病院は薬剤師にとって重要な就職先の一つです。病院薬剤師として、注射剤の混注や病棟業務をすることで医療に貢献するのです。

ただ、病院とはいっても急患が訪れる急性期病院がすべてではありません。病状の安定している患者さんがたくさんいる病院も存在します。こうした病院として、慢性期病院や療養型病院、回復期リハビリテーション病院(回復期病院)などがあります。

薬剤師の転職市場では総合病院に限らず、こうした落ち着いた職場の求人が非常にたくさんあります。むしろ、全体の求人数でいえば急性期病院よりも多いのではと思います。

そのため求人募集を探すとき、こうした慢性医療や回復期リハビリテーション病棟についても着目しなければいけません。そこで、どのように考えてこれらの病院薬剤師として転職すればいいのかについて解説していきます。

慢性期、療養型、回復期リハ、ケアミックスの違い

薬剤師として医療に貢献することを考える場合、まずはそれぞれの病院ごとの種類や違いについて理解しなければいけません。

一般的に患者さんが大きな病気をすると、「急性期 → 回復期 → 慢性期」の順番に進行していきます。脳梗塞や交通事故などによって急患となって運ばれてくるのは急性期ですが、この時期は1時間ごとに患者さんの容態が変わってくる危険な状態になります。

ただ、少し経てば患者さんの容態は落ち着いてきます。いわゆる回復期と呼ばれ、リハビリテーションが積極的に行われます。病気を発症する前の状態に戻し、病気やケガの再発を防ぐのです。そのため、この時期は回復期リハビリテーション病院へ移転してケアを受けます。

こうした病院の場合、理学療法士などリハビリ関係の職種の人とどれだけ連携するかが重要になります。

しかし、中には回復期病院で完全に治癒せず、さらには自宅(在宅)での療養が困難な患者さんがいます。そうしたとき、慢性期病院・療養型病院に転院して医療を受けることになります。

場合によっては、がん治療など終末期医療を受けるために慢性期病院で過ごす人もいます。

他の病院に比べると、慢性期・療養型の病院では圧倒的に高齢者の割合が多くなります。そのため社会復帰が難しいなどいろんな問題を抱えていますが、それらの患者さんに寄り添うのが慢性期医療に携わる薬剤師になります。

なお、これら急性期や回復期、慢性期のすべてが組み合わさった病院としてケアミックスがあります。ケアミックス病院でも多くの薬剤師が活躍しています。

慢性期の役割:やりがいは少なくなる

一般的に病院薬剤師というと、急性期病院(総合病院)を目指す人が多くなります。こうした病院であると、DI業務が多くなりTDM(投与設計)などの業務も出てきます。そのため、勉強という意味では非常に多くなります。

一方で慢性期病棟や回復期リハビリテーション病棟の場合はどうかというと、勉強という意味では圧倒的に乏しくなります。

まず、TDMなどの高度な医療を提供することはほぼありません。そうした医療が必要な患者さんは急性期であり、療養型病院や回復期病院には存在しないのです。もちろん外来は圧倒的に少なく、そもそも外来のないケースも多いです。当然、処方内容は偏りますし、難病を取り扱う機会も少ないです。

治験業務が関わることはありませんし、学会発表や研究の機会もほぼないと考えなければいけません。悪く言えば刺激が少なく、良く言えば落ち着いて仕事が可能な楽な職場だといえます。これについては、慢性機病棟に限らずケアミックス病院も似ていると考えるといいです。

慢性期病棟や回復期リハビリテーション病棟で勤務する薬剤師の役割とは、「決まった処方(Do処方)に基づいて、患者さんの容態が悪化しないように管理する」ことになるのです。

こうした役割があるため、「年齢が若いためにスキルアップを目指したり、急患の患者さんに関わることで大きなやりがいを得たいと考えたりしている人」にとって療養型病院は向いていません。ただ、医師であっても体力的な問題から慢性期や回復期病院を目指す人もいるため、勤務先として悪い場所ではありません。

夜勤・当直や残業がなく、のんびり仕事できる

なぜ、多くのことを学べる急性期病院ではなく慢性期病院・療養型病院や回復期リハビリテーション病院、ケアミックス病院などを目指す人がいるのかというと、その方が圧倒的に仕事内容は楽になるからです。

また、同じ病院薬剤師であってもこうした病院では薬剤師として就職を希望する人が少なくなります。総合病院なら何もしなくても若い薬剤師が求人へ応募してきます。ただ、これら慢性期病院だと若い薬剤師が勝手に応募してくることがほぼなくなります。

そのため病院薬剤師として転職しやすく、さらには業務内容がそこまで重くならないため、「病院薬剤師として勤務したいものの、体力的な問題からそこまで大変な仕事は避けたい」と考えている人にとって人気なのです。

実際、こうした療養型病院や回復期病院、ケアミックス病院だと夜勤なし・オンコールなし(緊急の呼び出しなし)である確率が非常に高くなります。症状の落ち着いた患者さんばかりであるため、そもそも夜勤が必要ないのです。

