一般的な薬剤師であると週5日働くことで、特に長期間休むことなく仕事を続けるのが一般的です。ただ、中にはそうした薬剤師ではなく長期休暇を望む人もいます。
例えば、海外旅行へ年に数回行きたいので長い休みを取得したい人は意外と多いです。また、子供が小学生で夏休みに入る期間だけ、長期休暇を取得したいと考えるママ薬剤師もいます。
こうしたとき、薬剤師が転職することで長い休みを実現することは可能なのでしょうか。
これについては、職場を変えたり派遣薬剤師をしたりすることで実現できます。ここでは、どのようにして薬剤師が長期休暇を実現すればいいのかについて詳しく解説していきます。
もくじ
長期休暇は人生経験を豊かにする
私も薬剤師資格を保有していますが、どちらかというと現在はフルタイムで勤務する薬剤師という感じではなく、かなり変則的な働き方をしています。そのため、わりと自由に休みを取得して海外旅行へ行くなど、好きなように仕事をしています。
実際のところ、日本にいて薬剤師として調剤ばかりしてもいいですが、それだけでは人生はつまらないです。そうではなく、独自の経験をしなければいけません。
例えば私の場合、海外旅行が好きです。以下はフィリピンのスラム街に立ち寄ったときの写真です。
また、以下はスラム街のど真ん中なのですが、子供たちがゲームをしている様子になります。
スラムというと、荒涼としたイメージを思い浮かべるかもしれません。ただ、実際は違います。そこには食品店が立ち並び、道行く人は携帯電話をもっており、場合によってはこのようなゲームを楽しむ場所もあります。
要は、一大ビジネス街なわけです。ただ、こうした光景は長期休暇を取得して自分の目で見なければ分かりません。これら現実の世界を知るのは、ツアーではなく長い休みを取得して自ら足を運ぶしかないのです。
子供のために夏休みをとる女性薬剤師も多い
また、長期休暇を取りたいと考える理由は薬剤師によって異なります。特に子供のいる女性薬剤師であれば、子供が夏休みのタイミングで自分も長期休暇を取り、子供と一緒に過ごすことを考える人は多いです。
ずっと仕事に出ている場合だと、子供の面倒を見ることはできません。ただ、同じように長期休暇を取得して長い休みを作れば、子供と一緒にイベントへ参加することで新たな経験を積ませることができます。
必ずしも、自分が長期の海外旅行を楽しむために夏休みを取る必要はありません。子供へ優れた体験をさせるためにも、親子参加できるイベントへ出かけることにより、自分の子供を人間的に成長させるように仕向けることができるのです。
そのためママ薬剤師についても、長期休暇を望む人は多いです。
正社員やパートで夏休みをとれる薬局はあるのか
ただ、このとき気になるのが「正社員やパート薬剤師として働くことを考えるとき、夏休みなどの長期休暇を取得できる薬局は存在するのか」という疑問です。
薬剤師の勤務先の中でも、病院と企業についてはどう頑張っても長期休暇は無理です。海外旅行を含め、基本は諦めなければいけません。盆と正月以外、4日間の休みを作ることすらも厳しいです。
一方で調剤薬局やドラッグストアであれば、たとえ正社員やパート・アルバイトであったとしても問題なく長期休暇を取得できる職場が存在します。例えば、以下は東京にある調剤薬局から出された正社員の求人募集です。
このように、夏休みは9日となります。目の前のクリニックが閉まる場合、薬局も閉局することになります。その日数が9日のため、お盆の時期に9日の長期休暇が可能になるのです。
お盆休みとはいっても、数日しか休みを取れないケースは多いです。そうしたとき、長期休暇で夏休みを取得できる薬局だと便利です。病院や企業だと難しいですが、調剤薬局やドラッグストアによっては長めの夏休みが可能になるのです。
おすすめは自由に休みを取れる職場
ただ、先ほどの薬局では夏休みの時期が決まっています。さらに、長期休暇はお盆だけです。しかし、それでは自由度が少ないです。
知っている通り、お盆の時期は非常に混みます。新幹線はどこも混雑しますし、飛行機は「ぼったくりなのでは」というほど値段が高騰します。
例えば、以下はお盆の時期に「東京-バンコク」で検索したときの最安値です。
このように、往復で5万円以上となります。ただ、日程を一週間ほどズラすだけで値段は急激に安くなります。
例えば、同じように「東京-バンコク」で一週間ほどズラして検索すると以下のように3万円以下となります。
飛行機代やホテル代を含め、繁忙期だとあらゆるものの値段が高くなってぼったくられるようになります。そのため、同じように長期休暇を取得するにしても、自由に休める日程を選べる薬局をおすすめします。
例えば、以下は大阪の調剤併設ドラッグストアから出された求人募集になります。
長期休暇を取得しても問題ない求人であり、最大20日の連続した休みを認めています。20日の連続でもいいし、「10日 + 10日」の年2回でも問題ありません。好きなタイミングで自由に休みを取れる薬局になっています。
