特に女性薬剤師であれば、美容関係の仕事に就きたいと考える人は多いです。薬剤師として一般的な調剤薬局やドラッグストア、病院で普通に働くのではなく、美容に関わる仕事を行うのです。

このとき、最も分かりやすいものとして美容クリニック(美容外科)や美容皮膚科などがあります。クリニック薬剤師の求人へ応募し、転職して働くことにするのです。

ただ美容関係の薬剤師であると、それまで経験したことがなければどのような仕事内容になるのか分かりません。また、年収に限らず「そもそも美容外科クリニックの薬剤師募集が存在するのか」という疑問もあります。

そこで、薬剤師が美容外科など美容関係の職業へ転職することを考えたとき、どのように行動すればいいのかについて確認していきます。

美容関係の業務内容は漢方薬がメインになる

美容といってもその範囲は広いです。美容には脱毛サロンが含まれますし、整形手術を行うクリニックも美容関係になります。この中では、当然ながら脱毛サロンで薬剤師が仕事をすることはありません。そうではなく、美容クリニックや美容皮膚科などでの仕事になります。

このとき、美容関係だと多くの人は化粧品・コスメ、アロマなどの指導を患者さんに行うようになると考えがちです。実際、美容外科だと以下のように記されているので、どうしてもそのように考えてしまうのです。

しかし、実際はまったく異なります。こうした美容関係の薬剤師の場合、業務内容はほぼ漢方薬になると考えてください。化粧品ではなく、皮膚科領域の塗り薬でもなく、漢方薬なのです。

なぜ、漢方薬なのでしょうか。それは、単純に美容外科クリニックなどで必要とされる医薬品が漢方薬だからです。

例えばダイエット目的で美容外科を訪れる患者さんについては、漢方薬による指導をするのが一般的です。防風通聖散を含め、漢方指導をすることで患者さんがやせるように支援するのです。

同様に美容皮膚科でニキビに悩んでいる女性であれば、同じように漢方薬による提案を行います。

婦人科領域に関する提案も広く行います。こうした美容外科クリニックを受診する人は若い人から高齢者まで幅広いです。特に漢方薬は婦人科領域に強いですが、生理不順からアンチエイジングまで広く漢方薬による指導をするのです。

また、美容クリニックは女性に限らず、男性が育毛目的で訪れることもあります。そうしたとき、毛髪治療ではプロペシアなどの医薬品だけでなく、漢方薬による治療をするのが一般的な美容クリニックです。

・自由診療なので適応外処方を学ぶこともある

ちなみに、美容関係であると西洋医薬品について適応外処方をすることがたくさんあります。本来の使い方とは異なりますが、自費治療によって処方された薬を調剤し、患者さんに服薬指導することがあるのです。

こうした薬を一覧にすると、例えば以下のような薬があります。

医薬品名 薬の機能 使用目的
ゼチーア 脂質吸収の抑制 ダイエット
ゼニカル 脂質吸収の抑制 ダイエット
スーグラ 糖排出の促進 ダイエット
グラッシュビスタ 元々は緑内障の治療薬 まつ毛の育毛
シナール ビタミンC シミ予防
トランサミン メラニン生成の防止 肝斑防止

このように、本来とは別の目的で薬を美容利用することがあります。

美容目的で利用する薬の種類は非常に少ないため、すぐに覚えることができます。ただ、美容薬剤師であるとこうした特殊な薬の活用法を理解する必要があります。

美容外科クリニックの求人募集はあるのか

なお、気になるものとして「美容外科クリニックから出される薬剤師の求人は存在するのか」ということがあります。

これについては、問題なく存在します。例えば、以下は東京都渋谷区にある美容クリニックの求人になります。

「美容クリニックの経営」とあることから、美容外科クリニック・美容皮膚科での求人であることが分かります。また、この求人票では「漢方の仕事に特化した薬剤師の募集」とありますが、これは美容クリニックでの仕事が漢方メインになるからです。

