薬剤師として働くとき、派遣という勤務方法を選択する人もたくさんいます。特定の場所や時間に縛られるのではなく、好きなように勤務地を変更できるのが派遣薬剤師です。

実際に薬剤師が派遣社員として勤務するとき、ずっと同じ場所で働くことはありません。ある程度の期限を区切り、いろんな職場を移っていくことになります。派遣求人の募集はいくつも存在するため、その中から良さそうな求人へ応募して勤務するのです。

このとき、派遣で働くときの雇用契約の更新や勤務期間はどのようになっているのでしょうか。また、契約更新時は時給アップを含めた交渉依頼をすることが可能になりますが、いつから交渉をお願いすればいいのでしょうか。

派遣では分からないことが多いです。そこで、薬剤師が派遣契約の更新をするときに考えなければいけないことについて確認していきます。

派遣社員で薬剤師が働ける期間

まず、一般的に薬剤師が派遣として勤務できる期間はどのようになっているのでしょうか。これについては労働者派遣法に明記されており、一つの職場で働ける上限は3年です。つまり、同じ薬局や病院に3年以上勤務し続けることはできなくなっています。

薬剤師が派遣社員で同じ職場に3年も働き続けることは、よほどのことがない限りありませんが、勤務できる上限期間はこのように法律で決められています。

また、短い派遣であれば普通は1ヵ月や3ヵ月での雇用契約になりますが、さらに短い派遣であれば1日だけの単発スポット派遣も可能になっています。実際、転職サイトへ登録すれば単発スポットの求人についてもたくさん存在します。

以下は東京の調剤薬局で出された1日だけのスポット派遣ですが、このように高時給の派遣求人が出されるのです。

こうしたことから、派遣勤務する場合は1日だけのスポットから1~3ヵ月の短期派遣、1年以上の長期派遣を含めてさまざまな種類から選ぶことが可能になっています。

派遣契約の更新はどうなっているのか

このとき、実際に求人先へ出向く場合は派遣契約を結んで働くことになります。会社側(薬局や病院など)との雇用契約は派遣会社(転職サイト)がすべて段取りをしてくれます。

そのため薬剤師側は特に何もすることはないですが、このときは一般的に更新制となります。1年以上の長期派遣であっても、普通は「1ヵ月(または数ヵ月)おきに雇用契約を更新する」などの形態にするのです。

調剤薬局やドラッグストア、病院としては正社員やパートの薬剤師を雇えるまでのつなぎとして派遣薬剤師を雇用します。ただ、いつ正式に薬剤師を雇えるのか不明なので1ヵ月ごとの更新制にするのです。

実際、私は過去に大学病院で派遣薬剤師をしたことがあります。東京の大学病院で時給3,000円と条件はかなり良かったのですが、このときは以下のように1ヵ月の更新制でした。

産休代替での派遣だったため、当然ながら1ヵ月で派遣が終わるわけはありません。ただ、産休・育休後に常勤薬剤師がいつ戻ってくるのか分からないため、このように1ヵ月ごとの雇用契約更新になっていたのです。

短期派遣であれば、短いスパンで派遣契約の更新があるのは理解できます。ただこれについては、長期派遣であっても同様だと考えましょう。

結局のところ、先ほどの大学病院では育休明けの女性薬剤師が復帰するまでの約1年を働きましたが、それまで契約更新が続くことになりました。当然、女性薬剤師が復帰した後だと派遣は不要になるため、契約更新されず私は他の派遣求人へ申し込んで働くことになりました。

最初から期間限定も可能

なお、派遣として働くとき人によっては、契約更新などはせずに特定の職場で期間限定勤務をしたいと考える人もいます。この場合、そもそも派遣更新されることはありません。

例えば調剤薬局やドラッグストアであれば、最初から「〇月〇日までの派遣募集」などのように求人を出していることがあります。既に正社員やパート・アルバイトを雇えることが決まっているものの、1ヵ月や3ヵ月など特定の期間だけ薬剤師が足りないので派遣を募集しているのです。

こうした期間限定の求人ではどれも高額求人になります。例えば、以下は調剤薬局側が最初から期間限定で出している高額求人です。

時給4,000円であり、かなりの高時給であることが分かります。この派遣求人では、3ヵ月だけの期間限定になります。

ちなみに、出稼ぎ薬剤師も対象にしているので以下のように住居も確保されています。

こうした求人であれば、雇用契約の更新なしで働くことができます。特定の場所に数ヵ月だけ働き、派遣更新されないほうが望ましい場合だと、こうした求人を活用しても問題ありません。

契約更新時は時給アップの依頼が可能

このように契約更新しないケースはあるものの、契約が更新されて働くようになるケースも多いです。そうしたとき、派遣薬剤師にとってみれば契約更新時は時給交渉のチャンスとなります。

雇用契約を更新するのは、会社側(薬局や病院)にとってもあなたにとってもメリットは大きいです。会社側にすれば既に知っている派遣薬剤師を雇うことになりますし、薬剤師にしてもどのような職場なのか理解した状態で契約更新することになります。

