当然ですが、薬剤師として働いている人であれば通常の給料とは別に年に何回かボーナス(賞与)が出ます。

ただ、このときのボーナスの平均額がいくらなのかは職場によって異なります。さらには、いつ賞与が振り込まれるのかも違ってきます。

どれだけ月の収入が良かったとしても、基本給に対するボーナス額が少なければ優れた年収を実現することはできません。

特に薬剤師の場合、パート・アルバイトや派遣は時給が非常に優れているため、基本給についてはパート薬剤師よりも正社員の方が低いことすらあります。ボーナスが上乗せされて、ようやくパートや派遣よりも年収が高くなる薬剤師は意外とたくさんいます。

そのため賞与は非常に重要ですし、ボーナスの多い職場を考えるのは当然です。また場合によっては、ボーナス転職(賞与をもらった後の転職)を考える人も多いです。こうしたボーナスのことを理解したうえで、適切な職場を選ばなければいけません。

そこで、薬剤師が考えるべきボーナスについて解説していきます。

基本給(給料)に対する計算方法を理解する

まず、薬剤師として支給されるボーナスは一般的にどれくらいが相場なのでしょうか。これについては、基本給から計算されるのが一般的です。基本給の何か月分かが賞与として出されるようになるのです。

例えば、以下はある大手チェーン薬局で出された採用募集の概要です。ここには、賞与が年2回支給され、平均で5.92ヵ月(約6ヵ月分)と記されています。

例えば、月の給料(基本給)が25万円の場合、ボーナス収入は以下のようになります。

  • 月25万円(基本給) × ボーナス約6ヵ月分 = 年間賞与額150万円

このようにして計算されます。そのためいくらのボーナスが支給されるのかについては、基本給に対して何か月分のボーナスがあるのかを確認するといいです。

ちなみに、基本給なのでボーナスには薬剤師手当や残業代などは含まれていません。そのため、たとえ月の給料が28万円だったとしても、そのうち薬剤師手当として5万円が含まれているのであれば、基本給は月23万円となります。

参考までに、以下は私が企業の薬剤師として働いていたときの給与明細です。

ここには、月の収入として281,066円が記載されています。ただ、これには薬剤師手当や通勤手当など、その他の手当が加算された結果の給料です。基本給は213,000円であるため、これを基準にして賞与の額が決められるようになるのです。

調剤薬局、ドラッグストア、病院のボーナス平均はいくら?

それでは、実際に薬剤師としてボーナスをもらうとき、どれくらいの額になるのでしょうか。これについては、調剤薬局やドラッグストア、病院によってそれぞれ異なります。

一般的な平均年収と平均ボーナス額については、以下のようになります。

平均年収 平均月収 年間賞与
調剤薬局 530万円 35万円 110万円
ドラッグストア 600万円 40万円 120万円
病院 400万円 26万円 88万円

もちろん、年齢や基本給によってボーナス額は大きく異なります。ただいずれにしても、いくらの基本給であり、何か月分の賞与になるのか確認するようにしましょう。

参考までに、一般的には基本給の4ヵ月分を支給する会社が多いです。これについては、調剤薬局やドラッグストア、病院というように業種によっても、そこまで大きく変わりません。企業で働く薬剤師についても、一般的に4ヵ月分が賞与として出されると考えるようにしましょう。

そのため、「年間で賞与の4ヵ月分が支払われる」という基準から考えて、多いか少ないかによってボーナス額を比較するようにしましょう。

新卒一年目や転職すぐでも賞与は支払われる

なお、新卒一年目であったり転職すぐだったりした場合でも、当然ながらボーナスは支払われます。働いている以上、賞与をもらえるのは当然の権利です。

注意点として、満額支給ではないことは理解しましょう。つまり、会社規程で「基本給の4ヵ月分を支給する」となっていたとしても、それよりも減額されたボーナスが支払われるようになるのです。それまで以前からずっと働いていたわけではないので、これについては受け入れるようにしましょう。

例えば私の場合、新卒薬剤師として入社した会社の最初のボーナスは10万円でした。6月末に賞与が支払われる会社だったのですが、4月入社で少ししか働いていないにも関わらず10万円ながらもボーナスが支給されたわけです。

ボーナスアップは基本給の上昇か会社の変更しかない

給料の何か月分も支給される賞与ですが、当然ながら薬剤師にとってみると多くもらえる方がいいです。それでは、こうしたボーナスをたくさんもらうためにはどのようにすればいいのでしょうか。

これについては、頑張って基本給を上昇させるしかありません。基本給を元に計算されるからです。

しかし、調剤薬局やドラッグストア、病院を含めて薬剤師は昇給がほとんどないことで知られています。たとえ薬局であっても、最初は給料が高くても収入が上がることはほとんどないのです。管理薬剤師になって給料が上がったとしても、管理薬剤師手当についてはボーナスに換算されません。

