これから転職しようと考えるとき、薬剤師が気になるものとして年齢制限があります。薬剤師は転職しやすい職種として知られていますが、何歳までなら受け入れてくれるのでしょうか。

一般的に転職市場では35歳限界説があり、これは「35歳を超えた時点で、よほどのスキルがない限りは転職するのがほぼ不可能になる説」です。そして実際のところ、薬剤師免許などの国家資格を有していない人の場合、35歳を超えると転職市場では価値がなくなります。

これについて、薬剤師では求人の数が少なくなります。資格をもたない人のように求人がゼロになるわけではないものの、簡単に転職できるわけではなくなるのです。

それでは、薬剤師はどのようにして求人を見極めて応募すればいいのでしょうか。ここでは、ある程度の年齢に達している人が考えるべき「何歳まで転職先の会社は受け入れてくれるのか」について解説していきます。

「何歳から転職しようか」では遅い

薬剤師の中には、「転職するのは決めているが、いまの職場であと数年ほど働いてから転職する」「何歳から転職しようか、タイミングを考えている」という人が見受けられます。

このように慎重に考えて、なるべく一つの職場にとどまってスキルを磨くことは重要です。ただ、既に述べた通り転職市場では年齢が高いほど最適な職場へ就職するのが難しくなります。それだけ、受け入れ先の会社が少なくなるからです。

薬剤師の求人募集を出している会社としては、以下の業種がメインになります。

  • 調剤薬局
  • ドラッグストア
  • 病院
  • 企業

これらのうち、病院と企業については特に年齢制限が厳しくなります。もちろん、すべてが完全にダメというわけではなく年齢不問の求人もあるため、適切な求人選びが必要になります。

薬剤師国家試験の受験であれば何歳まででも問題ありませんが、免許を取った後の転職についてはより慎重に考えるようにしましょう。

調剤薬局、ドラッグストアでも年齢不問の求人は少なくなる

年齢がある程度、高めの人の場合は転職に不利になるものの、調剤薬局やドラッグストアであれば薬剤師として受け入れてくれる可能性が高くなります。実際、高齢の人であっても未経験で調剤薬局やドラッグストアに就職することは可能です。

過去に調剤経験のある人なら当然のように転職できますし、たとえ未経験でも受け入れ先の会社が存在するのです。例えば、以下は大阪の調剤併設ドラッグストアから出された求人です。

「新卒・未経験も歓迎」とありますが、40代くらいまでの年齢であれば問題なく応募できます。

なぜ、40代までなのかというと、調剤薬局やドラッグストアであっても年齢不問なわけではないからです。20代や30代、40代であれば問題ありませんが、50代や60代になると年齢制限を設ける薬局が増えるようになるのです。

もちろん、中には年齢不問にしている薬局は存在します。例えば、以下は東京にある調剤薬局ですが、「60歳以上でも問題ない」としています。

さらに65歳以上でも再雇用制度があります。応募のときに60歳以上でも大丈夫なだけでなく、年齢不問で勤務できるようになっているのです。

もちろん、年齢を重ねていると年収や勤務条件は悪くなります。50代や60代などの年齢で転職するとなると、正社員ではなくパート・アルバイトや嘱託、契約社員などを勧められるのが一般的です。

また、求人数がどうしても少なくなることは既に述べましたが、「転職エージェントの中でも非常に求人数の多い会社」で知られる薬キャリを活用し、60歳以上を歓迎してくれる求人を検索したときの結果が以下になります。

このように日本全国で46件であり、非常に少ないことが分かります。さらに、ここから「未経験でも可能」という条件にチェックを加えると、より求人数は減少します。

全国で28件しかヒットしませんでした。調剤経験のある人であっても、年齢が高いと受け入れ先は少なくなるのですが、このように未経験の場合だとさらに求人数は減少することになります。

