薬剤師の転職で、入職後に短期での転職を考える人は多いです。新卒入社であったり、中途採用での転職だったりしたとき、「入社したはいいけど職場と合わないことがわかり、辞めたい」と考えるようになるのです。

それでは、薬剤師が3ヵ月などの試用期間中や半年ほどで退職し、他の職場へ転職するのは問題ないのでしょうか。

もちろん、短期離職が良いとはいえません。ただ、辛い環境で働き続ける方が問題になります。そのため、転職するときは戦略を練って優れた職場で働くのが適切です。

こうしたとき、短期での離職を考えている薬剤師は、どのように考えて優れた職場へ転職すればいいのでしょうか。これについて解説していきます。

短期離職の一番の原因は労働環境

実際のところ、新卒や中途採用を含め短期間で退職し、転職することを考える薬剤師は意外と多いです。これは、事前に聞いていた内容と異なる条件で働くようになることで発生します。

例えば、土日が休日と聞いて入社したのに実際は土日出勤を当たり前のように強要され、振替での休みを取れない職場はたくさんあります。また、残業なしで退社することを条件としていたのに、実際のところ残業が毎日1時間ほど発生することは多いです。

こうした事前に聞いていた条件と異なる要件で入社してしまった場合、1ヵ月ほどで退職したくなってしまいます。3ヵ月程度の試用期間や半年に限らず、条件面で合わないとすぐに辞めたくなってしまうのは当然だといえます。

他にも、ダメな職場であるほど薬剤師の人数が足りず、いろんな面で不具合を生じるようになります。例えば、以下のような事例です。

・休憩時間がない

昼食の時間がほとんどなく、求人票では休憩1時間と書かれていたとしても、実際には10分ほどしか休憩できないことはよくあります。

しかも制度上は休憩1時間になっているため、昼休憩のときに頑張って働いた時間は労働時間に含まれず、サービス残業と同じようになってしまいます。

・事務が調剤を行い、違法行為を繰り返している

また、薬剤師が足りない職場では日常的に違法行為を繰り返しています。よくある例としては、事務員がピッキング作業をすることで、調剤をするのです。

さすがに監査や服薬指導は薬剤師が担当するものの、他の作業は事務が担当します。違法行為が常態化している薬局や病院だと、当然ながら法律を守るという当たり前の思考が欠如しているため、労働環境は非常に悪くなります。

・管理薬剤師が他店舗で勤務している

さらにダメな薬局であると、管理薬剤師が他の店舗でヘルプとして勤務することがよくあります。

管理薬剤師は法律で一つの店舗だけに在籍しなければいけないものの、他店舗のヘルプをすることで違法行為に加担することになるのです。

試用期間中や半年で転職する薬剤師は年収・給料も関わる

このように、労働環境に問題のある職場は意外と存在します。ただこれら労働の問題については、勤務形態など労働環境に限りません。年収・給料など労働条件の問題も含まれています。実際に聞いていた収入とは異なる給料になってしまうのです。

例えば、東京や大阪などの都市部であったとしても、調剤薬局やドラッグストアであれば年収450万円以上が基本です。大手チェーン薬局だと年収380万円ほどと非常に低くなりますが、中小薬局であれば都市部でも年収450万円以上になるのは当然だと考えましょう。

例えば、以下は東京の調剤薬局から出された求人であり、調剤経験者は年収500万円からとなっています。こうした求人はたくさん存在します。

しかし、労働環境の悪い薬局や病院だと理由もなく「1年目はボーナスが出ない」といわれ、ボーナスカットされます。その結果、たとえ薬局勤務でも年収が300万円ほどになるなど、薬剤師にも関わらず異常に収入が低くなってしまうのです。

・残業代が出ない

また、一般的な年収であっても「無駄に残業が長くあるにも関わらず、残業代が出ないので実質的な給料が非常に低い」という薬局や病院も存在します。

残業代が出ないのは、当然ながら違法行為です。しかし、先に述べたような違法行為が常態化している職場だと、「残業代を出さないような軽い違法行為」くらい何とも思わないという実態があります。