例えば、以下は東京にある療養型病院であり、夜勤ゼロの求人です。

また、こうした病院では急患が来ることはなく決まった仕事がほとんどであるため、総合病院のように急に仕事が舞い込んで来たり忙しく病院内を走り回ったりすることがありません。そのため、残業なしの定時退社が可能になります。

落ち着いて仕事が可能なことに、慢性期病院や回復期病院の大きな魅力があります。

経験を積みたいならケアミックス病院や専門病院

なお、いくら仕事内容が楽とはいっても、「寝たきり老人が多い慢性期病院で働き、やりがいを感じられない職場で勤務するのは嫌」と考える薬剤師は多いです。

できるだけ楽な病院を考えるのであれば、老人ばかりの慢性期病院が適切です。ただ、忙しすぎる総合病院は避けたいものの、薬剤師としてある程度の役割を任さられるようになり、やりがいを感じながら働きたいと考える薬剤師はたくさんいるのです。

こうしたとき、ケアミックス病院や専門病院を目指してみるといいです。こうした病院でも夜勤なしを実現でき、ある程度のやりがいを感じながらもそれなりに落ち着いて仕事を遂行することができるからです。例えば、以下は大阪にあるケアミックス病院で出された中途採用の求人です。

100床ほどの中小病院であり、一般病床も保有しています。総合病院のように急患が運ばれてきたり、難病患者を相手にしたりすることはありませんが、病院薬剤師としてそれなりの経験を積むことができます。それでいて、夜勤なしです。

また、専門病院という方法もあります。精神科や脳外科など、専門病院も同じようにわりと落ち着いて仕事を遂行することができ、夜勤なしのケースがほとんどです。また、専門病院なので特定分野に特化した知識を学べるようになります。

例えば、以下は認知症を主体とした精神科に関わる療養型病院の募集です。

こうした専門病院であっても、薬剤師として大きな役割を得ながら、やりがいをもって仕事に取り組むことができます。

病院薬剤師の中では年収・給料は高め

なお、こうした慢性期・療養型の病院や回復期リハ、ケアミックスの病院へ薬剤師が転職するのは、病院薬剤師の中では比較的楽であり、落ち着いて仕事が可能な点だけがメリットではありません。他にも優れた点が存在します。

その代表的なものが収入です。さすがに調剤薬局やドラッグストアの薬剤師ほどの給料を得るのは難しいですが、総合病院の薬剤師に比べると高年収を実現できます。

一般的に病院薬剤師であると、大病院になって忙しくなるほど年収が低くなります。サービス残業が多くなり、勉強も大変であり、夜勤が必要になり、やることの多い病院ほど給料が少ないという矛盾を生じるのです。

例えば、以下は東京にある大病院の求人募集です。

ここにある通り、月の収入は約22万円です。ボーナスを入れたとしても、年収400万円未満が基本だと考えるといいです。非常に低い給料なのが大病院の薬剤師です。

一方で慢性期病院・療養型病院や回復期リハビリテーション病院、ケアミックス病院などになると、こうした病院よりも一般的に年収は高くなる傾向にあります。単純にそれだけ希望する薬剤師が少なく、ある程度の給料を提示しなければ応募が来ないからです。

そのため、東京や大阪、名古屋、福岡、横浜などの都市部であったとしても、最初から年収400万円以上が普通です。求人によっては、病院薬剤師でありながら年収450万円以上となるのは珍しくありません。

例えば、以下は大阪にある療養型病院で出された中途採用の求人募集です。

大阪南部にある病院にはなってしまいますが、このように病院薬剤師にも関わらず高年収(年収550万円以上)を実現できます。急性期病院に比べて、高い年収を実現できるのが慢性期医療や回復期リハビリテーション病棟に携わる薬剤師なのです。

薬剤師の人数は少なくなる

ただ、一緒に働く薬剤師の人数についてはどうしても少なくなると考えるようにしましょう。たとえ300床以上の病院であったとしても、薬剤師が1~2人しかいないのは普通です。実際、私の知り合いに精神科専門の療養型病院で勤務している人がいます。その人の病院では、薬剤師の数は一人だけです。

すべて院外処方せんを出しているため、その薬剤師が行うのは主に病棟業務になります。そのため、病院薬剤師の業務に集中でき、その代わりとして勤務している薬剤師の人数は一人だけとなっているのです。

薬剤師の人数が非常に少なくなることは、メリットでもありデメリットでもあります。

メリットは人間関係に悩まされることなく、好きなように仕事ができることです。院内処方せんが来てもDo処方がメインなので、早めに調剤しておけば空いた時間を好きなように過ごせます。

ただ、薬剤師の人数が少ないとその分だけ替えが利きません。有給休暇を取りにくくなるなど、薬剤師の人数が少なくなることによって問題を生じるようになることは理解しましょう。少ない人数で業務をするようになるため、重い疾患は扱わないものの、薬剤師として期待される役割は大きくなります。

こうしたメリットやデメリットまで理解したうえで、慢性期医療に携わる薬剤師として転職することを考えましょう。

パート・アルバイトや派遣でも病院薬剤師が可能

なお、これら慢性期病院や回復期病院、ケアミックス病院についてはパート・アルバイトであっても問題なく勤務することができます。常勤(正社員)がすべてではなく、非常勤(パート・アルバイト)も広く受け入れているのです。

