男性や女性を含め、独身の状態では一般的に正社員として働くことを考えます。実際、新卒で就職するときはほとんどの人が調剤薬局やドラッグストア、病院、企業の正社員となります。
ただ、中には独身の状態からパート・アルバイトや派遣として働く人もいます。私の周囲をみても、独身のときから正社員以外の働き方を実現している薬剤師が何人もいます。
しかし、世間一般的には「独身の人は正社員」という考え方が強いように思います。ただ、薬剤師のような専門職であれば、特に正社員にこだわる必要はありません。実際、パート・アルバイトや派遣として働く方が自由な勤務方法となり、さらには高い給料を実現できることは多いです。
ここでは、独身の薬剤師がパート・アルバイトや派遣を選択するときに考えるべきことについて解説していきます。
もくじ
正社員の給料より優れるパートの薬剤師
なぜ、世間一般的に「アルバイトで生計を立てているフリーターが微妙だ」と思われているかというと、その理由は低い時給にあります。正社員に比べると圧倒的に給料が低いのです。
一方で薬剤師であればどうかというと、これが逆転します。むしろ、正社員よりもパート・アルバイトとして働いた方が高い時給を実現できるのは普通です。派遣だとさらに時給が高くなるため、より高年収となります。
これが大手調剤薬局チェーンや病院薬剤師だと、傾向はより顕著になります。例えば、以下は実際に出された大手調剤薬局チェーンの中途採用であり、東京にある店舗での正社員募集です。
ここにある通り、年収360万円からのスタートとなっています。サービス残業が毎日30分ある場合、この求人では1日9時間の勤務です。そうなると、時給換算では約1,670円です。
パート・アルバイトであればどれだけ低くても薬剤師なら時給2,000円です。そのため、こうした薬局や病院で働くよりもパート・アルバイトの方が時給はいいです。
また、仮にフルタイムパートで働くとなると時給2,500円以上になるのが普通です。この場合、残業ゼロの定時退社であっても年収は以下のようになります。
- 時給2,500円 × 1日8時間 × 月20日 × 12ヵ月 = 年収480万円
東京や大阪の都市部で働く場合、給料の優れた中小薬局でも年収450万円くらいからが妥当です。そのため、下手に正社員をするよりも高い年収となることがあります。
派遣だとさらに高時給となる
また、これが派遣になると時給3,000円以上が普通になります。その場合、ほぼ年収600万円です。
- 時給3,000円 × 1日8時間 × 月20日 × 12ヵ月 = 年収576万円
年収576万円なので、少し残業が加わるだけで簡単に年収600万円以上になります。
実際、私も以前に派遣薬剤師として勤務したことがあります。このときは薬キャリAGENTという転職サイトを利用し、東京にある大学病院で勤務しました。このとき、時給3,000円という内容で働くことになりました。以下は派遣会社(転職サイト)から来た実際のメールです。
大学病院の薬剤師は非常に低い給料で有名ですが、こうした薬剤師よりもはるかに高い収入で勤務することになったわけです。
こうした現状のため、独身薬剤師がパート・アルバイトや派遣として働くことは何も恥ずかしいことではありません。むしろ、正社員よりも優れた待遇になることは多いです。
もちろん、これはフルタイムで働いたときでの計算であるため、必ずしもフルで働く必要はありません。ただ、時給換算すると薬剤師のパートや派遣は非常に優れているのです。
事情によって独身でフリーター薬剤師をする人は多い
それでは、なぜ独身の状態なのに正社員ではなく、パート・アルバイトをするのでしょうか。前述のように、実質的な収入面の理由も挙げられますが、これについては、当然ながら人によって事情が異なります。パート勤務する理由としては、例えば以下のようなものがあります。
- 病気の治療などの理由でフルタイム勤務を避けたい
- 定時退社で転勤なしを実現したい
- 音楽活動やアイドル活動など、将来の夢のために頑張りたい
- 親の介護があり、勤務時間を絞りたい
こうした事情がある場合、一人暮らしの独身であってもフリーター薬剤師として活動するようになります。
例えば、薬剤師として残業が多く大変な職場で働くことにより、頑張りすぎてしまったために精神的に参ってしまう人は多いです。こうしたとき、うつ病のような症状を生じることもあります。こうした病気の治療を優先させるとき、フルタイム勤務を避ける人は多いです。
また病気に限らず、夢を実現させるためにフリーターを選択する薬剤師もいます。時給2,000円以上で働けるので、週3日ほどの勤務でも問題なく生活することができるのです。