そういう意味では、薬剤師としてどれだけ会社に貢献したとしても基本給が上がらない現状を考えると、年収を含めたボーナス額を上昇させる最も手軽な方法は転職になります。つまり、働く会社を変えるのです。

一般的に東京や大阪などの都市部は年収が低くなりがちです。ただ、例えば30歳の薬剤師で年収450万円以下なのであれば、転職によってすぐに年収アップが可能です。実際、以下は神奈川の調剤薬局から出された中途採用の求人募集です。

未経験でも年収480万円からであり、ボーナスは平均で約6ヵ月分が支給されるようになっています。賞与の額でいうと、他の薬局よりも高い水準となっています。

年収では賞与まで含めて考えることが非常に重要です。ただ、どれだけボーナスが支給されるのかは会社次第であり、あらかじめ決められていることがほとんどです。そのため、事前にいくらのボーナスが出されるのかを事前に理解しておくといいです。

・ボーナスのない会社もある

ちなみに、賞与の支払いをするかどうかは会社次第です。会社の業績が悪化すれば、ボーナスの支払いがないこともあるのです。また、最初から賞与をなしにしている会社も存在します。

例えば、私が新卒で入社したときは島根県のド田舎で働くことになりました。田舎の薬局は高年収になり、新卒1年目でも年収600万円です。私は企業のサラリーマン(医薬品卸の管理薬剤師)だったので低い給料でしたが、周囲の薬局薬剤師はみんな高所得だったわけです。

このとき、同じく新卒1年目の薬局薬剤師がいたのですが、彼は「自分が働く薬局でボーナスはなく、月の収入が50万円で一定になっている(年収600万円)」と話してくれました。ボーナスはなく、月の給料を一定にすることで分かりやすい年収になっていたのです。

調剤薬局やドラッグストア、病院によって給料の支払い規定が異なります。これについては、事前に確認しておきましょう。

いつボーナス(賞与)が支給されるのか

なお、実際の賞与についてはいつ支払いがあるのでしょうか。ボーナスは必ず支払われるものではなく、あくまでも会社次第です。そのため、支払われる時期は会社ごとにバラバラです。

ただ、一般的にボーナスは夏(6月)と冬(12月)に支給する会社が多いです。特に明確な支払時期が法律で決められているわけではないものの、一般的なボーナスの支払い時期があるのです。

このとき、特に転職を考えている薬剤師にとって重要なのが「いつ賞与が支払われるのか事前に確認しておく」ことです。実際、ボーナス転職という言葉があり、これは賞与を受け取った後に他の会社へ転職することを意味しています。

しかし、当然ながらボーナス支払日に在籍していない薬剤師には払われません。また、悪質な会社だと退職予定者に対してはボーナスなしにする会社があります。こうしたことがあるため、ボーナスを受け取った後の転職を考えている場合は事前に会社規定を確認しておきましょう。

ちなみに、ボーナスは会社の業績や個人の頑張りが反映されます。そのため既に退職することが分かっている薬剤師の場合、実際のボーナス支給でいつもより支給額が少ないことはよくあります。

ボーナス転職では、引き継ぎをしっかり行うべき

なお、ボーナス(賞与)を支給してもらい、転職まで完了させる時期やタイミングとしてはいつがいいのでしょうか。このときは引き継ぎをしっかりとしたあとに退職し、転職できるように配慮しましょう。

具体的には、退職する1ヵ月以上前にはいまの会社に報告して引継ぎを完了するようにしましょう。周囲に悪印象を残さないように去ることが重要です。

ちなみに私は、新卒で入社した会社を辞めるときはボーナスをもらった後に退職しました。もっと早く辞めてもよかったのですが、退職することを当時の薬事部長に伝えたとき、「6月いっぱいまで勤務すればボーナスが出るしいいよ」と向こうから打診されました。

このときは6月から新卒(入社1年目)の薬剤師が私の店舗へ赴任してきたため、1ヵ月みっちり指導しました。私はほとんど有給を消化しませんでしたが、引き継ぎだけはしっかりと行いました。

多分、薬事部長としては「早めに私に退職されるよりも、ボーナスを払ってもいいから新卒薬剤師の教育をしてもらい、引き継ぎを完了してもらいたい」と考えたのだと思います。

そのためか、私はボーナスをもらってすぐ辞めることになりましたが、周囲からは「もらい逃げ」とはまったく思われず、むしろ「入社1年目の新卒薬剤師を教育し、引き継ぎまでしてくれた」と思ってもらえるようになりました。

要は、ボーナスをもらって転職するかどうかよりも、引き継ぎをして周囲に迷惑をかけないかどうかの方が重要になるのです。

ボーナス転職による年収アップに執着してはいけない

なお、あなたが正社員として調剤薬局やドラッグストア、病院、一般企業などへ在籍しており、これから転職するのであれば、どうしてもいまの職場でのボーナス転職に目が行きがちです。