特に労働環境の悪い職場だと、すぐに薬剤師が辞める傾向が強いので、薬剤師の人数が少ないことが多いです。そうなると、当然のように残業が多くなります。事前に薬を作っておく予製として一包化をしたり、薬歴を入力したりなどの作業が山積みになってしまうからです。

職場環境が悪いために薬剤師が少なくなり、そのしわ寄せがあなたに来るという悪循環に陥ります。特に残業代が出ない職場だと、いくら働いてもこうした報われない状況に陥りやすいです。

このように、労働環境に問題があると年収や残業代を含めて複合的に問題を生じるようになると考えてください。

薬局でも病院でも、人間関係が悪いと短期で退職したくなる

さらに、経営者の考え方がダメなために薬剤師が足りず違法行為が多かったり、実際の条件とは異なる環境で働くようになったりする職場では、当然のように人間関係がギスギスしてくるようになります。

忙しい環境だと心に余裕がなくなります。余裕ある落ち着いた環境であれば許せる問題でも、イライラしている中だと罵声が飛び交うようになるのです。心に余裕のない人間たちが働く職場であるほど、働き辛くなります。

また、飲み会が無駄に多かったり、調剤でミスをするたびに陰口を言われたりするようになることもあります。

薬剤師では人間関係も転職理由のトップに該当します。実際のところ、1ヵ月も働けば職場の雰囲気はほぼ把握できるため、試用期間中であっても人間関係の問題で辞めたいと考えるようになる人はたくさん出てくるのです。

最初は転職エージェント経由で改善要求するべき

それでは、実際に労働環境が悪い状況に陥っているとき、どのようにしていまの状況を改善させることができるのでしょうか。

人間関係の問題まではさすがに無理ですが、勤務条件や給料などの条件面については改善させることが可能です。具体的には、利用した転職エージェント経由で勤務条件を正してもらうように交渉してもらうといいです。

ハローワークを利用したり、自ら応募したりしたのであれば、どう頑張っても改善できません。ただ、いまはほとんどの薬剤師が転職サイトを利用して職場を探すため、転職エージェントを利用して就職先を探していると思います。そこで、転職サイト経由で最初に聞いていた条件で働けるように掛け合ってもらうのです。

なぜ転職するのかというと、当然ながら自分の希望条件に合う優れた職場で働くためです。悪い環境で勤務するために転職する薬剤師などいません。そこで、いまの職場環境を改善してもらうために転職サイト経由で依頼するのです。

実際のところ、これだけで条件が改善されることもあります。

「薬剤師が足りず、事務員が調剤しているなど、経営が破綻している薬局や病院」だと改善は難しいですが、優れた職場であれば問題なくいま抱えている問題をすぐに解決できる可能性が高いです。そのため、転職サイトの担当者に頼るのはかなりおすすめの方法だといえます。

新卒でも中途採用でも、考えずに就職すると失敗する

しかし、こうしたことを実施してもまったく環境が改善されない場合、転職してしまった方がいいです。特に違法行為が多く、薬剤師がまったく足りていない職場であるために辛い労働を無理強いされているのであれば、早めに転職してしまうのが適切です。

3ヵ月などの試用期間中に転職したり、半年で求人へ応募したりすることは何も問題ありません。実際、そうした薬剤師は意外とたくさんいます。新人や中途採用に限らず、短期で退職してしまう薬剤師は多いのです。

ただ、短期退職するのは薬剤師側にも問題があります。これは、「よく調べずに転職先を決めてしまった」というケースが大多数です。実際、あなたは以下のことをすべて実践したうえで転職先の調剤薬局やドラッグストア、病院を決めたでしょうか。

  • 明確な希望条件を出し、優先順位を決めた
  • 将来のライフプランまで見据えて転職先を決めた
  • 店舗見学を実施し、現場の薬剤師を質問攻めにした
  • 3社以上の転職サイトを利用し、比較検討した

恐らく、これをすべて実践している薬剤師は少ないのではと思います。ただ、一生働く転職先を考える以上、当然ながら本気になって活動しなければいけません。そのため、これらの作業は必須だといえます。