そうした更新のとき、ついでに時給交渉をするのです。もちろん、自ら調剤薬局やドラッグストア、病院に対して時給交渉するのは現実的ではありません。転職サイト(派遣会社)の担当者を介することになります。そのため、あなたが頑張って交渉するのではなく転職エージェントがすべて代行してくれると考えましょう。

ただ、当然ながら派遣契約を更新するとき、転職サイトの担当者に時給アップを依頼しても、確実に時給交渉で成功するわけではありません。このときは優れた給料を引き出すための材料を用意する必要があります。

実際に優れた条件を引き出すとき、以下の順番で考えなければいけません。

派遣だと最初から時給2,800円以上は必須

派遣社員として時給交渉するとはいっても、ベースとなる交渉前の収入額が少なければ意味がありません。そのため、派遣として最低限の時給は確保しておくようにしましょう。このとき、時給2,800円以上が必須になります。ただ、東京や大阪などの都市部であっても基本的には時給3,000円を考えましょう。

例えば、以下は私が実際に転職サイトに登録して派遣求人を紹介してもらったとき、担当者からもらったメールの一部です。

このように東京の薬局ですが、どれも時給2,800円以上であり、さらには交通費が支給される案件が多いです。当然、時給3,000円の案件もたくさんあります。

しかし、中には派遣にも関わらず時給2,500円ほどと異常に低い給料の派遣先が存在します。例えば、以下のような求人です。

埼玉の調剤薬局から出された募集ですが、こうした求人を選んではいけません。時給アップできたとしても、そもそもの時給相場が低いので意味がないからです。時給2,800円以上は必須だと考え、まずは適切な中途採用の募集へ応募しましょう。

勤務中の評価をあげる

それでは時給2,800円以上を提示してくれる求人で元々働いたとして、いつの段階から時給交渉について考えればいいのでしょうか。これについては、普段の勤務中からとなります。

働いているときから、薬局からの評価を上げておけば仕事をやりやすくなりますし、その後の時給交渉もスムーズです。

もちろん、これについては「残業を率先して行う」「積極的にお世辞を言う」などの目立つことを実践する必要はありません。些細な気配りをするだけで問題ないです。良くも悪くも派遣は「社員とは別の存在」と思われています。薬局や病院に属しているわけではないので当然ですが、正社員やパート・アルバイトとは明確に区別されるのです。

そうしたとき、気配りができれば大きなプラス評価となります。例えば男性薬剤師として派遣勤務するのであれば、ゴミ出しなどの力仕事を代わりにしてあげるだけでも喜んでくれます。薬局だと女性が多くなり、重い荷物を持つことを嫌がる人が大半だからです。

他にも、面倒な機器類(分包機など)の片づけを積極的にするのでも問題ありません。薬局内の掃除や整理整頓に貢献するのです。

また、処方せんが途切れて患者さんが薬局内にいないとき、予製の一包化を率先して行えば、当然ながら非常にありがたいと感じてくれます。予製の一包化を自らやりたいと考える薬剤師はほぼいないからです。

勤務先に喜んでもらえることを進んで行えば、あなたの評価はかなり高くなります。そうなると、「契約更新では、ぜひ続けて働いてもらいたい」と思ってくれるようになって時給交渉に成功しやすくなります。

契約更新時、柔軟な勤務方法を提示する

そうしたうえで、実際に契約更新が行われるときは柔軟な働き方を提示すると収入を上げられるようになります。何の条件もなしに時給アップを目指すのはやはり難しいです。そこで、薬局や病院の要望に応えるのです。

具体的には、以下のような柔軟な勤務方法があります。

・働く日数や時間を多くする

薬局や病院は人手が足りないため、派遣薬剤師を雇っています。そのため、できることなら派遣社員にたくさん働いてもらいたいと考えています。

そうしたとき、働く日数や時間を増やすようにすれば、更新時に時給を上げやすくなります。「それだけたくさん働いてくれるため、時給を上げるのは仕方ない」と考えてくれるのです。

・遅番(残業)や土日勤務を可能にする

残業なしで家に帰れるのは派遣薬剤師の特徴ですが、残業ありに変更することもできます。特に薬局の場合、「17:00定時で帰る」「残業なし」を希望する時短正社員やパート勤務は非常に多く、夕方以降の人手が足りないことはよく起こります。

薬局側が夕方以降の時間帯の人手不足に悩んでいる場合、そうした時間であっても勤務することを承諾したり、残業ありでも問題なかったりする場合、時給交渉に成功しやすいです。

同じことは土日勤務にもいえます。薬局や病院の多くは土曜日も開いていますが、パート女性で土日休みを希望する人は非常に多く、土曜日の薬剤師は足りなくなりがちです。そのため、土曜日も問題なく働ける薬剤師であれば時給単価を上げるように交渉できます。

