薬剤師であると、どうしても医薬品に目が行きがちです。ただ、薬だけで医療が成り立つことはありません。医療機器が存在することによって、ようやく患者さんに優れた医療を届けられるようになります。

実際、糖尿病の人が測定する血糖値の機器は医療機器になります。また、試薬なども多くの医療従事者が活用します。医療機器がなければ、うまく病気を治せないケースがほとんどなのです。

そのため、薬剤師として調剤薬局や病院で働くだけに限らず、医療機器メーカーで勤務するという方法もあるのです。

ただ、医療機器とはいっても薬剤師でどのような職種に就けるのか理解している人は少ないです。そこで、中途採用募集で医療機器メーカーに薬剤師が転職するときの考え方について解説していきます。

医療機器メーカー求人の多くは工場や倉庫から出る

まず、医療機器の会社のどのような部署から薬剤師の募集が出されるのでしょうか。これについては、多くは工場などの管理薬剤師の求人となります。

実際に医療機器を製造する工場であったり、作った製品を管理する物流倉庫だったりする場合、必ず薬剤師が必要になります。法律によって、管理薬剤師として工場や倉庫に薬剤師を配置しなければいけないと義務付けられているからです。

そのため、医療機器メーカーで出される薬剤師向けの中途採用の募集としては工場・倉庫での管理薬剤師(品質管理など)が多くなると考えましょう。

例えば、以下は医療機器メーカーから出された実際の薬剤師求人です。

新規工場での募集ですが、これは工場に薬剤師を設置しないと法令違反になるからです。同じように、倉庫などからも管理薬剤師の募集が出されます。

こうした工場や倉庫で働く薬剤師については、仕事内容はそこまで大変にはなりません。工場の品質管理や倉庫での商品管理などがメインの業務となるため、薬剤師として忙しく働くようになることは少ないのです。

薬剤師としての資格は活かしたいものの、そこまで忙しすぎない仕事を考えている場合、医療機器メーカーのこうした仕事に就くのはおすすめです。しかも、法律の関係で薬剤師が必須になるので、会社から重宝される存在になります。

工場勤務なので、東京や大阪などの都市部に限らず地方にも求人は存在します。そのため、どこに住んでいたとしてもこうした医療機器メーカーの工場・倉庫の求人が出される可能性があります。

学術(DI)で製品知識を提供する

どうしても工場や倉庫での求人が多めになりがちですが、その他の職種の募集についても医療機器メーカーから出されます。医療機器とはいっても、あらゆる場面で医療知識が必要になるので薬剤師として勉強している知識が活きてくるのです。

こうした職種の一つに学術・DIがあります。製薬会社の場合、学術部門に多くの問い合わせがきます。病院で働く医師や調剤薬局の薬剤師に限らず、MRからも質問されます。

ただ、こうした学術部門の存在は製薬会社に限りません。医療機器メーカーにも存在します。医療の観点でどのように医療機器を利用すればいいのか分からないことは多く、そうしたときに医師などから問い合わせがくるのです。

例えば、以下は東京にある医療機器メーカーでの学術担当職の募集です。

一般企業で学術担当の経験がある人に限らず、病院や調剤薬局での臨床経験があれば問題なく応募できるようになっています。

今回の求人については、医療機器の中でも消毒システムメーカーでの勤務になります。消毒についても医療では非常に重要となるため、薬剤師としてこのときの知識を活かすことができるのです。実際、病院やクリニックを含め以下のように必ず消毒薬の機器が設置されています。

こうした機器類の使い方を医療従事者に伝えることは医療への貢献を考えるうえで重要です。学術なのでデスクワークになりますが、DI担当者として医療機器メーカーで働くこともできるのです。

薬事職で承認申請に関わる

医療機器メーカーであると、薬事申請業務に関わる薬剤師という選択肢もあります。承認申請を行うことで、自社メーカーの製品をようやく市場に送り出すことができます。薬事職として承認申請を通せるのかどうかによって売上が数億円、数十億円レベルで違ってくるので責任の大きな仕事になります。

