薬剤師の中には50代になって転職を考える人がいます。一般社会では、50代で転職しようとしても無理であり、相当のスキルをもっている人でなければ受け入れてもらうことはできません。ただ、薬剤師であれば50歳の新人薬剤師であっても、調剤未経験から転職することができます。

もちろん、年齢の問題があるので簡単ではありません。50歳以上や55歳以上の求人は非常に少ないです。ただ、受け入れてくれる求人はいくつか存在するということです。

年金だけでは生活できないため、60歳や65歳などの定年後に転職を考えている人は多いですが、50代のうちに求人を探し、定年後も働きやすい職場へ先に就職しておくと良いです。60代ではさらに再就職が難しくなるので、老後のためいまのうちに良い求人をみつけておくのです。

50代の薬剤師が転職を検討するとき、当然ながらポイントがあります。そこで、薬剤師が理解すべき転職活動のコツについて解説していきます。

調剤薬局、ドラッグストアがメインとなる

50代の薬剤師が転職を考えるとき、どのような職場へ転職するのが一般的なのでしょうか。このときメインになるのは調剤薬局です。調剤薬局や調剤併設ドラッグストアだと絶対的な求人数が多くなるため、50歳や55歳の薬剤師であっても受け入れてくれる職場が多くなるのです。

それでは、実際にどのような職場で求人募集が出されるようになるのでしょうか。「人員増のために薬剤師がいますぐ必要」「薬剤師に辞められたため、すぐにでも人が欲しい」など理由はさまざまですが、人がいなくて困っている職場であれば問題なく受け入れてくれる可能性が高いです。

また、50代以上のベテラン薬剤師が活躍している職場であれば、中高年の年齢であったとしても問題なく受け入れてくれる可能性が高いです。

例えば、以下の求人は50代であっても問題ないことが明記されています。

求人数は少ないものの、こうした薬局を探して申し込めば問題なく採用してもらえます。東京や大阪に限らず、このように地方でも問題なく求人が存在します。

・医薬品卸や物流センターでも可能

また、調剤薬局やドラッグストア以外なら企業薬剤師でも問題なく転職することができます。病院への転職は無理ですが、企業であれば50歳や55歳の中高年薬剤師の受け皿になるのです。企業求人なら、調剤未経験であっても問題なく転職できます。

例えば医薬品卸であれば、法律によって一つの支店(デポ)に必ず一人の管理薬剤師を配置しなければいけないというルールがあります。以下が実際の医薬品卸の支店です。

一つの都道府県にいくつもの支店をもつのが医薬品卸です。ただ、医薬品卸も薬剤師不足であるため、支店で働く管理薬剤師に空きが出た段階で求人が出されるのです。

例えば、以下は実際に医薬品卸から出された求人です。

企業求人自体が珍しいですが、このように医薬品卸の支店薬剤師として勤務することが可能になります。

また、物流センターの倉庫で働くという方法もあります。例えば、以下は50代に限らず60歳以上でも可能な求人になっています。

大阪にある物流センターですが、70歳まで管理薬剤師として実質定年なしで働くことができるようになっています。薬局での調剤にこだわらないのであれば、こうした求人募集に応募しても問題ありません。

パート・アルバイトや派遣での再就職も視野に入れる

このとき、50代とそれなりに年齢が高い場合は正社員だけでなくパートや派遣も視野に入れましょう。女性薬剤師であればパートでの勤務は普通ですが、男性薬剤師であってもアルバイトや派遣で働いている人は多いです。

さらにいえば、50代以上の中高年薬剤師が問題なく就職できる職場では、ほとんどが正社員ではなくパート・アルバイトの求人として出されています。

たとえ表向きは「正社員の募集」であったとしても、50歳以上や55歳以上の薬剤師の応募であると、相手企業から「パート・アルバイトでの勤務はどうですか?」と打診されることが多くなります。そのため、正社員にこだわっていると再就職できない可能性が高いのです。

