薬剤師が転職するとき、気になるものとして平均年収があります。どれくらいの平均年収なのか理解することにより、自分の置かれている状況を客観的に確認することができます。

ただ、平均年収とはいっても年齢によって月収は大きく変わってきます。当然、新卒や20代では給料が低くなり、年齢が上昇するにしたがって収入は上がっていきます。さらには、男性や女性によっても平均年収は異なります。

また、薬剤師だと住む場所によっても給料がまったく違うものになります。一般的に田舎の地域に行くほど高い月収・年収となり、都市部だと提示される月収・年収が低くなります。そのため、どれだけの収入を得ているのかを把握するとき、都道府県での比較も重要です。

こうしたことから、実際のところ薬剤師ではどれくらいの平均年収になるのかについて、年齢別・男女別・都道府県別の基準を確認していきます。

年齢別や男性・女性での給料・収入の違い

まず気になるものとして、年齢別によってどれくらいの収入の違いがあるのでしょうか。単純に平均年収だけを確認するのは意味がなく、あなたの年齢での月収・年収の妥当性を考える必要があります。あなたの年齢での平均年収と比べて、あなたの賃金が高いか低いかを確認するのです。

当然、このときは男性か女性かによっても異なってくるため、男女別に平均年収を見なければいけません。

このとき、年齢別の正社員薬剤師の平均年収・平均月収としては以下のようになりますす(青い色:男性、オレンジ色:女性)。

平均年収 平均月収 年間賞与
25~29歳(男性) 465.5万円 33.1万円 68.3万円
30~34歳(男性) 578.6万円 40.6万円 91.4万円
35~39歳(男性) 657.9万円 45.7万円 109.5万円
40~44歳(男性) 724.9万円 50.7万円 116.5万円
45~49歳(男性) 684万円 49.3万円 92.4万円
50~54歳(男性) 663.9万円 46.4万円 107.1万円
55~59歳(男性) 585.1万円 41.7万円 84.7万円
60~64歳(男性) 604.1万円 45.9万円 53.3万円
65~69歳(男性) 509万円 40.7万円 20.6万円
男性の平均年収 575.1万円 41.0万円 83.1万円
25~29歳(女性) 475.5万円 34.2万円 65.1万円
30~34歳(女性) 494.6万円 35.2万円 72.2万円
35~39歳(女性) 537.6万円 37.5万円 87.6万円
40~44歳(女性) 556.8万円 40.1万円 75.6万円
45~49歳(女性) 588.4万円 42.5万円 78.4万円
50~54歳(女性) 592.8万円 42.6万円 81.6万円
55~59歳(女性) 616万円 42.9万円 101.2万円
60~64歳(女性) 605万円 41.1万円 111.8万円
65~69歳(女性) 507.3万円 39.7万円 30.9万円
女性の平均年収 526.1万円 37.6万円 74.9万円

出典:厚生労働省「2018年賃金構造基本統計調査」

東京や大阪などの都市部であっても、中小薬局へ勤務する場合は新卒でも年収450万円以上が普通です。ここから年数が経って新卒を卒業し、さらには残業代がつけば年収はより高くなります。そのため、20代での平均年収が470万円ほどなのは妥当だといえます。

もちろん、病院薬剤師や大手チェーン薬局では低い年収・月収になりがちです。ただ、薬剤師の6割以上が薬局勤務であり、世の中に存在する多くの薬局が中小です。

中小薬局やドラッグストアでは平均年収が高いため、結果的にこのように高めの年収となっているのです。

なお、製薬会社であれば平均年収が1,000万円を超える会社も存在します。ただ、中小薬局の薬剤師だと最初の年収は高いが、それ以上の伸び率が低いといわれています。これについては、こうした統計データからも読み解くことができます。

・データから理解する薬剤師の働き方

女性薬剤師の場合、妊娠・出産・子育てなど人生の大きなイベントがあります。そのためパート・アルバイト勤務を選択する人は多く、正社員であっても管理薬剤師など上の役職に就こうと考える人は非常に少ないです。