主に行政とやり取りをすることになりますが、以下のような書類を活用することで、市場で販売しても問題ないように許可をもらうのです。

企業薬剤師の中でも、薬事職の担い手は少なく一度でも知識やスキルを身につけることができれば、あらゆる企業で通用するようになります。また、同時に年収が非常に高くなりやすいのも薬事職の特徴です。

医療機器の承認申請を行う仕事内容になるため、薬剤師資格の保有者でなかったとしても問題なく業務を遂行することができます。ただ、実際のところ承認申請に関する高度な知識が必要になるため、医薬品知識に長けている薬剤師を募集するようになるのです。

例えば、以下は千葉の医療機器メーカーから出された薬事職の求人です。

体外診断用医療機器を主に取り扱っている会社になりますが、このように「医療機器の販売許可を取るための仕事」を行う薬剤師求人が出されています。

なお、一般的に薬事申請では英語力が必要とされます。企業薬剤師の場合、CRA(開発職)と薬事職の2つで英語力を要求されるようになり、薬事申請ではこのように応募資格でTOEICの点数が高いと採用に有利に働くケースが多くなります。

医療機器の許認可申請とはいっても、日本国内だけが市場ではありません。全世界で医療機器の申請を行い、自社商品を販売しなければいけません。そのため、英語力に長けている薬剤師にとって優れた求人でもあります。

稀に未経験で応募できる営業職の求人もある

このように、工場・倉庫や学術、薬事が医療機器メーカーで働く薬剤師にとってメインの職種となります。ただ、稀ではありますが医療機器メーカーから営業職の募集が出されることがあります。

製薬会社のMRについては、「新卒での就職」「営業経験者」でなければ仕事に就くことができません。病院や調剤薬局を含め、営業とは関係ない仕事をしていた薬剤師がMRとして転職することはできないのです。応募してもいいですが、履歴書の時点で落とされます。

ただ、医療機器メーカーの営業職については例外です。たとえ営業未経験であっても、医療機器メーカーの営業職として採用されることがあるのです。

例えば、以下は東京の医療機器メーカーから出された求人であり、営業未経験でも可能な薬剤師向けの募集になります。

医療機器や試薬を取り扱う企業での営業職になります。求人の数は少ないですが、こうした医療機器メーカーでの転職を考えても問題ありません。

医療機器メーカーは製品の種類が幅広い

なお、転職時に注意するべき点として「医療機器メーカーの中でもどのような会社を目指すのか」ということがあげられます。

製薬会社は非常に分かりやすいです。錠剤や注射剤、塗布剤などの違いはあるものの、薬を売っていることに変わりはありません。ただ、医療機器の場合はメーカーによって売っている製品の種類が大幅に違ってきます。

  • 大型の医療機器
  • 薬局の電子システム
  • 体外診断用医薬品
  • 歯科向けの医療機器
  • 動物用の機器類

これらを含めてすべてが医療機器に該当します。そのため、医療機器とはいっても種類が非常に幅広いのです。例えば医療機器というと、一般的に以下のような大型の機器類を想像する人が多いです。

しかし、実際には以下のような、ドラッグストアなどで販売されている小型の商品についても医療機器に該当するようになります。

そのため医療機器メーカーで働くとはいっても、どのような種類の医療機器に携わりたいのかを事前に考えましょう。

・目指す職種を考えるのは必須

また、それと同時に医療機器メーカーの中でもどの職種に就きたいのか事前に決めた状態で応募しなければいけません。

  • 管理薬剤師(品質管理など)
  • 学術・DI
  • 薬事申請
  • 営業

基本はこの中のどれかになります。医療機器メーカーの業態だけでなく、こうした職種についても事前の決定が必要になるのです。

大企業に限らず、中小企業や他業種の求人も多い

このとき、医療機器なのでさまざまな会社から求人が出されると考えましょう。医薬品であれば、ほぼ確実に大企業の求人になります。

ただ、医療機器については医薬品のように10年以上の研究開発期間が必要なわけではなく、薬よりも手軽に開発できます。そのため、中小企業からの募集も出されるようになっているのです。また、場合によっては他業種が医療機器の販売をしているケースもあります。