中高年薬剤師では働ける期間が短いことが問題です。若い薬剤師であれば、その後に何十年も同じ薬局で働いてくれる可能性があります。ただ、50代であると働いてくれる期間は10年未満です。

定年なしで働ける職場であったとしても、若い人のように20~30年以上勤務できるわけではありません。経営者は薬剤師に対して長く働いてほしいと考えているため、働ける期間が少ないことはデメリットです。そのため、正社員ではなくパート・アルバイトとなるのです。

・派遣として勤務する

また、既に調剤経験があるのなら派遣薬剤師という方法でも問題ありません。

派遣であれば、決まった期間だけ働くことになります。もし人間関係の悪い職場であったとしても、契約期間が過ぎれば去ることができます。最初は派遣として働き、そこから交渉して正社員になる人もいるため、薬剤師である以上はさまざまな働き方を選択できるのです。

ただ再就職を踏まえ、60歳以上になっても年金だけに頼らず老後を過ごしたいと考えている場合、職場を契約ごとに変える派遣は不安定です。その場合、派遣ではなくパート・アルバイトとして一つの職場で働くようにしましょう。

50歳以上、55歳以上で求人数が少ない理由

なぜ、高齢薬剤師を受け入れてくれる求人が少なくなるのでしょうか。これには、当然ながら理由があります。

まず、自分では頑張れると思っていたとしても、実際のところ中高年では若い人と同じようにはいきません。例えば、以下のような理由があります。

・機類やパソコンの操作が苦手

年齢が高い人であるほど、機器類やパソコンの操作が苦手であることが多いです。調剤薬局では分包機を必ず使うことになります。これらの操作を覚えるのが苦手であり、間違いも多くなってしまいます。

調剤薬局の業務に慣れていないとき、最初は粉薬や一包化の調剤を任されることが多いです。私も初めて調剤を経験したとき、それまで薬局勤務の経験がないので特に最初は「粉薬と一包化をメインで行う」ように指示されました。

分包機を用いるこれらの作業は面倒なので、多くの薬剤師は行いたがりません。そこで、それらを率先して行ってくれる人は意外と重宝されます。

※慣れてきたら、水剤や軟膏(塗り薬)の調剤も率先して行うようにいわれます

しかし、これら分包機での作業も頼めないとなると、依頼できる仕事がなくなってしまいます。

また、薬局では電子薬歴などパソコン操作も多いため、パソコンが苦手な場合は仕事が遅いです。薬歴管理を含め、機器類の取り扱いで何度も指導してもらう必要があり、若い人に比べて仕事ができるようになるまで時間がかかってしまいます。

・仕事を覚えるのが遅い

このように、高齢であると全体的に仕事を覚えるのが大変です。機器類やパソコンの操作が苦手なことを述べましたが、これらはつまり「若い人に比べて仕事が遅い」ことを意味します。

特に調剤未経験の場合、新薬を覚えなければいけないので仕事ができるようになるには非常に時間がかかります。

また、伸びしろはどうしても少なくなります。さらに、なかなか仕事を覚えられない姿を同僚薬剤師は見ているわけですが、若い薬剤師であれば問題なく指摘できても、年齢が高い薬剤師に対しては強く言えないことが多いです。遠慮してしまうため、どうしても人間関係がギクシャクします。

特にプライドの高い中高年薬剤師は非常に問題です。プライドが高くないのなら大丈夫ですが、仕事を覚えられないのにプライドが高い場合、雇いにくくなるのです。

・50代ではそれまでの経験が活きてくる

ただ、伝え方によっては先ほどのデメリットを覆すことができます。例えば、薬剤師は女性が多く20代の人であれば結婚・妊娠によって長く職場を離れたり、そのまま退職したりすることがよくあります。

それに比べると、たとえ10年であっても安定的に勤めてくれる50代薬剤師の存在は経営者にとって非常にありがたい存在です。

また、既に調剤経験のある人であれば即戦力になれる可能性が高いです。もちろん、薬局によって分包機の扱い方は異なりますし、科目も異なります。ただ、調剤薬局であれ病院であれ、調剤経験があることは大きなプラスになります。