こうした現状を踏まえて、たとえ広く薬剤師を受け入れてくれる調剤薬局やドラッグストアであっても、年齢不問にしている求人は少ないことが分かります。

急性期の総合病院は年齢制限がある

ただ、薬局ではなく病院薬剤師としての勤務を考える人も多いです。私の知り合いでも、調剤薬局勤務から大病院へ転職した人がいます。

しかし、総合病院の薬剤師をするとなると、必ず年齢制限が存在すると考えてください。年齢不問の急性期病院は存在せず、たとえ求人票に年齢のことが書かれていなかったとしても、「何歳までの薬剤師でなければいけない」という決まりがあるのです。

この理由は単純であり、若い薬剤師の方が体力があるからです。急性期病院だと夜勤があり、仕事も忙しいです。さらには給料が低く、そうした中で頑張れるのは若い人です。また、大病院だと新卒薬剤師が応募してくれるため、わざわざ年齢の高い薬剤師を中途募集で採用するメリットがありません。

そのために年齢制限があるのですが、総合病院へ転職するときの年齢制限は以下がギリギリだと考えるようにしましょう。

  • 病院経験あり:40歳まで
  • 薬局での調剤経験あり:35歳まで
  • 調剤未経験:30歳まで

※より規模の大きい大病院だと、さらに年齢制限が厳しくなります。

例えば、以下は東京にある350床ほどの総合病院です。この病院の場合、40歳を応募できる制限年齢に設定しています。

40歳までとはいっても、「実務経験のある方」とあります。つまり、病院薬剤師の経験のある人が40歳を限界として応募できるようになっているのです。また、この総合病院では病院未経験でも応募できるものの、これについては年齢の若い人だけが対象になります。

もちろん病院ごとに採用の判断基準は異なります。ただ、薬剤師であっても総合病院だと年齢による足切りがあると考えて下さい。

慢性期病院、中小病院だと受け入れは広くなる

しかし、同じ病院でも「急患がそこまで来るわけではない病院」であれば、年齢制限の幅は広くなります。薬局やドラッグストアと同じように、多くの薬剤師を受け入れてくれるのです。

病院薬剤師である以上、急性期病院ほどではありませんが、やはり収入は低めに設定されています。ただ、総合病院のように幅広く学べるというわけではありません。そのため、慢性期病院や精神科病院、整形・リハビリテーション病院、中小病院などであると、新卒薬剤師からの応募が少なくなり、どうしても中途採用に頼ってしまうのです。

例えば、以下は大阪にあるケアミックス病院からの募集です。

求人票にある通り、60歳以上でも応募できる病院です。

ただ、当然ながら慢性期病院や専門病院だからといって年齢不問が多いわけではありません。薬局やドラッグストアと同じように、広く薬剤師からの募集を受け入れてくれるとはいっても、求人数は非常に少なくなります。

企業薬剤師は年齢不問とそうでない場合がある

それに対して、企業で働く薬剤師についてはどうなのでしょうか。企業薬剤師だと、年齢制限のある職種があれば、そうでない場合もあります。

製薬メーカーで働くとき、花形の職種の一つにCRA(臨床開発モニター)があります。薬剤師経験があれば、CRAへ問題なく転職できます。ただ、製薬会社のCRAを目指すには20代など若い年齢である必要があります。遅くても、30代前半でなければいけません。もし、35歳を超えると問答無用で年齢による足切りがあります。

・医薬品卸や物流センターなら問題ない

ただ、いわゆる製薬企業というわけではない職種なら問題ありません。具体的には、物流に関わる薬剤師職であれば、年齢不問にしていることが多いです。

例えば、以下のような求人です。

大阪にある物流センターの求人ですが、このように60歳以上でも可能であり、70歳まで働けると求人票に記されています。そのため、年齢不問の求人となります。

これと同じことは医薬品卸の管理薬剤師にもいえます。医薬品卸では医薬品の配送業務を行いますが、法律で必ず支店(デポ)に薬剤師を配置することが義務付けられています。そのため薬剤師不足に陥りやすく、求人募集で年齢不問としていることが多いのです。