夜間など特殊な時間に勤務して高時給を目指してもいい
なお、フリーターとして勤務するのであれば、昼間の一般的な時間帯だけで働くのではなく、夜間を含めた特殊な時間で勤務することを考えても問題ありません。こうした時間帯であれば、時給が高く効率的に稼ぐことができます。
一般的に夜のアルバイトであると、積極的に働こうとする人はいません。特に結婚して家庭のある人であれば、深夜まで勤務することはできません。
一方で独身であれば、好きなように働くことができます。担い手が少ないほど薬剤師の時給は高くなりますが、夜間バイトだと時給2,500円以上が普通になります。そのため、独身者がパートやアルバイトをするなら夜の勤務を考えても問題ありません。
例えば、以下は東京にある調剤薬局から出された求人募集です。
調剤併設ドラッグストアであり、時給2,600円です。また、この求人票では22:00以降だと時給3,250円になるとあります。さすがに終電を逃すのはまずいですが、ギリギリまで働けばかなり効率的に収入を得られます。
独身で正社員ではないからこそ、好きな時間に働くことができます。その場合、夜間バイトも視野に入れるといいです。
掛け持ち勤務のパート・アルバイトは普通
また、フリーターでは薬剤師であってもいくつもの店舗を掛け持ち勤務するのは普通です。あるときは昼間に調剤薬局でアルバイトし、他の日は夜間だけ勤務するなどの働き方をします。
働く場所が違えば、勤務時間を好きなように調節できるようになります。「夜だけの勤務を求めている薬局」「日曜日だけ人が足りていないドラッグストア」など店舗ごとに事情が異なるため、そうした求人へ申し込むことによって効率的に稼ぐことが可能です。
例えば、以下は京都にある調剤薬局から出された求人であり、日曜日だけの勤務です。
特殊な働き方であるため時給は3,000円と非常に高いです。独身のパート・アルバイトならどの日を休みにするのかは自由なので、むしろ日曜日を有効活用して他の日に休みを作れば効率的に稼げるようになります。
なお、このときは週1日から勤務できる求人も多いです。そのため、フリーター薬剤師として活躍するのであれば、「薬局だけでなく病院薬剤師を経験する」「在宅専門の薬局で働いてみる」などを選択することも可能です。
例えば、以下は大阪にある病院から出されたパート求人ですが、週1日から勤務することができます。
時給2,500円からであり、勤務条件としては優れています。調剤から注射剤の混注を含めて経験できるため、掛け持ちでのダブルワークをしながら独身薬剤師として好きなように仕事を進めることができます。
派遣なら独身貴族で自由な働き方を実現できる
なお、さらに自由度の高い働き方を考えているのであれば、派遣で働くことを選択しても問題ありません。派遣薬剤師の場合、前述の通り時給が非常に高いです。東京や大阪、名古屋、福岡、横浜などの都市部であっても時給3,000円以上を実現できるのは普通です。
またパート・アルバイトと同じように勤務時間や働く曜日は自由に決めることができます。さらに、契約更新制なので契約が切れた後、次の求人へ申し込まなければ自由に休みの時間を作ることができます。
例えば、「契約が切れた後に半年ほど休息期間を設け、その間はずっと海外旅行を楽しむ」ことも可能です。半年後、日本へ帰国後に再び派遣求人で働いて高時給で効率よく稼ぐことも可能です。
フリーターとはいっても、パート・アルバイトだとずっと同じ場所で働く必要があり、長期休暇を取ることはできません。その点、派遣だとすべて自分の裁量次第で長期休暇を含めた休みの日を作り出すことができます。独身貴族を本当の意味で楽しめるのは派遣社員なのです。
例えば、以下は名古屋(愛知)の調剤薬局で出された派遣求人ですが、時給3,800円以上となっています。
もし、この求人で中抜けなしシフトで勤務した場合、フルタイムだと月の収入は以下のようになります。
- 時給3,800円 × 1日9時間 × 月20日(週5日勤務) = 68万4,000円(年収820万8,000円)
こうした高い時給を実現できるのは派遣ならではといえます。一人暮らしの独身であるなら正社員ではなく、ずっと派遣として働いても問題ないほど優れた給料を実現できます。
日本各地のいろんな場所で働いてもいい
また、パート・アルバイトとは異なり働く場所を固定して選ばないのが派遣です。そのため、契約が切れたごとに働く場所を変えても問題ありません。実際、薬局では出稼ぎ派遣の人を対象にした求人がたくさん存在します。