そこで、どのように考えればいいのかについて、より詳しく確認していきます。

明確な希望条件を出し、優先順位を決める

まず、あなたはなぜ転職したかったのでしょうか。このとき、例えば年収アップが目的なのであれば、どれくらい収入を上げたいと考えているのでしょうか。明確な根拠がなければ、優れた就職先を発見することはできません。

実際、年収を50万円ほどアップさせるのと、年収100万円ほど上昇させるのでは取るべき戦略が異なります。

また、残業なしでの退社を考えるにしても、完全に残業ゼロでなければいけないのでしょうか。または、残業代が出るなら30分ほどの残業であれば許せるのでしょうか。終業時間が20:00など遅めで決められていても問題ないのでしょうか。

多くの薬剤師はザックリとしか希望条件を考えません。そのため、転職サイトを利用したとしても提示される求人内容がボヤッとしたものになります。そこで、どのような条件の求人を希望しているのか、具体的な数字を交えて考える必要があります。

このとき、当然ながらすべての希望条件を叶えられる求人は存在しません。そこで、事前に優先順位を決めておくようにしましょう。

将来のライフプランまで見据えて転職先を決める

さらにいうと、将来のライフプランまで視野に入れているかどうかが重要になります。5~10年後の未来まで考えて転職活動をしているかということです。

例えば女性薬剤師であれば、妊娠・出産という人生の中で大きなイベントがあります。このとき、法律で育休が1年は認められています。また、子供が3歳になるまで時短勤務できます。

しかし、実際のところ1年以上の育休が欲しいケースはあります。また、子供が3歳になった時点ですべてのことを子供が一人で行えるようになることはあり得ません。そのため、多くの女性薬剤師で子供が3歳になった瞬間に時短勤務がなくなり、困り果てる状況に陥ります。

ただ、職場によっては例外規定を設けていることがあります。例えば、以下は東京にある調剤併設ドラッグストアから出た中途採用の求人です。

ここにある通り、子供が1歳半になるまで育休を認めてくれますし、小学校6年生まで時短勤務できます。将来プランを考える場合、育児まで検討している女性はこうした薬局へ転職し、将来にもわたって正社員やパートで働き続けられる職場を選ぶ必要があります。

店舗見学を実施し、現場の薬剤師を質問攻めにする

さらに転職時に失敗する薬剤師として、事前の職場見学を実施していないこともあります。病院だと「面接場所=職場」となりますが、調剤薬局やドラッグストアだと本社で面接を受けることになります。つまり、実際の職場とは違う場所で面接を実施します。

このとき、店舗見学を面倒だと考えて省いてはいけません。必ず職場見学をすることで、実際に働く調剤薬局やドラッグストアがどのような実態になっているのか確認するようにしましょう。

職場を見学すれば、「調剤設備がどのようになっているのか」「一緒に働く薬剤師の雰囲気はどうか」などを含めて把握できるようになります。

このとき、同時に現場の薬剤師に対してできるだけ多くの質問をするといいです。例えば、求人票に「残業代がきちんと支払われる」とあったとしても、実際のところサービス残業が常態化している職場は存在します。

経営者がダメだと、平気でウソをつきます。しかし、現場の薬剤師であれば真実の情報を教えてくれるため、生の職場情報を収集できるようになります。それと同時に一緒に働く人たちの様子を観察できます。

店舗見学は10~20分と非常に短いです。ここからすべての情報を得るのは不可能です。ただ、職場見学をするのとしないのでは、転職で失敗する確率を大幅に減らせられるようになります。

また、職場見学を実施すれば実際に公共交通機関(または車)を使って現場まで出向くことになるため、どのような経路で通勤するようになるのかも把握できます。通勤時間まで含めて分かるため、転職で失敗しにくくなります。

求人票の条件だけで転職先を決めるのは最悪です。そうではなく、求人票には絶対に載らない情報まで含めて積極的に取集しなければいけません。

3社以上の転職サイトを利用し、比較検討する

また、転職で成功する人ほど本気で活動するため、3社以上の転職エージェントを利用します。その方が多くの求人から選ぶことができますし、転職サイトに在籍しているいろんな担当者を比較検討できるようになります。