開発職を目指すときは年齢が高いと無理ですが、物流に関わる企業であれば年齢に関わらず求人募集へ応募することができるのです。

・公務員薬剤師は年齢制限あり

なお、薬剤師には公務員も存在します。保健所や県庁、病院で働く地方公務員がいれば、国家公務員として勤務する人もいます。

このとき、公務員だと年齢制限が存在します。国家公務員の場合、30歳未満でなければいけません。地方公務員についても、自治体によって異なりますが30~35歳が制限年齢となっています。

パート・アルバイトだと年齢不問の幅が広い

なお正社員(常勤)であると、たとえ調剤薬局やドラッグストアであってもある程度の年齢制限が存在するようになります。ただ、これがパート・アルバイトであると年齢不問の幅が広くなります。

例えば50代や60代での転職を考える場合、前述の通り数は少なくなるものの、薬局であれば受け入れてくれます。

ただ、年齢が高い状態での転職であると、多くの求人は正社員ではなく「パート・アルバイト」「嘱託」「契約社員」などのような扱いになります。求人へ応募して薬局側から連絡をもらうとき、高齢薬剤師であると「パート・アルバイトから始めてみてはどうか」と打診されるのです。

企業にとってみれば、当然ながら正社員よりもパート・アルバイトの方が使い勝手がいいです。または、契約社員という形であれば、1年ごとの更新になるので薬局側としても雇いやすいです。そのため、正社員・常勤にこだわらないのであればより年齢制限の枠がなくなるようになります。

実際にパート・アルバイトで勤務する場合、未経験なら時給2,000円から、調剤経験者なら時給2,500円から時給交渉してみるといいです。

・病院でも非常勤(パート)での募集は多い

なお、先ほど「40代などある程度の年齢層の人であると、総合病院への転職が非常に難しくなるが、慢性期病院や専門病院(精神科、リハビリなど)であれば問題なく求人がある」と解説しました。

これについて正社員(常勤)だけでなく、パート・アルバイト(非常勤)も同様です。例えば、以下は東京にある脳神経外科病院になります。

非常勤での募集であり、パート薬剤師として時給2,000円からの交渉になります。こうした慢性期病院や専門病院は意外と存在するため、正社員にこだわらないのであればいろんな求人へ応募できるようになります。

なお、これは企業求人も同様です。医薬品卸もパート・アルバイトの求人を出していることは多いため、そうした募集への応募でも問題ない場合は高齢であっても応募できます。

派遣薬剤師だと、年齢は関係あるのか

一方で派遣では何歳まで働くことが可能なのでしょうか。これについては、60歳までであれば問題なく働ける可能性が高いです。

派遣だと、薬剤師専門の派遣会社に登録するようになります。調剤経験のある人が派遣として勤務することになりますが、それまでに薬局での服薬指導の経験がある場合、監査や服薬指導などをメインで行うことになります。

派遣先薬局の棚のどこに薬が置かれているのかを把握していることは当然ありませんし、粉薬や水剤を作るにしても薬局ごとにルールが異なるのでよく分かりません。したがって服薬指導(投薬)がメインになるのですが、そこまで難しい業務を担当するわけではないので問題なく仕事をこなすことができます。

そのため、派遣会社に登録してある程度の高齢になったとしても問題なく仕事を紹介してもらえます。例えば、以下は60歳以上でも応募可能な派遣求人です。

このように時給3,300円からのスタートであり、かなりの高時給を見込めるようになります。

しかし、当然ですが年齢が上昇するほど不利になるのは確実です。どうしても応募できる求人先は少なくなるため、心配な場合は年齢が若いうちに正社員やパート・アルバイトとして特定の求人へ応募し、就職してしまった方が将来は安定することにもつながります。

転職回数が多いと不利になる

なお、調剤薬局やドラッグストア、企業(主に物流会社)であれば年齢不問になり、何歳でも問題なく応募できるとはいっても、当然ながら誰でも無条件で応募を実現できるわけではありません。

このときの条件は「未経験かどうか」ではなく、転職回数になります。それまでの転職回数が多い場合、いくら年齢不問であったとしても求人先の会社から不採用を食らう可能性が高くなります。