ただ、現在の職場だけで判断してはいけません。求人先(転職先の薬局や病院など)のボーナス規定も確認するようにしましょう。

正社員として働き始めるのであれば、当然ながら求人先の会社でもボーナスが支給されます。このとき、入社時期が1ヵ月違うだけで夏や冬のボーナスが支給されたり、反対に支給されなかったりします。そのため、求人先のボーナス時期についても考慮するといいです。

例えば、以下の会社は大阪にある調剤薬局ですが、ボーナス支給は年3回となっています。

小分けに賞与が支給されるため、この場合は「早めに転職してしまった方が、結果として多くのボーナスを受け取れるようになる」こともあります。職場によって規定が違うからこそ、事前に確認するようにしましょう。

・チャンスを逃さないように注意する

なお、ボーナス転職にはこだわり過ぎないようにしましょう。ボーナス支給後の転職に執着し、好条件の求人を逃してしまうことがあるからです。

良い条件の求人はすぐに決まってしまうため、ボーナス転職にこだわらずに転職する覚悟をもった方がいいです。目の前の数十万円のボーナスに執着するあまり、「高収入であったり、労働環境が良かったりなど理想とする求人」を逃してはいけないのです。

求人はみずものであるため、適切な時期とタイミングで転職する必要があります。ボーナス転職を諦めることも重要なのです。

パートや派遣でボーナス(賞与)はあるのか

ただ、中には正社員ではなくパート・アルバイトや派遣での勤務をする人がいます。むしろ、薬剤師で正社員として働いている人はそこまで多いわけではありません。調剤薬局やドラッグストアで働いている薬剤師のうち、パート・アルバイトの薬剤師の方が多いのは普通です。

実際、私が働いていた調剤薬局は狭い店舗に常時5~6人ほどの薬剤師が働いていた店舗ですが、このうち半分以上がパートか派遣の薬剤師でした。パート・アルバイト、派遣という形態で働く薬剤師はかなり多いのです。

それでは、パートや派遣ではボーナスが支給されるのでしょうか。一般的には、パートや派遣でボーナスが支給されることはありません。

ただ、これについても職場の方針次第です。つまり、パート・アルバイトであっても問題なくボーナスを支給してくれる薬局が存在するのです。例えば、以下は兵庫県神戸市にある調剤薬局のパート求人ですが、ボーナスの支給があります。

時給2,000円と普通ですが、ここにボーナス支給があればパート・アルバイトとしての実質的な時給は上がります。いくらの賞与になるのかは調剤薬局に確認する必要はあるものの、このようにパート薬剤師でもボーナスを出してくれることがあるのです。

もちろん、これについては調剤薬局やドラッグストアに限りません。病院であっても、パート薬剤師にボーナス支給をしてくれることがあります。例えば、以下の病院求人がこれに該当します。

時給2,200円と好条件ですが、さらにはボーナスまで存在する病院求人になります。こうした中途採用の募集に応募すれば、時給以上の給料を実現できるようになります。

・派遣だと賞与が存在しない

なお、派遣薬剤師についてはどう頑張ってもボーナスがないと考えましょう。派遣薬剤師は企業(薬局や病院など)に雇われているわけではなく、派遣会社(転職サイト)で雇われていることになるからです。勤務先の会社からお金を支払われるわけではないため、当然ながらボーナスはありません。

その代わり、派遣薬剤師は時給が非常に高くなっています。時給3,000円以上の案件は珍しくなく、正社員よりも高い年収となります。そのため、派遣として働く薬剤師は賞与がなくても我慢するようにしましょう。

薬剤師のボーナス規定について理解する

専門職の薬剤師とはいっても、サラリーマンと同じです。調剤薬局やドラッグストア、病院、一般企業と働く場所は違うものの、会社に勤めていることには変わりがありません。

そのため、会社からはボーナスが支給されます。このときの賞与は基本給を軸に計算されます。月に支払われる給料には薬剤師手当などその他のものが入っているため、これらを除いた基本給が元になると考えましょう。

ダメな会社でない限り、ボーナスは新卒1年目や転職すぐであっても支払われます。私も新卒で入社した会社については、最初のボーナスは10万円でした。

なお、転職時に重要となるものに「ボーナスがいつ支払われるのか」があります。私もボーナス転職をしたことがあり、ボーナスを受け取った後に他の会社へ転職するのは一般的に行われています。こうした転職のタイミングについても、賞与は重要になります。

薬剤師の年収を考えるとき、ボーナスの存在は非常に大きいです。ただ、賞与の支払いは会社によって規定がまったく異なるため、これらを理解したうえでいま働いている勤務状況を見直すようにしましょう。


薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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