転職サイトごとに特徴が大きく異なります。「電話対応がメインの転職サイト」「求人紹介前の面談にこだわっている」「面接同行の有無」を含め、転職エージェントごとに転職支援の内容や特徴が違ってくるのです。

当然、転職サイトの担当者との相性もあります。そのため、成功する人ほど複数の転職エージェントを利用し、その中から相性のいい転職サイトを活用します。

いくつかの転職サイトを利用しなければよい求人を探すことはできないため、必ず3社以上の転職エージェントを並行利用しましょう。

紹介予定派遣という方法も知っておくべき

このとき、3ヵ月や半年など短期での離職となると、次の転職に対してどうしても慎重になってしまいがちです。「次回は絶対に失敗できない」というプレッシャーが、のしかかってしまうのです。

そうしたとき、場合によっては紹介予定派遣という方法を活用しても問題ありません。紹介予定派遣とは、「まずは派遣社員として勤務し、3ヵ月や6ヵ月などの期間を経たあとに正社員として入社する」ようにした求人になります。

つまり、正社員として就職することを前提として最初は派遣として勤務を開始します。このとき、双方の同意がなければ正社員にならなくても問題ないため、断っても大丈夫です。紹介予定派遣を活用すれば、もしダメな職場に入ったとしても派遣期間中だけ我慢すれば問題ないです。

派遣期間が終了した後、正社員になることを断って他の紹介予定派遣の求人へ申し込んだとしても、あなたの経歴に傷が付くことはありません。そのため、次回の転職での失敗を100%の確率で防げます。職場かダメなら派遣期間終了後に正社員へならず、次の紹介予定派遣の求人へ申し込めばいいだけだからです。

紹介予定派遣について知っている薬剤師は少ないですが、世間一般的には広く実施されているやり方になります。そのため、次回の転職に対して慎重になり過ぎてしまっている場合、紹介予定派遣を積極的に活用するようにしましょう。

当然、紹介予定派遣が終わった後の勤務方法としては、正社員に限らず、パート・アルバイトでも問題ありません。派遣のときとまったく同じ勤務条件で雇ってもらうことが可能になると考えてください。

例えば、以下は大阪の調剤薬局から出された紹介予定派遣の求人です。

このように時給も記載されていることから、正社員に限らずパート・アルバイトであっても問題ないことが分かります。もちろん、調剤薬局やドラッグストアに限らず病院の紹介予定派遣も存在します。

注意点として、派遣求人を取り扱っている転職サイトでなければ紹介予定派遣へ応募できません。こうした転職エージェントとしては、主に薬キャリとファルマスタッフという2つの転職サイトがあります。以下のように、希望の勤務形態で紹介予定派遣を選べるようになっているのです。

前述の通り、3ヵ月の試用期間中や半年での転職を考えている薬剤師の場合、3社以上の転職サイトを活用するのは必須です。このとき、「紹介予定派遣の求人まで含めて提案できる転職エージェント」を含めるのをおすすめします。

薬局、病院での短期離職は戦略を練るべき

新卒での就職や中途採用を含め、入社後すぐに辞めたいと考えるのは、当然ながら職場に何かしら問題があるからです。

特に経営者の考え方がダメであり、薬剤師が足りないために違法行為が常態化している職場は最悪です。すぐにそうした薬局や病院からは離れなければいけません。職場環境が悪いのは理由があり、経営者のやり方がダメだからです。これをあなたが改善するのは不可能なため、優れた経営者の元で働かなければいけません。

ただ、すべていまの職場が悪いかというと、必ずしもそうではありません。短期離職する薬剤師であると、「転職するときに希望条件が明確ではなかった」「職場見学を実施していなかった(求人票だけで転職先を決めた)」など、必ず原因があります。

そのため、次回の転職では確実に優れた求人を見つけだせるように対策を練りましょう。希望条件を具体化するのは当然ですし、3社以上の転職サイトを利用するのも必須です。場合によっては、紹介予定派遣まで視野に入れても問題ありません。

こうしたことを理解したうえで転職し、再びやり直すようにしましょう。3ヵ月の試用期間中や半年で転職するのは珍しくないため、今回の退職を機に次回こそは最適の求人を見つける最大限の努力をするといいです。


薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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