関東(東京、神奈川・横浜、埼玉、千葉)、関西(大阪、京都、兵庫・神戸)、名古屋、福岡などの大都市部に限らず、地方にも多くの美容クリニックが存在します。そのため、こうした地域で美容薬剤師として活躍することは可能なのです。そのため、広島や仙台などの中核都市に限らずさらに地方であっても美容クリニックの求人が存在します。

・美容外科の求人は非常に少ない

ただ、美容外科は非常に稀な求人になります。もちろん募集自体は出されることがあるものの、薬局やドラッグストア、病院のようにいくつも求人が出されているわけではないのです。

例えば、以下は美容クリニック・美容皮膚科で有名な湘南美容外科の公式サイトに掲載されている募集職種です。

ここには医師や看護師の職業はあるものの、薬剤師については記載されていません。つまり、湘南美容外科のような大手の美容外科クリニックであっても、正式には薬剤師を募集していないのです。

ただ、当然ながら薬剤師の募集がまったくないわけではありません。転職サイトを通せば、問題なく薬剤師の求人募集を発見できるようになります。

例えば、以下は先ほどの湘南美容外科クリニックが経営する病院(湘南メディカル記念病院)での募集です。

転職エージェントに掲載されている求人募集であり、このように公式サイトに掲載されていない案件であっても取り扱っているのです。そのため、美容系の薬剤師を目指すとき、薬剤師専門の転職サイトを利用することは必須です。

しかし、問題なのは転職エージェントであったとしても美容クリニック・美容皮膚科の求人が圧倒的に少ないことです。そのため3社以上の登録は必須ですし、特別な理由がない限りは5社ほどの転職サイトを活用するのが一般的です。それだけ求人募集が少ないからです。

これは、新卒入社を考えている薬剤師も同様です。中途採用に限らず、新卒であっても転職サイトを利用したうえで就職活動をしなければ目的の美容クリニックで働くことはできません。

ちなみに、美容外科クリニックでは調剤未経験でも問題なく転職できます。これが、たとえ新卒であっても転職エージェントを利用して就職できる理由になっています。

・美容関係で働きたいことを伝える

美容系の薬剤師求人は非常に少ないことから、実際に転職サイトを活用するときは「美容関係で働きたい」ことについてアピールする必要があります。

転職エージェントによっては、コメントを残せるようになっていることがあります。こうしたとき、「美容関係で転職したい」と記載するようにしましょう。

そうして依頼することにより、表には出ていない非公開求人を探してくれるようになります。

美容クリニックで働く薬剤師の年収・給料の相場

それでは、実際に美容クリニックへ新卒入社したり、中途採用で転職したりしたときの年収はどのようになるのでしょうか。これについては、調剤薬局やドラッグストアと同程度の給料になると考えてください。

東京や大阪、名古屋、福岡を含め、こうした都市部の薬剤師であると調剤未経験なら年収450~500万円が一般的です。調剤経験がある場合の給料はもっと高くなりますが、これが一般的な収入だと考えてください。

これと同程度の年収を美容クリニックの薬剤師は実現できます。例えば、以下は先ほど「東京都渋谷区で漢方に特化した薬剤師」で求人募集を出していた美容クリニックの求人です。

このように、年収480万円からのスタートになっています。ここから、働き始めの収入は薬局薬剤師とほとんど変わらないことが分かります。

また、以下は先ほどの湘南美容外科の病院(湘南メディカル記念病院)で出されていた求人の一部です。

ここでも年収500万円からのスタートであり、中小の薬局薬剤師とあまり変わらないことが分かります。

・美容クリニックの薬剤師は実績に応じて収入が上がる

なお、美容クリニックと薬局薬剤師を比べたとき、大きく異なるものがあります。それは、収入が上がるかどうかという点です。

薬局の場合、給料が上がることはほとんどありません。一律の年収となります。一方で美容クリニック・美容皮膚科は自由診療です。自由診療なので患者さんが支払う金額に上限はなく、適切に指導をしてお客さんが満足してくれれば、その分だけお客さんは多くのお金を支払います。その結果、会社の売上に貢献できます。

