病院で働く薬剤師の中には、非常勤で勤務したり派遣で働いたりする人もいます。常に病院で働く人としては、常勤の薬剤師があります。ただ、こうした常勤ではなく非常勤や派遣として勤務することを考えるのです。

調剤薬局やドラッグストアで勤務するとき、パート・アルバイトや派遣として働く人は多いです。これと同じように、病院薬剤師でも非常勤・派遣の勤務は普通だと考えましょう。

ただ、常勤として働くわけではないのでどのように病院の求人を見つければいいのか分かりません。人によっては、雇用形態の違いについて理解していない人もいます。

そこで、病院の薬剤師として非常勤や派遣で中途採用されるとき、どのように求人を確認すればいいのかについてみていきます。

薬剤師での常勤と非常勤の違いは?派遣はどう?

病院には常勤と非常勤という働き方があります。このとき、基本的には「常勤=正社員」「非常勤=パート・アルバイト」と考えて問題ありません。

常勤薬剤師の場合、勤務先で所定の時間を労働するようになります。所定の時間とは、週40時間(1日8時間 × 5日)のことです。ただ、実際のところ病院薬剤師はサービス残業が常態化しているため、常勤で決められた時間を働くとはいっても、それよりも長時間勤務するようになると考えましょう。

一方で非常勤の場合、パート薬剤師になるので月収ではなく時給計算になります。時給2,000円などで病院勤務するのです。当然、必ずしもフルタイムで働く必要はありません。働く曜日を限定したり、週3日で働いたりしても大丈夫です。

非常勤ならパート・アルバイトなどでダブルワークをしても何も文句を言われませんし、時短勤務を希望することも可能です。夜勤なしを申し出るのも問題ありません。常勤に比べて、自分の希望する働き方を実現できるのが非常勤なのです。

これが派遣になると、一定期間だけ病院で勤務するようになります。非常勤で勤務するときと同じように、フルタイムでも勤務する日にちや時間を限定させても問題ありません。1ヵ月などの短期や半年ほどの長期までさまざまな期間の求人があるため、そのときに合わせて最適な勤務先を選ぶことができます。

病院薬剤師を考える場合、こうした非常勤や派遣での勤務を考えても問題ありません。常勤に比べて、非常に柔軟な勤務を実現できます。

非常勤薬剤師の年収・時給はどうなるのか

パート・アルバイトと同じであるため、非常勤薬剤師はすべて時給計算です。そのため、年収について考える意味はありません。勤務形態によって月の給料の額が大幅に変わってくるからです。

このとき、どれくらいの時給になるのかというと調剤薬局やドラッグストアで働くときと変わりません。時給2,000円以上が基本です。一般的に常勤の病院薬剤師は非常に年収が低いものの、非常勤での時給については薬局薬剤師と同程度からスタートになると考えましょう。

例えば、以下は東京にある病院から出された非常勤の中途採用募集です。

このように、時給2,000円以上になっていることが分かります。どれだけ大病院でも時給2,000円からが基本です。これよりも低い時給の場合、そうした病院の求人には申し込まないようにしましょう。

参考までに、急性期の総合病院で働く場合は年収350万円未満になるのは普通です。この場合、仮に年収350万円だとすると、時給換算で約1,800円になります。

  • 時給1,800円 × 1日8時間 × 月20日勤務 × 12ヵ月 = 約350万円

そのため、実はボーナスを含めても「常勤で働くよりも非常勤の方が収入面で優遇されている」といえます。しかも、常勤だとサービス残業が非常に長いので実際の時給はもっと少なくなります。給料のことだけを考えるのであれば、実はパートの方がいいです。

常勤(正社員)よりも、非常勤(パート・アルバイト)の方が良い待遇になるのは矛盾しているように思います。ただ、病院はそういうところだと考えるようにしましょう。

なお、大きな病院では非常勤でもフルタイムで働き、常勤薬剤師と同じようにサービス残業が普通になっていることもあります。これについては、その病院がどのようなスタンスなのか事前に確認する必要があります。

しかし病院で働く薬剤師には、勉強できるというメリットがあります。たとえ給料が安い状況でもスキルアップを考えて働く人が多いため、病院薬剤師の場合は一概に「サービス残業が多いからダメな職場」とはいえません。

