録することになります。派遣会社である転職サイトを利用しなければ、派遣求人が存在しないからです。派遣を取り扱う転職エージェントを利用することで、派遣として活躍できるようになります。

ただ、このとき注意点があります。それは、「派遣薬剤師は基本的に即戦力を求めている」ということです。即戦力であるため、時給3,000円と非常に高いのです。

しかし、数は少ないものの調剤薬局やドラッグストアによっては調剤未経験であっても受け入れてくれる薬局が存在します。例えば、以下は京都にある調剤薬局から出された未経験でも可能な求人になります。

派遣として中途採用での転職であっても、問題なく時給3,000円で受け入れてくれます。

旦那の転勤によって引越しをする人の中には、「それまで企業薬剤師をしていて調剤未経験」などの人もいます。そうしたとき、夫の転勤が分かっている場合、こうした未経験でも受け入れてくれる求人が適切です。

・長期契約で雇用契約を結ぶのが基本

一般的に派遣では即戦力を求めていることから、1ヵ月や3ヵ月など短期の派遣求人がたくさん出されるようになります。

ただ、未経験の場合は必ず半年や1年など長期で雇用契約を結ぶようにしましょう。また、実際に働くことになる薬局での契約期間が切れた後、特に問題がない場合は再契約できないか積極的に働きかけるといいです。

未経験の状態では、薬剤師としてのスキルが未熟です。そのため、1年以上は同じ薬局で働くことで修業させてもらうのが適切です。

可能なら、次の転勤が決まるまで同じ薬局で雇用契約の更新ができると最適です。必ずしも契約更新してくれるわけではないですが、いずれにしても未経験の場合は勉強させてもらうようにしましょう。

転勤が確実な妻が取るべき実際の手順

それでは、「夫が転勤族」「転勤族ではないが、数年後は確実に転勤する」などの状態で、薬剤師である妻が職場を退職し、これから新たな土地へ引越しをするときはどのような手順を取ればいいのでしょうか。

これについては、以下のようになります。

  1. 派遣を取り扱う転職エージェントへ登録する
  2. 引越しをする
  3. 求人をもとに派遣先を決定する

転勤によって急な引越しをすることになる人は多いです。このとき、いまの会社を退職すると同時に転職サイト(派遣会社)へ登録するようにしましょう。引越し後に派遣会社へ登録してもいいですが、早めに転職サイトへ登録することで、引越し後にすぐ求人を紹介してもらえる状況を作るのです。

引越し後に転職エージェントへ登録する場合だと、1ヵ月ほどは無収入の状態に陥ります。もちろん引越し後の片付けがあるため、旦那のように引越しをして次の日から新たな職場で働く必要はありません。

ただ、引越しの片付けは1週間もあればすべて終了するため、その後は薬剤師としてすぐに勤務できる段取りを整えておく必要があります。そこで、引越しをする前から転職エージェントへ登録することにより、どのような求人を望んでいるのかを含めザックリとでも伝えておくといいです。

早めにそうした対策を練っておけば、担当者がそれに見合う適切な派遣求人を見つけてくれるようになります。その結果、最適な求人をスムーズに紹介してもらえやすくなります。

・複数の転職サイトを利用する

なお、転職サイトへ登録するとはいっても、このときは派遣を取り扱っている転職エージェントを活用する必要があります。たとえ大手の転職サイトであっても派遣求人案件のないケースがあるため、そうした転職サイトを活用してはいけません。

このとき、1社だけの転職エージェントを活用するのではなく、多くの人は2社など複数の転職サイトを利用します。その方が多くの選択肢の中から最適な求人を選べるからです。

また、派遣では契約期間が満了した後に次の求人先で働くようにしなければいけません。このとき、契約が切れる前に次の求人を検討することになりますが、当然ながら1社よりも2社を利用したほうが優れた求人を発見しやすくなります。

転職サイトごとに特徴が異なりますし、登録されている求人内容も違います。そのため転勤に伴う退職では、女性薬剤師の多くが複数の転職エージェントを活用するのです。

大手チェーン薬局の転勤では不都合になりやすい

なお、旦那が転勤族のとき、妻である女性薬剤師が考えることの一つとして、「大手チェーン薬局へ転職する」ことがあります。全国展開している調剤薬局やドラッグストアのチェーン薬局へ就職すれば、転職しなくても転勤によって問題なく働き続けることができるという考え方です。