これについては、調剤未経験の人も同様です。50代であれば、それまで一つの分野で大きな経験をしてきたはずです。そうした別分野で高い専門性をもったうえで働くことになるため、既存の薬局には捉われない新たなアイディアを提供することが可能です。

50歳で新人薬剤師など、調剤未経験では想像以上に大変

ただ、それまでに調剤経験がなく「50歳で新人薬剤師の状態」など、実際のところ調剤未経験の状態で調剤薬局へ転職して働き始めるのは想像以上に大変です。それまで薬局や病院で調剤経験があればいいですが、ブランクが長かったり、OTCや一般企業など異なる分野から転職したりするときは覚えることが多いです。

まず、「医薬品名(商品名)」「一般名」「薬効」の3つが一致しなければいけません。そのため、一般名が記載された処方せんを読んだとき、先発医薬品の名前(医薬品名)が分からないのです。

また、服薬指導をするときは薬の効果効能や飲む回数・タイミングが書かれた紙を患者さんに見せながら説明すればいいので問題ありませんが、本来はそこから副作用情報を提供し、問題がないか確認する必要があります。

しかしながら、いきなりそこまで行うのは難しいため、まずは薬の名前や薬効を理解することから始めましょう。

患者さんからの質問に答えられなかった場合、「正確な情報を伝えるため、ちょっと調べてきます」などと言い、資料を開いたり他の薬剤師にヘルプを求めたりして切り抜けるといいです。以下のような書籍を活用して調べるのです。

場合によっては医師や看護師から問い合わせが来るため、聞いたことのない薬品名であるとパニックに陥ることもありますが、この場合は「調べて折り返し電話する」と伝えるようにしましょう。

・仕事ができないことに落ち込む必要はない

こうしているうちに、調剤未経験であると「自分は本当にこの仕事が向いているのか」と考えてしまうことがあります。

ただ、問題ありません。私は20代で調剤薬局への転職を経験しましたが、そのときであっても患者さんからの質問に答えられなかったり、医師から電話がきて何を返答すればいいのか分からなかったりしたことが何度もあります。そうした経験を積み、何ヶ月もかかってようやく質問に回答できるようになったわけです。

要は、別に50代だから仕事が進まないのではなく、調剤未経験の薬剤師であれば全員が必ず通る道であると考えましょう。覚えることは多いですが、それに耐えて努力すれば50代からでも一流の薬剤師へと成長できます。

もちろん、医薬品卸など企業薬剤師であればこうした心配は不要なので、調剤未経験であること自体が関係ない会社へ就職しても問題ありません。

他の薬剤師が50代で転職する理由

それでは、なぜ50代の薬剤師が転職しようと考えるのでしょうか。これには、いくつかの理由があります。これには、主に以下の3つに集約されます。

  • 調剤経験がないことへの不安
  • 子育てが落ち着いて復帰
  • 定年後の再就職を見据えての転職

もちろん、親の介護で地元に帰るなど、その他の理由もあります。ただ、これらが主な理由となるのです。こうした理由について、より詳しく解説していきます。

・調剤経験がないことへの不安

たとえ年収が下がったとしても、未経験の状態で調剤薬局へ転職する中高年薬剤師は多いです。調剤薬局は定年後でも再雇用されて働ける可能性が高いため、いまのうちに老後のことを考えて調剤経験を積んでおこうと考えるのです。

それなりの大きな企業で勤務する薬事部長であったとしても、「既に年齢は50代で老後の不安もあるため、給料が下がってもいいのでいまのうちに調剤を経験したい」と考えるようになるのです。

・子育てが落ち着いて復帰

育児をずっとしていたために主婦を頑張っていたが、子育てが落ち着いたために薬剤師として復帰したいと考える人も多いです。この場合、たとえ調剤経験があったとしても、長年のブランクがあることになります。

ブランク期間の目安としては、「2年」となります。調剤報酬は2年で変わっていきますし、この間に新薬も出てきます。当然、5年や10年などブランクの期間が長くなるほど、覚え直さなければいけない薬や制度が増えます。