派遣の給料は高く、優れた収入となる

一方の派遣薬剤師で勤務する場合、非常に高時給となります。時給2,500円以上が当然となり、たとえ大病院であっても時給3,000円以上になることも珍しくありません。

時給3,000円だと、年収600万円に相当します。同じ病院で20年以上も勤めている人より高い時給で勤務できるようになるのです。病院薬剤師というと、低い給与で我慢しなければいけないイメージがあります。ただ、派遣の場合はまったく違っており、病院薬剤師だが高年収になります。

例えば、以下は大阪の急性期病院から出された派遣求人になります。

時給2,700円であり、派遣薬剤師であるにも関わらず問題なく高い収入になることが分かります。参考までに、この病院で週5日のフルタイム勤務するときの月の給与額は以下のようになります。

  • 時給2,700円 × 1日7時間 × 月20日勤務 = 約37万8,000円

派遣の場合、サービス残業はありません。残業なしでこれだけの給料を実現できるため、派遣勤務するのは収入面だけを考えると優れているといえます。

大学病院、都立病院・県立病院でも求人がある

なお、民間病院であれば当然のように非常勤の募集が出されることが分かります。これは、大学病院や都立病院・県立病院などの公立病院でも同様です。いろんな病院からパート・アルバイトの募集が出されると考えましょう。

例えば、以下は東京にある公立病院の薬剤師(非常勤)の中途採用募集です。

このように、問題なく求人が出されていることが分かります。

常勤(正社員)として転職することを考えるとき、公立病院では転職することが困難なことが多いです。ただ、パート・アルバイトであれば民間病院に限らず転職しやすくなっています。

新卒・未経験でもパート・アルバイトは可能

なお、このときは既に調剤経験のある人だけが勤務できるわけではありません。過去に調剤経験のない新卒や未経験の薬剤師であっても問題なく病院の非常勤として働けるようになります。

病院としては、慢性期病院や専門病院の方が求人数は多くなります。こうした病院であれば、そこまで人気ではありません。そのため調剤薬局やドラッグストアと同じように、新卒・未経験でも非常勤として薬剤師を受け入れてくれます。

ただ、総合病院であっても未経験の薬剤師をパートで受け入れてくれることがあります。例えば、横浜(神奈川)にある総合病院から出されたパート・アルバイトの求人であり、病院未経験者であっても受け入れてくれます。

このように、総合病院であっても受け入れてくれます。そのため、専門病院や慢性期病院、ケアミックスを含めてあらゆる薬剤師で非常勤勤務が可能なことが分かります。

派遣だと、基本は産休代替になる

一方で派遣の場合はどうかというと、本来であれば病院・クリニックでは派遣業務をすることができません。これは、労働者派遣法に明記されています。

※出典:厚生労働省

ただ、先ほど示したように問題なく派遣求人が出されています。これには、例外規定が設けられているからです。具体的には、以下の場合は派遣勤務できます。

  • 紹介予定派遣
  • 産休代替の派遣

紹介予定派遣とは、正社員になることを前提とした求人になります。双方が同意した場合のみ正式入社となるので、派遣期間の契約切れと同時に必ず就職しなければいけないわけではありません。そのため、お試し入社したい人に適しています。

そしてもう一つが産休代替での派遣です。薬剤師は女性が多いため、産休のために薬剤師が一気に抜けることがあります。そうしたとき、病院から派遣求人が出されるようになります。

例えば、以下は私が実際に産休代替の派遣求人に申し込み、大学病院で勤務してみたときに派遣会社(転職サイト)から送られてきたメールです。

このときは時給3,000円と非常に高額な時給で働くことになりました。調剤経験が1年以上あれば誰でも働ける求人であり、仕事内容のメインは調剤業務でした。ちなみに、希望すれば化学療法の調剤なども可能な求人です。

非常勤ではフルタイム以外の勤務方法を考える

なお、病院薬剤師として非常勤で勤務するのであれば、パート・アルバイトと同じなので自由に病院で働けるようになります。

このとき、最も分かりやすいのは常勤と同じようにフルタイムで働くことです。ただ、必ずしもフルタイム勤務する必要はないため、どのような働き方を実現したいのか考えたうえで病院求人の募集へ申し込むようにしましょう。

