一般的には薬局や病院の薬剤師として働くのが基本です。ただ、中にはそうした職業ではなく講師として活躍する薬剤師もいます。

具体的には、薬剤師国家資格の予備校講師であったり、美容師専門学校で生徒を教えたりするのです。先生として、これから社会に出る前の生徒の夢を叶えるように指導するのが仕事になります。

しかし、普通だとこうした求人が出回ることはありません。また、どのような仕事内容になるのか理解していないと、正社員やアルバイト(非常勤講師)として活躍することができません。特殊な薬剤師職だからこそ、事前に情報を仕入れておく必要があります。

そこで、どのようにして薬剤師が講師として活躍すればいいのかについて、その方法を解説していきます。

薬剤師予備校か美容師専門学校で薬剤師募集がある

薬剤師の求人募集がある講師業は決まっています。以下の2つです。

  • 薬剤師予備校:薬剤師国家試験に合格するための予備校
  • 美容師専門学校:美容師国家資格に合格するための予備校

両方とも関係するのは、どちらも国家試験に合格させるために生徒を支援する予備校だということです。こうした学校で正社員またはパート・アルバイト(非常勤講師)をするのが可能になっているのです。

一般的には、こうした講師業は新卒薬剤師が就職活動をして成るものだと思われがちです。だた、実際には中途採用であっても問題なく求人募集が出されています。それだけ講師が足りないからです。

そのため講師業を検討しているのであれば、国家資格が関わる薬剤師か美容師のどちらかで活躍することを考えましょう。そうすれば、薬剤師としての経験を活かしながら中途採用で講師ができるようになります。

調剤未経験でも講師か可能

なお、薬局や病院などでの調剤経験がなければこうした予備校での採用が難しいと考える人が多いです。ただ実際のところ、そうしたことはありません。薬剤師資格があり、社会人として働いた経験があってやる気があれば、どのような人でも応募できます。

ただ当然ながら、薬局や病院などで調剤経験があればその経験が役に立ちます。担当科目は要相談ですが、薬剤師として活躍していれば薬理学や実務の科目については問題なく教えることができるため、実体験を交えた面白い講義をすることができるからです。

例えば薬剤師国家試験の薬理学や薬物動態学であれば、特に勉強しなくても「なぜクラビットのキノロン系抗菌薬は1日1回投与であり、ミノマイシンなどのテトラサイクリン系抗生物質は1日数回投与なのか」「スルホニル尿素薬(SU剤)がどう効くのか」などは理解できているはずです。

これに加えて、「どのようにして教えれば分かりやすくなるのか」についてテクニックを把握すれば、すぐに薬理系などの講師として活躍できるようになります。「β遮断薬は〇〇オロールという名前になる」など、こうしたことを教えることで問題を解けるようにするのです。

もちろん、国家試験は薬理学だけではありません。有機化学や物理化学、衛生科学などもあります。こうした科目が得意であれば、薬理学などとは違う科目を担当しても問題ありません。

中途採用の正社員でも非常勤講師でも可能な薬剤師予備校

なお、講師業の中でも薬剤師が思い浮かべやすいのは薬剤師国家試験(国試)の合格を目指す予備校での講師です。こうした予備校としては、以下の学校が有名です。

  • 薬学ゼミナール
  • メディセレ
  • ファーマプロダクト

基本的には、公式サイトを見たとしてもこれらの予備校では薬剤師の募集をしていないことがほとんどです。基本的には、キャリア採用を目指したとしても年度途中では無視されることがあったり、新卒が優遇されたりします。

ただ、転職サイトを通せば電話などでアプローチしてもらえます。もちろん、どの予備校で求人があるのかまでは分からないため、実際に転職エージェントに登録した後、「どの予備校から正社員や非常勤講師の募集があるのか」を確認する必要があります。

例えば、以下は実際に薬剤師国家試験の予備校から出された非常勤講師(パート・アルバイト)の募集です。

このように、アルバイトとして薬剤師予備校の講師を求めていることが分かります。上記は福岡での求人ですが、東京や大阪を含めて都市によっては薬剤師予備校の求人が出されることがあるのです。

美容師専門学校でも薬剤師の求人へ転職できる

また、薬剤師が講師として活躍できるのは薬剤師国家資格だけではありません。美容師の国試でも講師求人が出ます。

実際のところ、薬剤師の予備校はそこまで数が多いわけではありません。一方で美容師専門学校であれば、日本全国のあらゆる場所に存在します。そのため、講師業をするために正社員や非常勤講師で活動する場合、美容学校で働く薬剤師の方が求人数は多くなる傾向にあります。