・長期勤務を承諾する

同じ職場で長めに働くことでも問題ない場合、長期派遣を承諾することで時給単価を上げる方法もあります。

派遣だと、1ヵ月や3ヵ月など短いスパンで働くケースが非常に多いです。しかし、数ヵ月の契約だと「どうせあと1ヵ月後には契約が切れていなくなってしまう」と薬局や病院は考えます。そのため、時給アップは実現できません。

一方で長期派遣が可能なのであれば、それを材料にして時給交渉が可能です。人手が足りない中で「それだけ長く働いてくれるのであれば、高い給料を提示しても問題ない」と考えてくれやすくなるのです。3ヵ月や半年の雇用契約を結ぶことにより、時給単価はそれだけ上昇します。

派遣募集の中には、長期での就業を歓迎している職場がたくさんあります。例えば、以下は横浜(神奈川)の調剤薬局での募集です。

長期派遣が可能な薬局の場合、3ヵ月以上の派遣契約を結ぶことによる時給交渉は特に有効です。期間限定の勤務ではなく、長く働き続けることで時給相場は上昇するのです。

複数の転職サイトを利用するのは基本

なお、実際に派遣社員として薬剤師をするときは転職サイトを活用しなければ派遣をすることはできません。転職エージェント(派遣会社)にしか、派遣求人が存在しないからです。

このとき、どのように行動するのが適切かというと2社以上の転職サイトを利用するのが基本です。

自分の働き先を決めることになるため、派遣先を決定するのは非常に重要です。そうした重大なことを決めるとき、一つの会社だけを見て決める人は一般的にいません。「家を購入するとき」「海外旅行へ行くとき」を含め、いくつかの会社に問い合わせてプランを決めるのと同じように、「派遣会社についても、いくつも利用する」のが普通なのです。

そこで実際に複数の転職サイトを利用し、それぞれで派遣求人を提示してもらうようにしましょう。前述の通り、最初に時給相場の優れた求人先へ転職するのは基本なので、求人案件を比較しながら良い募集へ応募するといいです。

・契約更新時も複数転職サイトの登録は役立つ

また、いくつもの転職エージェントを利用すれば派遣契約を更新するときの時給交渉にも役立ちます。

派遣契約が切れるタイミングでは、あなたはあらゆる求人に申し込むことができます。このとき、他の転職サイトへ登録していれば「いま時給3,000円で働いているが、より優れた求人募集はあるか?」と伝えることができます。

さらには、いまの職場に対しても「他の転職エージェントから時給3,200円の求人を提示してもらっているのだが、契約更新のときに時給単価を上げることは可能か」などのように伝え、時給アップを実現できることもあります。

いくつもの転職サイトを利用するデメリットは少なく、メリットの方が大きいです。複数の転職エージェントを利用し、時給アップの依頼をするだけで優れた条件で働けるようになります。

派遣契約の期間を理解し、更新時に時給を上げるべき

当然ですが、良い条件で働きたいと考える薬剤師は多いです。そうしたとき、派遣契約を更新するときに転職サイトの担当者へ時給アップの依頼をするようにしましょう。

このとき交渉前のベースとなる収入額は時給2,800円以上の求人である必要がありますし、いくつもの転職サイトを利用して求人を比較しなければいけません。そうしたうえで高めの時給を提示してくれる薬局や病院を選んでおくといいです。

また、実際に働くときは勤務先での評価を上げるようにしましょう。さらにいうと、契約更新時に「火曜日の夜にいつも薬剤師が足りていないため、火曜日だけなら残業ありでも問題ない」などのように柔軟な勤務方法を提案できる場合、派遣契約を更新するときに時給を上げやすくなります。

さらには、長期派遣が可能な場合でも高時給を引き出せます。派遣薬剤師の契約は一般的に1ヵ月おきなど短いです。そこで、長く働いてくれる薬剤師については派遣で高い時給を出してもらいやすくなるのです。

契約更新のときは時給を上げるチャンスです。いくつもの派遣会社を利用して、求人を探すようにしましょう。このとき、派遣求人を取り扱う転職サイトであれば以下の2社が優れています。

・薬キャリ

薬剤師専門の転職サイトとして、最大手の一つが薬キャリです。保有している求人数は非常に多く、派遣薬剤師についても広く取り扱いがあります。

派遣勤務を考えるとき、最初に登録を考えるべき転職エージェントになります。薬キャリでは高額求人が多いという特徴があるため、派遣として働くときは良い条件の募集を見つけやすくなります。

・ファルマスタッフ

薬剤師の転職サイトでは珍しく、派遣に強みをもつ転職エージェントがファルマスタッフです。派遣求人をたくさん保有するため、パート・アルバイトよりも派遣勤務を勧めてくるケースも多い転職サイトになります。当然、派遣での時給交渉にも慣れている転職エージェントです。

大手の転職サイトの一つですが、薬キャリと同時に使うことで希望条件に合う求人を見つけやすくなります。


薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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派遣薬剤師は給料が正社員よりも高く、時給3,000円以上も普通です。さらには3ヵ月や半年だけでなく、1日などスポット派遣も可能です。「自由に働きたい」「多くの職場を経験したい」「今月、もう少し稼ぎたい」などのときにお勧めです。

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