例えば、以下は千葉にある病院での「午前だけパート募集」です。

9:00~13:00まで働くことになりますが、パート・アルバイトなのでこのように勤務時間を絞るのは普通です。

また、週3回などで働くことも可能です。例えば、以下は京都の病院から出された週3日からの病院パート求人です。

パート・アルバイトに限らず、派遣でも勤務時間や日数を限定させることが可能です。そのため、フルタイム以外にどのような勤務方法を実現したいのか考えておくようにしましょう。

非常勤ではダブルワークでのバイト先も考えておく

さらには、特に非常勤だと派遣によるダブルワークをどこでするのかも含めて検討しておくことが重要です。

病院薬剤師の場合、常勤でも非常勤でもほとんどの人が勤務時間外にダブルワークをしています。これが非常勤になると、かなりの休みの日のアルバイトが当然になります。やはり、非常勤で働くにしても給料が低くなりがちだからです。

先に述べた通り、調剤薬局やドラッグストア、病院と最初はどこも時給2,000円からスタートします。ただ、薬局であれば勤務が長くなるにつれて時給アップが可能です。時給2,500円は普通であり、時給3,000円を達成するのも珍しくありません。

一方で病院薬剤師の場合、経験を積んだとしても時給2,000円から上がることは少ないです。そもそも常勤薬剤師よりも時給が高い状態で勤務することもあるため、薬局のように高時給になることがないのです。

そこで、休みの日には他の薬局や病院でアルバイトまたは派遣をするといいです。特に派遣であれば効率よく稼げるため、病院で非常勤を続けながらも薬剤師として活躍できるようになります。

表立っては言わなくても、ほとんどの病院薬剤師がダブルワークをしています。病院薬剤師で非常勤をする場合、派遣を含めて副業まで検討しておくといいです。

病院のパート・アルバイトや派遣募集は転職サイトで探す

なお、こうした非常勤や派遣の求人がどこの病院で出されているのかについて、自ら調べるのは現実的ではありません。やはり誰もが知っている総合病院となると、求人の数自体が非常に少なくなります。慢性期病院や専門病院では求人数が多くなるとはいっても、どこの病院に非常勤の求人があるのか分かりません。

また派遣の場合、派遣会社(転職サイト)に登録しなければ働くことすらできません。派遣というのは、転職エージェントに登録することでようやく実現できるのです。

こうしたことがあるため、非常勤や派遣で病院薬剤師を目指す場合は必ず転職サイトへ登録するようにしましょう。2~3社以上の転職エージェントを活用し、求人を見比べながら募集を比較し、あなたの希望に合う求人を探すのです。

当然、どのような病院で非常勤や派遣をしたいのか明確にしておく必要があります。

  • 病院の規模はどれくらいがいいのか
  • 勤務時間や勤務日数はどうか
  • 総合病院がいいか、それとも専門病院やケアミックスか
  • 非常勤か、それとも派遣か
  • ダブルワークはどうするのか

こうした勤務条件をザックリとでもいいので考えておけば、実際に転職サイトへ登録したときに最適な求人を紹介してもらえるようになります。そのため、病院の形態についても事前に理解しておくようにしましょう。

病院でパート・アルバイトや派遣を行う

病院であれば、常勤(正社員)に限らず非常勤(パート・アルバイト)という働き方もあります。また、産休代替の派遣もできます。

非常勤や派遣であれば、働く方法はフルタイムに限りません。時間や曜日を限定するなど、好きなように働くことができます。もちろん、病院薬剤師として勉強しながら業務に当たれます。

実際のところ、病院薬剤師の中で非常勤の人の割合は高いです。全員が常勤であることはほぼありません。薬局でも「正社員よりもパート薬剤師の割合が高い」ことはよくあります。病院でも常勤だけで業務を回すことは難しく、非常勤や派遣が活躍しているのです。

転職サイトを利用すれば、こうした病院薬剤師のパート・アルバイトや派遣の求人を見つけることができます。あなたに合う求人を見つけ、最適な募集へ応募するようにしましょう。


薬剤師転職で失敗しないために必要な理想の求人・転職先の探し方とは!

薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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派遣薬剤師は給料が正社員よりも高く、時給3,000円以上も普通です。さらには3ヵ月や半年だけでなく、1日などスポット派遣も可能です。「自由に働きたい」「多くの職場を経験したい」「今月、もう少し稼ぎたい」などのときにお勧めです。

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