大きなブランクがあったり、それまで調剤を行ったことがなかったりする場合、復帰することに大きな不安を覚えます。ただ、このときは正社員だけでなくパートという働き方もあるため、パート・アルバイトから徐々に薬剤師に慣れるという方法を選択しても問題ありません。

・定年後の再就職を見据えての転職

60歳や65歳など、定年後を見据えての転職も多いです。もちろん、定年後は働かず悠々自適に過ごしたい人にとっては関係ありませんが、定年後も年金だけに頼らず薬剤師として働きたい人であれば、いまの職場環境を必ず見直すようにしましょう。

時給や残業時間など、意外と定年後の労働環境まで整備している薬局は少ないです。場合によっては、嘱託社員という形で「業務内容はほとんど変わらないにも関わらず、給料だけ大幅に下げられる」こともあります。

そこで、定年後であっても問題なく働ける職場をいまのうちから探しておくのです。定年後に求人を見つけるよりも、50代のうちに求人を探しておく方が良い条件で転職できます。

転職市場では年齢が低いほど価値が高いです。そのため、老後まで考えて定年後も薬剤師を続けたい場合、いまの職場が定年後も問題なく良い環境で働けるのかどうかを必ず確認するようにしましょう。

定年なしの職場を希望する人は多い

なお、定年後に年金をもらえるとはいっても、それだけで生活していくのは困難です。そのため、特に再就職まで見据えての転職を考えるのであれば、できるだけ早めに定年なしの職場へ転職するようにしましょう。

先ほど、企業求人で「70歳くらいまで契約更新可能」な求人を紹介しました。これが薬局であると、さらに上の「定年なしの求人」が存在します。例えば、以下の募集がこれに該当します。

パート・アルバイトの求人になりますが、特に定年制を導入していないため、何歳になっても働くことができます。引退するタイミングはあなたの好きなように決めることができるのです。

このように定年なしの職場へいまのうちに転職しておけば、老後も問題なく薬剤師として働くことができます。これにより、年金だけの細々とした生活を避けられるようになります。

転職で失敗しないために50代薬剤師が理解すべきこと

ただ、転職するとはいっても失敗してしまっては意味がありません。50代では転職が難しいため、何度も転職を繰り返すわけにはいかず、最初から良い職場へ就職する必要があります。

そこで、50代薬剤師はどのようなことに注意して転職をすればいいのでしょうか。

・プライドをすべて捨て去り、謙虚に接する

最も重要なのは、「あなた自身がすべてのプライドを捨て去って謙虚に接する」ことです。

たとえ調剤経験があったとしても、前述の通り分包機を使い方は異なります。水剤の作り方など、薬局のルールは違います。当然、薬を置いてある棚の位置は前の職場とは別です。未経験であると、さらに分からないことがたくさんあります。

そうしたとき、分からないからといって薬局内でウロウロするだけの行動はやめましょう。年下の先輩薬剤師に尋ね、どのように対応すればいいのか確認するといいです。当然、常に謙虚に接するようにしましょう。

周囲の薬剤師とっても、あなたの年齢が高いとそれだけで指導しにくかったり、強く言えなかったりします。そこで、あなたから謙虚に接することで「ぜひとも教えてほしい」ことを伝えるといいです。初めは大変ですが、こうしてようやく新たな職場での薬剤師業務に慣れていきます。

・人間関係が良さそうな職場を第一優先にする

しかし、いくらあなたが謙虚に接したとしても、一緒に働く薬剤師同士の仲が悪かったり、人間関係がよくなかったりすると仕事を思うように進めることができません。こうなると、非常に居心地が悪くなってしまいます。

この状況を避けるため、人間関係が良さそうな職場を選ぶようにしましょう。年収など求人票に書かれている条件だけで転職することはやめ、必ず職場見学をするなど職場内部を確認するようにしてください。