本当に休みを取れるのか職場見学で聞くべき
ただ、実際にこうした夏休みを取得できる薬局への転職を考えるとき、必ず確認すべきことがあります。それは、「実際のところはどうなのか聞く」ことです。
実際のところ、いくら有給消化率100%と求人票に書いてあったとしても、ウソであることはよくあります。そのため、求人票だけで転職先の職場を決めてしまうと確実に失敗してしまいます。
そこで、転職するときは必ず職場見学を実施するようにしましょう。薬局の面接を本社で受けた後、必ず実際に働く薬局へ出向くようにするのです。そうすれば、薬局の現場を含めいろんな実態が分かるようになります。
特に長期休暇について気にするのであれば、現場の薬剤師に対して「長期休暇は実際のところ取得できますか?」「どのように休暇を他の薬剤師は利用していますか?」のように聞き、率直な意見を述べてもらうようにするのです。
夏休みがある薬局を検討しているのであれば、職場見学は必須です。これを行わない限り、実態が分からないので職場選びに失敗します。そうならないためにも、現場の声を聞くことで問題なく長期の休みを確保できるかどうか確認するようにしましょう。
派遣薬剤師なら3ヵ月や半年以上の休みも可能
ただ、長期休暇とはいっても1週間や10日などの休みではなく、1ヵ月や3ヵ月、さらに長い場合は半年などの休みを取りたいと考える人もいます。
こうした人では、非常に長い海外旅行をしたいと考えている薬剤師が多いです。実際、私も1ヵ月ほど海外で生活することがあるため、その気持ちは非常にわかります。物価の安いアジアでは月5万円ほどあれば生活できるため、意外とお金を使わずに過ごすことができます。
また、長期の海外旅行ではなかったとしても、子供と一緒に夏休みを過ごすことを考えているママ薬剤師であれば、1ヵ月ほどは休みが欲しいです。
しかし、さすがに正社員やパート・アルバイトで1ヵ月以上の休みを取るのは不可能です。そうしたとき、派遣薬剤師という選択を考えるようにしましょう。派遣薬剤師であれば、契約期間の間だけ働くようになります。そのため、契約が切れた後は自由に過ごせるようになります。
契約期間は1ヵ月などの短期があれば、半年など長期契約の求人もあります。
・時給の高い派遣薬剤師
また、なぜ多くの薬剤師が派遣を選択するのかというと、それは勤務時間や日数を好きなように選べるからという理由だけではありません。時給が非常に高いという理由があるのです。
東京や大阪などの都市部であったとしても、派遣だと時給3,000円以上が普通です。そのため、非常に効率よく稼ぐことができます。
例えば、以下は大阪にある調剤薬局から出された派遣求人になります。
このように、時給3,200円です。薬局の開局時間は9:00~20:00であるため、休憩1時間だとすると1日10時間勤務です。
もし、週4日(月16日)で働く場合は収入が以下のようになります。
- 時給3,200円 × 1日10時間 × 月16日勤務 = 51万2,000円
このように、週4日の勤務にも関わらず月の給料は50万円以上です。派遣薬剤師をするだけで年収600万円が可能であり、正社員で働くよりも高年収を実現できるのが派遣薬剤師になります。
本気で稼ぐ人は地方求人へ出稼ぎに行く
また、子供のいるママ薬剤師では無理ですが、長期の海外旅行へ行くために集中して派遣薬剤師で稼ぐことを考えている人の場合、東京や大阪、名古屋、福岡、横浜などの都市部で派遣薬剤師をすることはありません。ほぼ全員、地方の薬局で派遣薬剤師をします。
理由は単純であり、地方へ出稼ぎをした方が圧倒的に時給が高いからです。僻地の薬局だと新卒未経験であっても年収600万円からスタートしますが、派遣薬剤師でも非常に高い時給となるのです。
さらにいうと、派遣ではあっても住宅付き(または住宅手当付き)の高額求人も存在します。要は、出稼ぎ薬剤師を対象にした派遣募集がいくつも存在するのです。例えば、以下は栃木県の薬局求人ですが、中途採用での派遣にも関わらず住宅付きとなっています。
この場合、特に栃木県で賃貸マンションを契約しなくても、調剤薬局側が既に住む場所を用意してくれています。そのため、いきなり栃木に出向いて住むことになっても大丈夫となっています。出稼ぎ薬剤師を対象にした派遣では、このようにすぐにでも勤務できるように条件が揃っているのです。
参考までに、この求人は時給4,000円ですが週5日ほど働いた場合の月収は以下のようになります。
- 時給4,000円 × 1日8時間 × 月20日勤務 = 64万円
年収換算で768万円となるため、非常に効率よく稼げるようになります。もちろん、週5日でこの給料であるため、交渉によって週6日勤務しても問題ありません。または、他の高額求人の薬局でダブルワークを行う人もいます。
いずれにしても、長期で海外旅行を考えている人を含め本気で稼ぎたい人は、ほぼ全員が地方求人の派遣へ申し込み、出稼ぎをします。