どちらかというと家庭重視になるのが女性薬剤師です。そのため、20代から30代になったとしても年収は少ないです。

一方で40代や50代になると、子育てがひと段落するので時間ができるようになります。また、子供の進学のためにお金が必要になるなど、むしろ働かなくてはいけません。その結果、40代や50代と年齢を重ねるにつれて女性は年収が伸びる傾向にあります。

一方で男性の場合、30代や40代はバリバリ仕事を頑張る人が大多数です。そのため、この年代では非常に高い平均年収となります。

一方で50代以降になると、若いときのように必死で頑張ることはせずにプライベートを重視する男性が増えます。その結果、平均年収が女性薬剤師と同程度になります。

厚生労働省の統計データではありますが、薬剤師の実情を表している平均年収の推移となっています。こうした推移からも、薬剤師が何を重要視して転職を実行に移しているのか理解できます。

新卒20代でも年収が優れるドラッグストア

なお、平均年収・平均月収の観点でいうと最も高額になるのがドラッグストアです。ドラッグストアには調剤併設ドラッグストアやOTCドラッグストアがあるものの、こうしたドラッグストアだと20代の新卒でも最初から年収500万円以上になることが多いです。

もちろん、これは東京や大阪、名古屋(愛知)、福岡、横浜(神奈川)などの都市部でも同様です。

例えば以下は大手チェーンで知られており、ドラッグストアを広く展開しているウエルシア薬局での薬剤師募集です。

このように最初から年収517万円以上であり、20代の新卒就職であっても最初から年収500万円以上になります。

もちろん会社によって年収相場は異なります。ドラッグストアではあっても、年収400万円ほどと非常に低い会社は存在します。ただ、ドラッグストアでは一般的に給料の相場が高くなるのです。

中小の調剤薬局は年収が高く、大手チェーン薬局は収入相場が低い

最も平均年収・平均月収が高いのはドラッグストアですが、次に高い平均年収・平均月収になるのが中小薬局です。これについては、厚生労働省の統計データでも記されています。

以下には、男性薬剤師が薬局で働いたときの店舗規模別の平均年収・平均月収を記します。

従業員数 平均年収 平均月収 年間賞与
10~99人 612.5万円 45.8万円 62.9万円
100~999人 558.9万円 39.1万円 89.7万円
1,000人以上 567.7万円 39.9万円 88.9万円

出典:厚生労働省「2018年賃金構造基本統計調査」

正社員薬剤師の場合、男性だと平均年収は575.1万円です。これに比べて、従業員数の少ない中小薬局だと平均年収612.5万円であり、給料の相場が大幅に上がっていることが分かります。

それに対して、従業員数が多い大手チェーン薬局だと低い収入になります。こうした現状は転職サイトなどに掲載されている求人票を見ても理解できます。大手調剤薬局チェーンであると、異常なほど低い給料が提示されています。

例えば、以下は調剤薬局に特化した大手チェーン薬局になります。

このように、年収360万円となっており病院薬剤師並みの収入です。大手チェーン薬局だと、それだけで低い給料になると考えておきましょう。

なお、同じ大手であっても前述の通りドラッグストアの場合は非常に高い年収になります。ドラッグストアは大手ばかりであるため、「従業員1,000人以上の薬局」にはドラッグストアも含まれています。そのため、調剤薬局だけを運営している大手チェーンに絞ると、平均年収はより低くなります。

急性期の総合病院・大学病院だと平均年収は最低辺

なお、容易に想像できますが病院薬剤師だと最も平均年収が低くなります。急性期の総合病院や大学病院を含め、病院の規模が大きくなるほど提示される月収・年収が低くなるのは有名です。

病院の場合、10年ほどのキャリアがあったとしても昇給がほとんど見込めないことで知られています。私の友人で病院勤務の薬剤師についても、「年間の昇給額が5,000円しかない」と嘆いていました。

また別の薬剤師の友人であると、その人は大学病院に勤めながらも「バイク転売の副業」をしていました。大学病院の仕事は続けたいものの、いまの給料では家族を養うことができないため、副業をしていると話してくれました。