もちろん、職場見学だけですべてを把握することはできません。ただ、社長の経営方針や管理薬剤師の言動、職場の雰囲気から読み取れることは多いです。職場見学をせずに転職で失敗する人は多いため、職場の雰囲気を確認した上で人間関係が良さそうな求人へ転職するといいです。

・未経験やブランクありの場合、忙しい職場は避ける

既に他の調剤薬局や病院を経験している場合であれば問題ありませんが、調剤未経験であったりブランクが長かったりする場合は忙しい職場を避けるといいです。まだ調剤に慣れていないにも関わらず、大量の処方せんがきて慌ただしく働かなければいけない職場であると非常に疲れてしまいます。

例えば、私が勤めていた薬局は非常に処方せん枚数が多く、狭い調剤薬局にも関わらず午前中だけで処方せんが100枚を超すことがある職場でした。そのため、薬局内は患者さんで常にあふれかえるようになります。また、薬剤師の数はいつも5人以上でした。

いつも慌ただしく動く必要があるため、50代で調剤未経験であったりブランクがあったりする場合、こうした職場は向いていません。

さらに、中高年や高齢薬剤師が転職時に避けなければいけない科目があります。それは、小児科と耳鼻科です。

これらの科目は粉薬や水剤が多く、細かい作業を要求されます。また、冬の小児科はインフルエンザやノロウイルスの影響を受けて待合室は患者さんでごった返します。耳鼻科についても、咳症状や花粉症の影響で冬から春先まで多くの患者さんが押し寄せます。

こうした事情があるため、小児科と耳鼻科への転職は避けなければいけません。

一方、眼科や整形外科の門前薬局は比較的ゆったりと働くことができます。内科であっても、処方せん枚数が少ない調剤薬局や調剤併設ドラッグストアであれば大丈夫です。

忙しい職場へ転職するのもいいですが、最初は慣れることを優先させることが重要です。

年収・給料が下がる可能性を理解する

50歳以上や55歳以上で転職する場合、多くで年収が下がる可能性があることは理解しておきましょう。50代で年収アップを目的に転職するのはほぼ無理だと考えて問題ありません。

高年収を提示してくれる薬局であると、当然ながらその分だけ忙しかったり残業が多かったりする可能性が高いです。そうした職場で頑張るのも良いですが、自分の実力に合わせた薬局を選択すれば、最適な求人を見つけられるようになります。

もちろん、病院の一般薬剤師として働いていたのであれば、元々の給料が低いので、薬局への転職でいまの給料よりも高い年収を実現することができます。東京や大阪などの都市部であっても、調剤薬局であれば高年収を実現しやすいのです。

ただ、病院などのように低い年収で働いていたわけではなく、それまで薬局や一般企業などに勤務し、それなりの給料をもらっていた場合は50代の再就職で給料が下がってしまうのです。

参考までに、以下に厚生労働省が発表している女性薬剤師の平均年収を載せます。

平均年収平均月収年間賞与
45~49歳598.7万円41.7万円97.4万円
50~54歳586.7万円41.0万円94.3万円
55~59歳562.0万円40.1万円80.3万円

※地域差まで考慮された表ではありません。

ただ、最初からこの表と同じ額の年収を手にするのはほぼ無理だと考えてください。年収が下がっても良いから、50代でも受け入れてくれる職場を探せる人が転職で成功します。

なお、場合によっては年収の交渉をするといいです。例えば「初年度はフルタイム勤務で、年収400万円で問題ない。ただ、次の年からは年収450万円にしてもらう」などのように交渉するといいです。

これは、パート・アルバイトでも同様です。最初は時給2,000円(調剤未経験の場合)からのスタートにして、徐々に時給を上げてもらうようにしましょう。

必ず転職サイトを2~3社以上は活用する

また、50代の転職では必ず転職サイト(転職エージェント)の力を借りましょう。薬剤師資格をもっているとはいっても、50代である以上は転職が難しいことに変わりありません。その中からあなたを受け入れてくれる薬局の求人を探す必要があります。

また、先ほど年収交渉のときに「初年度だけ年収400万円で働き、次の年の給料では年収450万円にあげてもらう」ことを例に出しましたが、これを自ら行うのは現実的ではありません。転職エージェントによって交渉してもらうことによって、ようやく実現することができます。