時給3,000円ではなく、出稼ぎを検討すれば時給4,000円以上を問題なく達成できます。しかも、住宅付きなので家賃はすべて会社負担です。出稼ぎまで視野に入れれば、効率よくお金を貯められるようになります。
一人薬剤師だとさらに時給は高い
さらにいうと、より時給を高くできるコツがあります。それは、一人薬剤師の派遣求人へ申し込むことです。
一般的に派遣求人の仕事は服薬指導になります。棚にどのような薬が置かれてあるのか分からないため、監査・投薬を任されることになります。
ただ、一人薬剤師の場合は調剤から監査・投薬までをすべて一人で完結しなければいけません。管理薬剤師として一つの薬局を一人で担うことになるため、当然ながらその分だけ時給が高くなるのです。これが田舎の薬局だと、時給5,000円に近づけることも可能です。
数は少なくなりますが、時給5,000円ほどで住宅付き(家具あり)の求人も普通に出されます。例えば、以下は愛知県の薬局から出された家具付き住宅のある求人にあります。
12~3月と4ヵ月の期間限定ですが、このように時給4,800円で求人が出されています。3月までの期間限定なのは、4月から新卒の薬剤師が入社してくるからだと予想できます。また、募集内容が管理薬剤師であることから、一人薬剤師になることも予想できます。
眼科メインの薬局であるため、目薬を袋に詰める作業は大変ですが、基本は簡単な調剤ばかりになります。そのため、一人薬剤師にはなりますが面倒な処方せんを扱わずに仕事を進められるようになります。
今回の薬局では、時給4,800円からです。この薬局の場合、基本的にヘルプはなくずっと自分一人で勤務することになります。そうなると、勤務時間から計算すれば週44時間働くことになります。
この場合、月の収入は以下のようになります。
- 時給4,800円 × 週44時間 × 4週間 = 84万4,800円
年収換算だと1,000万円を超えるようになります。しかも、家賃支払いはないので実質的な手取り収入は非常に多いです。地方へ出稼ぎをする場合、高い時給を提示してくれる薬局であれば、こうした高年収を実現することも可能なのです。
転職サイトを利用して最適な中途採用求人を探す
このように、正社員やパート・アルバイト、派遣を含めてどのようにして中途採用の求人を探し、転職すればいいのかについて解説してきました。
薬剤師であれば、あらゆる働き方を実現できます。正社員やパートとして転職し、20日ほど長期休暇を取得しても問題ありません。子供が夏休みの時期を狙って休みを取る女性薬剤師もいます。
また、薬局や病院を含め調剤経験のある薬剤師には限られますが、派遣薬剤師として短期間だけ働くという方法もあります。これであれば、次の派遣先を自ら入れるまでいつまでも休むことができます。
しかし、このような働き方を実現するためには転職サイトを活用する以外に方法がありません。自分の力だけでそうした特殊な働き方を認めてくれる薬局を探すのは現実的ではないからです。そこで、多くの求人を保有している転職エージェントの力を借りるようにしましょう。
さらにいうと、こうした特殊案件は非常に求人数が少ないため、2~3社ほどの転職エージェントを利用するのが一般的です。複数の転職サイトを利用することにより、多くの求人の中から最適な募集へ応募するのが多くの薬剤師が行うやり方です。
特に派遣薬剤師になると、派遣の案件を取り扱う転職サイトは2つに絞られます。そのため、長期休暇や出稼ぎを含めて派遣による転職を検討している場合、必ず以下の2つの転職エージェントには登録しなければいけません。
・薬キャリAGENT
正社員やパート・アルバイトだけでなく、派遣求人も広く取り揃えている転職サイトが薬キャリAGENTです。エムスリーキャリア株式会社が運営しており、転職エージェントの中では求人数が最高クラスで多いことが知られています。
夏休みを含め、長期休暇の取得を考えている場合、数少ない求人の中から選ばなければいけません。このとき、薬キャリAGENTを利用するようにしましょう。
・お仕事ラボ
大手薬局のグループ会社であり、派遣に強い会社がお仕事ラボです。正社員やパート・アルバイトも取り扱いがあるものの、高額求人での派遣を考えるときにお仕事ラボの利用は必須となります。
大手の転職サイトの一つであるため、長期休暇や出稼ぎをするときに多くの求人から選ぶため、お仕事ラボは必ず登録するべき転職サイトになります。
薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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インタビュー記事:薬剤師の転職サイト
・ファーマキャリア
薬剤師求人の中でも、「どこにも載っていない難しい案件」を探すことに特化した、オーダーメイド求人の発掘を行っているファーマキャリアさまへ取材しました。