日本には300店舗以上を運営している大手チェーン薬局がいくつも存在します。薬局はコンビニの数よりも多いため、そうした会社へ転職することを検討するのです。

一見すると、何も問題なさそうに思います。ただ、この考えを実行すると実際に転勤するときに後悔することになります。

どれだけ店舗数の多い大手チェーン薬局であったとしても、旦那の転勤によってあなたが住むことになる場所の近くに、必ずしも勤務先であるチェーン薬局の店舗があるとは限りません。

実際、あなたの家の近くにどのような薬局が存在するか思い浮かべてみてください。全国展開の薬局が家の近くにいくつかはあるかもしれませんが、かなり遠くに存在する大手薬局の店舗も多いです。

さらにいうと、もし家の近くに店舗があったとしても、その店舗で薬剤師の欠員が出ているかどうかは別問題です。欠員がいない場合、夫の転勤先では家から遠く離れた店舗で働かなければいけません。

このように、場所が微妙というケースが頻繁にあります。一方で派遣薬剤師であれば、求人数が多いので家の近くにある条件の良い薬局へ転職すれば問題ありません。

しかも、大手チェーン薬局では給料が非常に低いです。同じようにフルタイムで働くとき、派遣薬剤師に比べて半分ほどの年収になることも珍しくありません。

勤務地の面からも、収入の面からも、大手チェーン薬局での異動を当てにするのはあまり良い選択とはいえないのです。

転職エージェントに登録し、求人へ応募する

結婚後、旦那の転勤や仕事関係によっていまの職場を退職しなければいけなくなることは実際に存在します。ずっと同じ場所で勤務し続けるとは限らず、旦那の転勤に伴う妻の転職は普通なのです。

一般企業や公務員の夫だと、薬剤師の妻は一緒に引越しをすることになります。このとき正社員やパート・アルバイトとして働くよりも、派遣薬剤師を検討してみましょう。

何年も同じ土地で働くのであれば、もちろん正社員やパートでも問題ありません。ただ、2~3年など短いスパンで再び夫の転勤が予想される場合、妻側は派遣薬剤師の方が優れています。退職に伴う面倒な手続きは不要ですし、引越し先の求人紹介もスムーズです。収入が非常に高くなるというオマケもあります。

転勤族の旦那を持つときを含め、転勤が予想される女性薬剤師は派遣という働き方が優れていると言えます。

ただ、派遣会社(転職サイト)を利用しない限り、派遣薬剤師として活躍するのは不可能です。そのため、必ず転職エージェントへ登録するようにしましょう。このときは2社など複数サイトを活用するほど、優れた求人を探せることができるようになります。

実際に派遣を取り扱っている大手の転職エージェントとしては、以下の2つがあります。

・薬キャリ

薬剤師の転職サイトとして、最高クラスでたくさんの求人を保有している会社が薬キャリです。エムスリーとして有名な会社であり、正社員やパート・アルバイトに限らず多くの派遣求人を保有しています。

単純に求人が多いことから、派遣を考える場合は最初に登録するべき転職エージェントが薬キャリになります。基本は電話かメールだけでのやり取りにはなりますが、たくさんの選択肢の中から求人を選べるようになります。

・ファルマスタッフ

転職エージェントの中では珍しく、派遣薬剤師に対して強みのある転職サイトがファルマスタッフです。正社員やパート求人を取り扱ってはいますが、「どうせパートするなら、派遣の方が時給高いですよ」とわざわざ勧めてくれる転職サイトです。

面談にこだわっており、薬剤師と面談することで最適な求人を紹介する転職サイトになります。夫の転勤が決まった後、引越し前か後に面談して最適な派遣求人を提示してもらうといいです。


薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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派遣薬剤師であれば、3ヵ月や半年だけでなく、1日などスポット派遣も可能です。「好きな日だけ働きたい」「多くの職場を経験したい」「今月、もう少し稼ぎたい」などのときにお勧めです。

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「求職者と求人企業(病院、薬局など)に必ず足を運び両方と会う」、「派遣薬剤師の求人に強い」などの強みをもつファルマスタッフさまへ取材しました。

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薬剤師求人の中でも、「どこにも載っていない難しい案件」を探すことに特化した、オーダーメイド求人の発掘を行っているファーマキャリアさまへ取材しました。

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「全国どこでも面談を行う」「事前に企業へも訪問して様子を確認する」「転職後のフォローまで行う」など、アナログな部分にこだわり続け、ミスマッチ(転職での失敗)を極限まで低くしているファーネットキャリアさまへ取材しました。

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