転職成功の秘訣としては、複数の転職サイトを活用することがあります。転職サイトに在籍するコンサルタントとの相性は人によって違いますし、転職エージェントごとに保有している求人も異なります。

しかし、年齢が高いと求人が非常に少なくなることは既に述べました。参考までに、以下は薬キャリAGENTという非常に多くの求人を保有している転職サイトを活用して、「60歳以上歓迎」で検索したときの結果です。

このように、日本全国で46件しか出てきませんでした。50代よりも条件の厳しい60歳以上ですが、それでも50代薬剤師であってもこれと似た現象が起こります。ここから、50歳以上や55歳以上の中高年薬剤師が転職をするとき、想像以上に難しくなることが理解できます。

参考までに、先ほどの条件に加えて「未経験・ブランクのある方」にチェックを入れて検索しなおすと、求人数は半分ほどになります。

このように、28件の求人しかヒットしません。ここから、転職エージェントを1社だけ利用するのは非常に危険だとわかります。必ず2~3社以上の転職サイトを利用し、多くの選択肢の中から求人を選ぶことが重要になります。

特に東京や大阪、名古屋、福岡などの都市部以外になると、かなり求人数が少なくなります。そのため、地方に住んでいる人では3社で足りず、4~5社の転職サイトを活用する人は非常に多いです。

履歴書や面接でやる気を伝える

このとき、転職サイト経由で良い求人を見つけることができたとしても、50代という年齢があるため、内定をもらえるかどうかは別問題です。そこで、履歴書や面接では年齢に負けず頑張って働けることを伝えるといいです。

例えば、履歴書では以下のように志望動機を記載する欄があります。

ここに記入する必要があり、履歴書で書いた内容は面接でも聞かれます。そこで、事前に履歴書の志望動機をどのように記載すればいいのか考えておくようにしましょう。

例えば、以下のようになります。

OTCの薬剤師として勤務してきましたが、いまの職場では60歳を迎える前に嘱託社員になり、年収は大幅に下がってしまいます。ただ、まだ子供を大学に通わせる必要があります。そこで、将来を見据えて早めに調剤薬局で勤務することを決意しました。

調剤経験がないことについては不安に感じていますが、プライドが高い性格ではないので年下の薬剤師からたくさん教わる姿勢でおります。

御社は定年なしで勤務でき、長く薬剤師として雇ってくれるとお聞きしています。老後を見据え、さらには家族を支えるためにも心機一転頑張らせていただきます。

このように、「中高年や高齢であっても謙虚に接することができる」「頑張って努力する」「長く勤務する気持ちがある」ことを伝えるといいです。

調剤未経験の人が転職する場合の志望動機・退職理由の例を出しましたが、人によって「ブランク空けの復職」「病院から薬局への転職」など事情が異なります。そのため、それに合わせた転職理由を考えるようにしましょう。

50代であっても転職で成功できる

重要なのは、高齢というハンデはあるものの、50代であっても良い求人へ申し込んで転職することは可能だということです。

例えば私がいた調剤薬局では、病院薬剤師を定年退職した後にパートとして働いていた女性薬剤師がいました。50代ではなく、それよりもさらに高い年齢の人が勤務しており、病院経験があるためか知識は豊富でかなり頼りにされていました。

ちなみに私が働いていた薬局社長の話によると、過去には定年退職後の大病院の薬剤部長を雇ったことがあれば、調剤未経験の50代男性を薬剤師として向かい入れたことがあるようです。

いずれにしても、50代だからといって遠慮する必要はありません。謙虚な気持ちは必要であるものの、転職サイトを活用すれば問題なく転職できます。

いまの職場環境を見直し、年収や労働条件を踏まえてどの求人が最適なのかを考えるようにしましょう。そうして自分の将来と照らし合わし、求人を探してみるといいです。


薬剤師転職で失敗しないために必要な理想の求人・転職先の探し方とは!

薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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