例えば、以下は埼玉にある美容学校で出された求人です。

正社員でもパート・アルバイトでも応募可能な求人です。そのため、こうした求人で講師をしても問題ありません。

正社員の年収・給料は薬剤師予備校、非常勤講師の時給は美容学校が優れる

なお、実際に薬剤師として活躍することを考えるとき、正社員で転職することを考えているなら、年収だと薬剤師予備校の方が優れています。夜遅くまで生徒の面倒を見る必要があるので非常に大変ですが、講師として活躍するときの月の給料は30万円以上になります。

一方で調剤薬局や病院の薬剤師として働く傍ら、非常勤講師として勤務するのであれば、薬剤師予備校よりも美容学校の方が時給は優れています。

また美容学校であれば、薬剤師国家試験に比べると圧倒的に内容が簡単です。誤解を恐れずにいうと、美容師はほとんど勉強ができない高卒の人でも問題なく試験をパスできるレベルの国家試験です。筆記試験は非常に簡単なため、美容師専門学校の講師であれば生徒へ教えるときにそこまで予習は必要ありません。

美容学校の講師として活躍する場合、正社員だと収入は月20万円ほどと非常に低いです。そのため、割に合いません。一方で非常勤講師としての副業であるなら、時給2,500円であり意外と優れています。ほぼ予習なしでも対応できるレベルの講義をして、先生として将来を担う生徒を教えることができます。

例えば、以下は東京の美容学校から出された薬剤師の講師募集求人です。

時給4,200円であり、条件面としては非常に優れています。衛生や感染症、消毒などの科目があるため、薬剤師としての知識を活かしながら、講師として若い生徒を教えることができます。

この求人の場合、一回の勤務時間は10:00~14:40と短いです。ただ、それだけ効率的に稼ぎながらも、やりがいをもって指導できるようになります。

転職サイトで求人の取り扱いは異なる

こうした薬剤師予備校や美容師専門学校の求人を自ら探すのは非常に難しいです。自分から一つずつ電話で問い合わせをして、ようやく求人を発掘できるようになります。

そこで、薬剤師専門の転職サイトを利用するのが必須です。しかし、転職エージェントごとに講師業に関する取り扱いは異なります。転職サイトによっては問題なく正社員や非常勤講師の募集を掲載していることがあれば、講師求人のない転職サイトもあるのです。

求人が出されるタイミングもあるため、これについてはどの転職サイトで講師の求人があるのか分からないのが実情です。そのため、講師業への転職や非常勤講師を考えている場合はいくつもの転職エージェントを利用し、求人があるかどうか問い合わせるのが基本になります。

講師業の求人は日本の主要都市だけで出されるわけではありません。美容師専門学校まで含めると、あらゆる土地で薬剤師の求人が出されるようになります。

ただ、ここまで提示した通り予備校講師の求人が存在することは確実です。しかし、どのような求人内容なのかについては、その時々によるため、実際にいくつもの転職サイトに登録してようやく判断できると考えましょう。

講師として、薬剤師が先生の立場で活躍する

薬局や病院で働く、一般的な薬剤師とは大きく異なる存在として薬剤師国家試験や美容師国家試験の予備校講師があります。こうした予備校で勤務し、先生として活躍することが可能です。

給料の面でいえば、正社員だと「問題の内容が難しく高い知識が要求される薬剤師予備校」の方が高い年収となります。ただ、非常勤講師としてパート・アルバイトを考えている場合、美容学校の講師をする方が時給は高く、事前に予習するべき内容も少なくなります。

こうしたことを理解したうえで中途採用の募集へ応募しましょう。

ただ、当然ながら調剤薬局やドラッグストア、病院のようにたくさん求人があるわけではありません。さらには、どの転職サイトに求人が出されているのかも、その時々によって違ってきます。そのため、いくつもの転職エージェントを利用しながら講師業の募集を見つけるといいです。


薬剤師転職で失敗しないために必要な理想の求人・転職先の探し方とは!

薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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・派遣登録し、高時給で働く

派遣薬剤師は給料が正社員よりも高く、時給3,000円以上も普通です。さらには3ヵ月や半年だけでなく、1日などスポット派遣も可能です。「自由に働きたい」「多くの職場を経験したい」「今月、もう少し稼ぎたい」などのときにお勧めです。

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インタビュー記事:薬剤師の転職サイト

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薬剤師求人の中でも、「どこにも載っていない難しい案件」を探すことに特化した、オーダーメイド求人の発掘を行っているファーマキャリアさまへ取材しました。

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