「派遣薬剤師として、いくつもの会社を経験している」という理由で会社を転々としているのは問題ありません。ただ、正社員やパート・アルバイトで働いている人が何社も転職していると、「この薬剤師は大丈夫か? 高齢だし、どうせすぐ辞めるのでは?」と思われてしまいます。

年齢が高めの転職であると、調剤経験の有無よりも「一つの会社でどれだけ長く勤め上げたのか」に関する実績の方が重視されるのです。

・転職サイトを利用し、条件の洗い出しをする

そのため、転職エージェントを利用して求人募集を探すとき、転職先ですぐ辞めるようなことが起こらないように、あなたの希望条件を明確に洗い出すようにしましょう。

人によって希望が異なります。例えば、以下のようになります。

  • 定時退社により、プライベートを充実させたい
  • 多少は忙しくてもいいので、年収を高くしたい
  • できるだけ処方せん枚数の少ない薬局へ転職したい

希望条件を明確に整理できれば、どのような職場が適切なのか分かるようになります。転職で失敗する人ほど望む条件が明確でなく、何となく転職先を決定します。そのため、譲れないものや優先順位を事前整理して決めておき、さらには年齢制限を踏まえて転職する求人募集先を検討する必要があります。

年収・給料や勤務年数を考えると、早めの転職が適切

そして重要なのは、「それぞれの転職応募先が設けている年齢制限に到達する前に、早めの転職を済ませてしまう」ことです。いま働いている職場に不満がある場合、早めに良い環境で働ける職場へ転職してしまうのです。

前述の通り、転職市場では年齢が若いほど有利です。総合病院へ転職するにしても、ベテランの30歳より、まだ調剤業務に慣れていない新卒一年目の方が圧倒的に採用されやすいです。

また、50代で転職すると薬局の正社員で働ける可能性でさえも少なくなりますが、40代のうちであれば問題なく正社員での転職を果たせるようになります。誰でも年齢を重ねていくのですが、時間が経過するほど転職では不利になると考えてください。

当然、早めに転職したほうが収入の面でも有利です。例えば、以下の2人の薬剤師がいたとします。

  • 50歳の薬剤師:調剤経験あり
  • 40歳の薬剤師:調剤経験あり

年齢以外は条件がすべて同じです。このとき、高い年収を引き出せるのは確実に40歳の方です。年齢が高くなるほど、良い条件の給料を実現できません。転職後に何年も勤めることを考えると、数年経過したときの年収差は非常に大きくなります。

なお、薬局であれば上昇率は非常に低いものの、経験年数が増えることで多少は給料が上がります。パート・アルバイトであっても、時給2,000円から上昇していくのは普通です。ただ、高齢であるとそうした給料アップの上昇率が当然ながら少なくなります。

将来の収入についても、希望する職場への就職のしやすさについても、早めに転職を検討する方が圧倒的に有利であることを認識しなければいけません。

応募可能な年齢を考え、早めに転職を果たす

薬剤師として求人募集へ応募するとき、何歳までなら問題なく転職できるのかについて解説してきました。

資格をもたない人であると、35歳が転職できるラインとなります。一方で薬剤師免許のある人だと、たとえ調剤未経験であっても基本的に何歳でも転職できるようになります。

しかし、年齢不問としている求人は少ないです。その他の総合病院や製薬会社(CRAなど)では年齢制限があり、誰でも受け入れてくれるわけではないのです。たとえ薬局であっても、年齢が高くなるほど受け入れ先の求人数はかなり狭まります。

確かに薬剤師であれば、薬局だと年齢不問であるケースがあります。ただ、全体の求人数が少なくなって転職時の条件が悪くなることを考えると、早めに転職を果たすのが適切だといえます。

どのような求人が適切なのかについては、転職エージェントの担当者に対してじっくり相談するようにしましょう。転職希望の職場が設定している年齢制限が来る前に、転職してしまうことが後悔しないコツとなります。


薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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