実際、大病院であるほど転職サイトに掲載されている薬剤師の収入は非常に低く、例えば以下のような実態になっています。

年収350万円ほどであり、月収は20.7万円です。病院薬剤師の場合、こうした低い給料になることを考えておかなければいけません。

厚生労働省などの統計データには、病院薬剤師の正確な年収は記載されていません。ただ、一般的に病院薬剤師の平均年収は400万円前後といわれています。いずれにしても、病院勤務だと調剤薬局やドラッグストアに比べて収入の相場が非常に低くなると考えましょう。

都道府県別の薬剤師の平均年収ランキング

なお、薬剤師の年収や月収が年齢ごとに異なるのは当然ですが、どの地域で薬剤師をするのかによっても給料は変わってきます。県別によって収入格差が存在するのです。

冒頭で述べた通り、一般的には薬剤師が希少になる地域であるほど提示される収入額は高くなります。特に薬科大学のない県であるほど、薬剤師は希少です。また、田舎の地域に行くほど薬局での給料は高くなります。

都道府県ごとでどれだけ平均年収が違うのかについては、同様に厚生労働省が統計データとして発表しています。都道府県別の平均年収ランキングの詳細としては、以下のようになります(女性薬剤師の都道府県別データ)。

都道府県 平均年収 平均月収 平均賞与
奈良 852万円 65.5万円 66.0万円
静岡 714.3万円 47.8万円 140.7万円
青森 679万円 46.7万円 118.6万円
栃木 661.4万円 44.4万円 128.6万円
愛媛 618.7万円 41.1万円 125.5万円
鳥取 597.1万円 35.7万円 168.7万円
鹿児島 586.2万円 43.0万円 70.2万円
秋田 568.8万円 36.4万円 132.0万円
大分 568.2万円 38.5万円 106.2万円
広島 565.3万円 37.4万円 116.5万円
山口 557.8万円 35.9万円 127.0万円
東京 545.5万円 39.1万円 76.3万円
高知 543.9万円 35.3万円 120.3万円
京都 540.6万円 37.5万円 90.6万円
福島 540.5万円 38.0万円 84.5万円
岩手 534.8万円 40.6万円 47.6万円
神奈川 526.5万円 38.8万円 60.9万円
福岡 523.9万円 38.0万円 67.9万円
熊本 520.1万円 37.1万円 74.9万円
長野 518.5万円 35.8万円 88.9万円
岐阜 517.7万円 39.4万円 44.9万円
島根 516.6万円 39.0万円 48.6万円
茨城 512.7万円 34.9万円 93.9万円
和歌山 511.6万円 37.1万円 66.4万円
山形 510.7万円 31.5万円 132.7万円
大阪 509.9万円 35.3万円 86.3万円
山梨 507.8万円 39.2万円 37.4万円
群馬 504.6万円 34.8万円 87.0万円
北海道 501.6万円 35.4万円 76.8万円
岡山 499.6万円 32.7万円 107.2万円
埼玉 497.6万円 37.2万円 51.2万円
宮城 493.8万円 33.3万円 94.2万円
佐賀 492.7万円 33.7万円 88.3万円
石川 485.5万円 31.2万円 111.1万円
千葉 484.4万円 36.7万円 44.0万円
沖縄 481万円 36.5万円 43.0万円
愛知 480.1万円 35.3万円 56.5万円
福井 477.8万円 32.0万円 93.8万円
三重 475.1万円 33.5万円 73.1万円
兵庫 472万円 32.5万円 82.0万円
滋賀 469万円 31.4万円 92.2万円
徳島 467.7万円 33.4万円 66.9万円
宮崎 455万円 34.0万円 47.0万円
富山 454.8万円 26.4万円 138万円
香川 428.4万円 32.8万円 34.8万円
新潟 422.8万円 29.9万円 64.0万円
長崎 421.2万円 30.3万円 57.6万円
全国 526.1万円 37.6万円 74.9万円