そうして会社に貢献すればするほど、年収が上がるようになります。薬局と違って頑張りに応じて給料が変わることが美容外科クリニックで働く薬剤師の特徴です。

美容系の資格は不要

なお、薬剤師が転職することを考えたとき、美容関係の資格を取得することを考える人は多いです。こうしたとき、例えば以下のような資格が存在します。

  • ビューティーケアアドバイザー
  • メディカルアロマセラピスト

美容系の資格をもっていれば、こうした美容クリニックへの転職が有利になると考えるかもしれません。しかし、実際にはほとんど無関係です。美容系の資格どころか、たとえ調剤経験がなかったとしても美容外科クリニックへ転職することは可能なのです。薬剤師資格さえあれば問題ありません。

それよりも問題になるのはあなたの年齢です。転職市場では年齢が高くなるほど価値が落ち、中途での採用を受け入れてもらえなくなります。そのため先に美容系の資格の取得を急いでしまうと、その分だけ年齢が上がってしまい、転職するときに大幅に不利になります。

また、こうした資格が必要になるかどうかは転職した後に判断すれば問題ありません。実際のところ、多くの美容外科クリニックで美容系の資格は必要とされていませんが、必要だと判断すればそのとき勉強して資格を取ればいいです。

美容関係の調剤薬局への転職も可能

また、美容関係での転職を考えるとき、多くの人はこのように美容クリニック・美容皮膚科の中途採用に応募することを考えます。しかし非常に求人数が少ないことから、調剤薬局やドラッグストアについても視野を広げて求人を探してみるのもいいです。

例えば、美容外科クリニックからの処方せんをメインで受ける薬局へ勤務するのです。これであれば、美容外科・美容皮膚科からの調剤を行えるようになります。例えば、以下は福岡で出されている美容皮膚科メインの調剤薬局です。

美容クリニックに雇用されているのか、薬局勤務なのかという違いはあるものの、当然ながら業務内容はまったく同じです。漢方薬をメインにして薬を調剤し、自費治療の患者さんへ服薬指導を行うようにするのです。

また、美容クリニックの前にある薬局であると漢方薬メインになることから、漢方茶やハーブを提供するなどいわゆる漢方薬局となります。そのため自費治療の中でどれだけ患者さんと仲良くして、店に通ってもらえるかが重要になります。

美容外科の薬剤師でも、こうした美容クリニックの隣にある漢方薬局でも、行う業務自体は変わりません。むしろ、薬局の方が薬剤師主体になり、好きなように患者さんへ提案できます。そのため美容系の薬剤師を考えている場合、美容外科にこだわらずこうした調剤薬局についても検討しましょう。

・パート・アルバイトや派遣でも転職可能

また、美容外科クリニックへの求人へ応募する場合だと正社員しか受け付けてくれません。パート・アルバイトや派遣での就職は無理です。また、年齢制限があるので若い人でなければ転職できないという問題点もあります。

一方で薬局であれば、そうした縛りなしに転職できます。特に、パート・アルバイトや派遣としてさまざまな働き方を選べるのは優れています。

調剤薬局やドラッグストアを含め、薬局であればパートや派遣として活躍することも可能になります。

・自己裁量によって会社に貢献できる

こうした薬局で働く場合、美容クリニック側は自由診療なのであなたの頑張りしだいでいくらでも薬局の売上に貢献できるようになります。

一般的な調剤薬局や調剤併設ドラッグストアの場合、隣にある医療機関に依存するため、薬剤師がどれだけ頑張ったとしても売上が伸びることは少ないです。処方せんを何枚か自分の力で取ってくることは可能かもしれませんが、それでも限られます。