例えば、以下はアパレルメーカーが出している医療機器の販売申請(薬事職)に関わる求人です。

このように他業種から募集が出されることはありますし、中小企業での中途採用も存在します。

もちろん、中には大手会社から募集が出されることもあります。例えば、以下は内視鏡大手のオリンパスから出された品質管理の薬剤師求人です。

製薬会社とは異なり、医療機器の場合はあらゆる会社から求人が出されるようになります。そのため、大手会社にこだわるのではなく幅広く企業求人を確認するといいです。

年齢制限には注意するべき

ただ、このときは年齢制限に注意しましょう。医療機器メーカーに限らずあらゆる会社で共通していますが、一般的に35歳を超えると転職が非常に難しくなります。また、40代になると受付すらしてくれないことが多くなります。

転職市場では年齢が若いほど有利です。つまり若い人ほど転職で採用されやすく、価値が高いのです。どれだけスキルがあったとしても、年齢が高いという時点で落とされるのです。

当然、これは医療機器メーカーでも同様です。例えば、以下は高度医療機器の管理者(管理薬剤師)としての品質管理に関わる募集です。

このように、年齢制限があります。求人によっては、倉庫業務など特に年齢制限を設けていないこともあります。ただ、基本的にはこのように上限年齢を設けている会社がほとんどなのです。

そのため転職を検討する際は、できるだけ若いうちに実現しておく必要があります。そうしないと無駄に年齢を重ねてしまい、転職で成功できるチャンスがなくなってしまうからです。医療機器メーカーの求人募集を探して応募するとはいっても、いますぐに行動に移したほうが、圧倒的に成功確率が高まります。

調剤薬局への転職では、定年後の人であっても受け入れてくれます。ただ、「一般企業である以上は、そのようにならない」と考えましょう。

転職サイトを活用して企業求人を探す

ここまでのことを理解したうえで、医療機器メーカーの求人へ応募しなければいけません。ただ、企業求人を探すときの大きな問題点として、「そもそもの求人数が非常に少ない」ことが挙げられます。

調剤薬局やドラッグストア、病院の募集は非常にたくさんあります。ただ、企業求人は稀なのです。

しかも、これが医療機器メーカーに限定されるとさらにその数は少なくなります。また、前述の通り医療機器とはいっても会社によって売っている製品が異なり、さらには品質管理や学術、薬事など職種は幅広いです。

少ない求人の中から、希望の求人を探さなければいけません。そのため薬剤師が医療機器メーカーへ転職するとき、多くの求人を抱えている転職サイトを必ず利用しましょう。

もちろん、求人が少ないからこそ3社以上の転職エージェントを活用するのは基本です。1社だけの登録でもいいですが、圧倒的に少ない選択肢の中から選ばなければいけません。複数の転職サイトを利用するのは転職成功の基本ですが、医療機器メーカーとなると3社以上を利用しなければそもそも求人案件を見つけることすら困難になるのです。

企業求人の中でも、医療機器の薬剤師を目指す

一般的には調剤薬局や病院での勤務を目指す人が多いものの、企業で薬剤師をする人もたくさんいます。そうした企業求人としては医療機器メーカーも存在します。

医療機器がなければ、優れた医療を提供することはできません。何か検査するときは必ず医療機器を利用しますし、患者さんの各種データを管理するときについても機器類を用います。薬剤師が分包などの調剤をするときも医療機器がなければ仕事になりません。

そこで、こうした医療機器メーカーで活躍することを考えても問題ありません。品質管理や学術、薬事、営業など医療機器の会社でも、薬剤師が重宝される職種が存在します。そこで、こうした職種の中でどれを目指したいのかを考えて応募するといいです。

製薬会社だけにこだわるのではなく、医療機器メーカーまで視野を広げてみましょう。そうすれば求人先の選択肢が広がり、あなたの希望する働き方を実現できる求人を見つけやすくなります。


薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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