出典:厚生労働省「2018年賃金構造基本統計調査」

これを見ると、必ずしも「田舎の県=高年収」というわけではないことが分かります。ただ、それでもランキング上位は田舎の県ばかりであり、都市部では収入が低くなりがちであることが分かります。

なお、同じ県であっても県庁所在地にある薬局では年収が低く、郊外の山奥にある僻地の調剤薬局・ドラッグストアになると高年収になります。これについては、東京を含めどこも同じ傾向だと考えるようにしましょう。

ちなみに、ランキング順ではなく北海道から沖縄までの平均年収をグラフ化すると以下のようになります。

出典:厚生労働省「2018年賃金構造基本統計調査」

あなたが住んでいる地域の平均年収を確認したうえで、どれくらい給料が妥当なのか考えてみるといいです。

経験年数別の年収統計データから見る転職での給料

ただ、平均年収に比べて非常に低かったとしても、あなたの経験年数が少なければ当然ながら高い給料を引き出すことはできません。どれだけ年齢が高くても、平均年収の高い都道府県に住んでいたとしても、それに見合うスキルがなければいけないからです。

薬剤師については、経験年数が上昇するにしたがって年収も増えるようになります。当然といえば当然ですが、どれくらいの平均年収になるかというと、以下のようになります。

出典:厚生労働省「2018年賃金構造基本統計調査」

このデータには、手当や残業代などは含まれていないため、実際の年収はもっと上になります。ただ、このように経験年数に比例して収入が増えていく傾向を読み取れると思います。

しかし、同じ調剤薬局やドラッグストア、病院で働いていたとしても年収が増えない人が大多数です。

実際のところ、薬剤師は3年以内に辞める人の割合が32%といわれています。また、年収の低い大手チェーン薬局の場合、3年以内の離職率は42%にものぼります。この事実から、薬局や病院を含め、同じ職場で働き続けても収入が増えない場合、「転職によって、優れた条件を提示してくれる薬局で働くことを選択している」という現状を読み取れます。

同じ職場で長く勤務していても、収入に反映してくれる職場は実際のところ少ないです。そうした状況の中、なぜこのように経験年数が増えるごとに収入も増えていくのかというと、転職によって優れたポストに就く人が多くなるからなのです。

・業種が違うと経験ゼロになる

なお、当然ですが業種が異なると経験ゼロからのカウントになります。これは、病院薬剤師も同様です。

病院経験があると、調剤薬局やドラッグストアで勤務するときに、その病院経験を考慮してくれるように思います。もちろん、調剤未経験の人よりは優れた年収になりますが、それでも薬局業務については経験ゼロとしてスタートすると考えましょう。実際、管理薬剤師になることはできません。

未経験のような低い給料ではないものの、何年も薬局勤務している人のような高い収入にはなりません。そのため、将来を見据えて優れた給料を実現させたいのであれば、早めに転職して経験を積むことが高い年収を引き出すことにつながります。

薬剤師の平均年収を理解し、求人へ応募する

働くときに当然のように気になるものが平均年収や平均月収です。平均という指標を知って他の人と比べることにより、自分の置かれている状況を客観的に見据えることができるようになります。

薬剤師の平均年収については、厚生労働省が統計データとして発表しています。これらのデータを基にして、薬剤師の平均年収を解説してきました。

ただ、平均年収や平均月収とはいっても、年齢別によって収入は大きく変わってきます。さらには、男性や女性でも異なります。地域差もあり、都道府県ごとに平均年収は大きく変わると考えるといいです。

しかし、最も重要なのは「あなたにどれくらいのスキルがあるのか」です。いくら年齢が高くても、スキルを伴っていなければ転職時に高い収入を引き出すことはできません。ここで示した通り経験年数と年収は比例するため、どれだけ調剤経験を積んでいるのかが重要になります。

こうしたことを理解したうえで、自分の置かれている状況を客観的に見直すようにしましょう。統計データから平均年収を知ることで、薬剤師としてどのような給料が適切なのか理解できるようになります。


薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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