このときの時給としては、調剤薬局やドラッグストアと同じように時給2,000円以上が可能です。それなりに高い時給を得ながら病院薬剤師として注射剤の混注や病棟業務を行えるようになるのです。

また、大病院だとパート・アルバイトはそこまで重要な業務を任されませんが、薬剤師数の少ないこうした療養型病院であると、むしろ積極的に仕事を任されるようになります。これら慢性期や回復期の病院だと、仕事を手伝うことで非常にありがたく思ってもらえるようになります。

こうしたパート・アルバイトの求人については広く存在しており、例えば以下は神奈川の療養型病院から出されたパート求人です。

ここにある通り、時給2,200円以上からとなっており条件は優れています。慢性期や回復期を含め、病院薬剤師であっても最初から時給2,000円以上が可能になるのです。

また、同じように派遣薬剤師として活躍することも可能です。派遣では非常に時給が高くなることが知られており、これは療養型病院についても同様です。

病院の場合、多くは産休代替による派遣求人が出されます。大病院ならそこまで関係ありませんが、もともと薬剤師の人数が少ない慢性期病院やケアミックス病院であると、産休による休みがあると非常に困ることになります。

そこで、産休代替として高額の派遣求人が出されるようになるのです。例えば、以下は名古屋の病院・クリニックから出された中途採用の派遣求人です。

産休代替であり、透析・老健の病院から出された期間限定の派遣求人となります。派遣なので時給は高く、時給2,800円以上となります。

仮にフルタイムでこの病院で勤務した場合、8:30~18:30で9時間労働(休憩60分)となります。その場合、月の収入は以下のようになります。

  • 時給2,800円 × 1日9時間 × 20日(1ヵ月労働) = 50万4,000円

このように病院薬剤師にも関わらず、月の給料は50万円以上になります。年収600万円以上になるため、派遣としてこうした慢性期病院の薬剤師を経験するのも問題ありません。これらの病院の派遣だと「調剤経験が2年以上の人が対象」などの制約はありますが、問題なく高時給を実現できるようになります。

優れた職場は転職サイトでしか分からない

それでは、どのようにしてあなたの家の近くにある優れた病院を見つければいいのでしょうか。

これについては、特に理由がない限りは転職サイトを利用するのが一般的です。そうしないと、どこに優れた慢性期医療を提供する病院が存在するのか分からないからです。

大病院であれば多くの人がその名前を知っています。ただ、あなたの家の近くにある慢性期病院や回復期リハビリテーション病院、ケアミックス病院などについては、どのような病院が存在するのかあまりよく理解していないのではないでしょうか。

こうした病院の多くは中小病院であり、そこまで名前が知られているわけではありません。患者さん自体は大病院から紹介で送られてくるため、一般の患者さんに広く知られる必要はありませんし、実際に多くの人がその名前を知りません。

そのため、どのような病院があるのかすらも分からない状態であるため、多くの人が転職エージェントに登録することで最適な病院を探すようにします。

事前に希望する勤務形態を確認するべき

ただ、慢性期とはいっても種類は豊富です。ここまで述べた通り、例えば以下のような形態があります。

  • 専門病院の療養型病院
  • 一般病棟もあるケアミックス
  • 寝たきり老人の多い慢性期病院
  • 回復期リハビリテーション病院

いろんなタイプの病院があるため、こうした病院薬剤師の中からどのような職場で働きたいのか事前に把握する必要があります。

当然、勤務地が違えば年収もそれぞれ異なります。実際に働くときの勤務条件も変わってきます。そこで、転職するときの希望条件を明確にしたうえで求人募集を探し、転職サイト経由で応募するようにしましょう。

成功するコツとしては、3社以上の転職サイトを利用することがあげられます。当然ながら、多く選択肢の中から転職先を検討する方が良い職場を探せる可能性は高いです。

また、転職エージェントの担当者との相性もあります。そのため、複数サイトに登録したうえで優れた対応をしてくれる転職サイトだけを残すのが基本になります。これが、転職に成功する多くの薬剤師が実施している方法です。

薬剤師として慢性期医療に携わる

同じ病院薬剤師とはいっても、大きく2つに分かれます。一つが急性期病院であり、総合病院でもあります。そしてもう一つが、それ以外になります。慢性期病院・療養型病院や回復期リハビリテーション病院、ケアミックス病院などが該当します。

こうした病院についても、非常に多くの数が存在します。若い薬剤師が勉強するために目指すのは急性期病院(総合病院)ですが、それ以外の病院だと調剤薬局と同じように人が足りていないため、多くの求人が転職サイトに出されるようになります。

しかし、こうした病院だとそこまで名前が知られているわけではないため、病院見学を含めて多くの選択肢の中から最適な求人を探すようにしましょう。

これら慢性期や回復期の病院には、急性期病院にはない特徴があります。こうしたことを理解しながら、求人募集へ応募するようにしてください。


薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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