こうした求人では住宅付きとなっており、その勤務地に赴くための交通費についても支給してくれます。こうした求人であれば確実に高時給であり、リゾートバイトを実現しながら働くことも可能です。
例えば、以下は京都にある調剤薬局から出された住宅付きの高額派遣求人です。
時給4,500円であり、住宅付きなので「数ヵ月だけ京都に住もう!」と考えて申し込むことができます。どこに住んでも問題ない独身だからこそ可能な求人です。休憩を入れて勤務時間は8:30~19:00なので、1日9時間労働だとすると月の給料は以下のようになります。
- 時給4,500円 × 1日9時間 × 月20日(週5日勤務) = 81万円(年収972万円)
このように、ほぼ年収1,000万円となります。独身貴族としてどのような場所で働いても問題ないのであれば、こうした求人によって家賃ゼロを実現しながらいろんな場所で働くことを考えても大丈夫です。
キャリア形成ができないのはデメリット
好きなようにパートや派遣で勤務できるのは独身薬剤師の大きなメリットです。ただ、キャリア形成やスキルアップという意味では、どうしてもフリーターとしての働き方では弱くなってしまいます。
当然ながら、責任ある仕事を任されるのは正社員です。上の役職に就くにしても、正社員でなければ重要なポストは経験させてもらえません。パート・アルバイトや派遣であると、どうしてもスキルアップの面では弱くなってしまうのです。
正社員に比べると働き方は自由であり、さらに意外と待遇が優れているのがフリーターとしての働き方です。特に派遣であると、かなり高い給料となります。
しかし、自身のキャリア形成は達成できません。そのため、高い役職に就くことを考えている人にとっては向いていません。ただ、独身のときしかこうした特殊な働き方ができないため、いまのうちに敢えて正社員以外の働き方を考える人は多いです。
転職サイトを利用し、一人暮らしの独身薬剤師に適した求人を探す
男性でも女性でも、正社員として働くことだけがすべてではありません。独身の状態であっても、フリーターとして働く人もたくさんいます。
しかも、世間一般的なフリーターとは異なり薬剤師のパート・アルバイトや派遣は非常に待遇がいいです。正社員よりも優れた時給で働けることは多く、これが派遣になると圧倒的に高い年収を実現することも可能です。
当然、働く日数や時間は好きなように決めることができます。独身なのでどの時間に勤務しても問題なく、さらには派遣であれば働く場所もその時々に応じて自由に変えられます。
ただ、人によって求めている求人内容は異なりますし、どこにそうした優れた求人が存在するのか見当が付きません。そこで独身貴族としてフリーター薬剤師を行い、自由に働くことを考えているのであれば転職サイトへ登録し、求人を探さなければいけません。
複数の転職エージェントを利用することで、いくつもの選択肢から中途採用の求人を探すのです。
注意点として、派遣についてはすべての転職サイトが案件を取り扱っているわけではありません。パート・アルバイトの場合、薬剤師専門の転職サイトならどこでも紹介してもらえます。しかし、派遣は「派遣求人でも問題ない転職サイト」を利用しましょう。
派遣OKの有名な転職エージェントとしては、薬キャリAGENTやお仕事ラボがあります。そのため、派遣でのフリーターを考えている場合は少しだけ注意が必要です。
男性・女性の独身薬剤師としてフリーターをする
独身だからこそ、自由に働けるという大きなメリットがあります。正社員に固執する意味はなく、パート・アルバイトや派遣という方法も選択肢に入れるようにしましょう。
実際、私も新卒で薬学部を卒業した後は普通の正社員として働きました。このときは最初に企業薬剤師を経験し、転職して調剤薬局で勤務することになりました。
ただ、その後はたまにバイトをしたり、派遣で効率よく稼いだりを繰り返す生活も経験しています。
正社員ではない働き方であれば、時間的な自由が非常に大きくなります。好きなとき、好きな時間に働けるので気楽です。これが派遣であれば、長期休暇を作ることもできます。しかも給料は高いです。
独身だからこそ可能な働き方は多いです。人生を楽しむため、独身貴族のときに正社員ではなくパートや派遣として好きなように働くことを視野に入れても問題ありません。
薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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インタビュー記事:薬剤師の転職サイト
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