一方でこうした薬局であれば、自由診療なので患者さんはいつでも好きなときに薬局へ訪れます。当然、美容クリニック・美容皮膚科に通うときに限らず、漢方薬やハーブの相談をするために薬局だけに訪れるのは普通なのです。

処方せんに依存しているわけではないため、より患者さんと対等な立場で相談に乗ることができます。そのため、あなたの頑張りしだいではいくらでも薬局の売上に貢献できるようになります。そのためこうした薬局についても、一般的な調剤薬局のように収入が変わらないわけではなく、努力次第で年収を大幅に上昇させられるようになります。

・新薬情報は入ってこなくなる

ただ、一般的な薬剤師とは異なる点としては、新薬情報が入ってこなくなることがあげられます。

美容関係の薬剤師であったとしても、問題なく調剤を行い、患者さんへ服薬指導を実施します。しかも、普通の薬局よりも患者さんと深く対話し、あなたの判断で適切な漢方薬を勧めることもあるため、より患者さんに寄り添うことになります。

しかし、当然ながら新薬を取り扱うわけではありません。新しい薬というよりも、古くから活用されている薬をメインで利用することになるため、これについては当然だといえます。

多くの薬剤師は漢方薬について詳しくありません。そういう意味では、漢方やハーブ、アロマを含めて学べるこうした薬局は優れています。その反面、新薬情報が途絶えるのはデメリットだといえます。

美容部員としてOTCドラッグストアで働く

また、漢方薬とは離れてしまいますが、いわゆる化粧品・コスメに関するものの販売を行いたいのであれば、OTCドラッグストアの薬剤師として勤務するという方法もあります。

例えば、以下は東京にあるドラッグストアの求人です。

化粧品を中心とした美容部門にも力を入れているドラッグストアであり、こうした店舗であれば美容部員の薬剤師として活躍できます。

美容部員であると、ある程度のノルマを課せられるようになることが多いです。ただ、そうしたノルマを達成すれば年収へ反映されるようになります。

美容クリニックや調剤薬局とは仕事内容が大きく変わるようになります。ただ、「美容関係」という言葉から化粧品を想像する人の場合、こうした美容部員として働ける職場を含めて健闘してみてください。

・OTCドラッグストアだと調剤スキルは落ちる

なお、当然ながらOTCドラッグストアであると調剤を行うわけではありません。一般的な化粧品を販売することになります。そのため、調剤スキルはどうしても落ちてしまいます。

ただ、ドラッグストアはOTCドラッグストアだけでなく、調剤併設ドラッグストアも運営している会社が多いです。そうしたとき、調剤技術の低下が心配なのであれば美容部員として活躍しながらも、調剤スキルを落とさないように、調剤併設ドラッグストアで「美容部員&調剤要員」で働けないか相談してみるようにしましょう。

美容関係の薬剤師で活躍する方法を理解する

どのようにして美容関係の薬剤師として転職すればいいのかについて解説してきました。美容関係というと、化粧品やコスメなどを思い浮かべてしまいます。ただ、美容クリニックで働く薬剤師の取扱内容は何かというと、ほぼ漢方薬になります。

西洋薬や化粧品を取り扱うことはあるかもしれませんが、そっちよりも漢方メインの取り扱いになると考えてください。

また、同時に美容外科クリニックの求人だけでなく、美容クリニックの前にある調剤薬局で働くことも検討してみましょう。仕事内容はほぼ同じであり、むしろクリニックの社員という立場ではなく、薬局薬剤師としてより自分の力を存分に発揮しやすくなります。

さらには、漢方薬とは離れますがOTCドラッグストアの美容部員という働き方も可能です。美容系の求人とはいっても、このように種類があります。

ただ、どれも共通していることとして求人募集の数が非常に少ないことがあります。この事実を理解し、転職サイトを活用したうえで美容関係の職場へ転職するようにしましょう。


薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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